同社では、現在500人のクラウドインテグレーション技術者を、2015年度中には1000人に、2017年度には2000人に育成していく。加えて、マルチクラウドおよびハイブリッドクラウド環境での稼働状況の実機検証を行うマルチクラウド検証センターを新設。今後、関西、中部、東日本の同社主要拠点にも展開していくという。同社では、マルチクラウドを前提としたスキル認定を新たに体系化し、人材育成に取り組んでいく姿勢も明らかにした。
「クラウドは“生き物”である。人財と検証設備を活用することで、サービスのアップデートやAPIの追加、技術進化などに対応し、最適なクラウド環境を実現する支援を行っていく」(平野氏)
さらに、クラウド調達業務の負荷を軽減するため、プロダクトおよびサービスの購買/課金から、サービスの払い出しまで一元的に行う「ワンストップ調達」も実現する。これにより、ベンダーごとに異なるサービス仕様や課金体系、サービス仕様変更のタイミングといった問題を解消できる。ITガバナンスの一元化により、“シャドーIT”の抑制にもつながるという。
富士通エフサスでは、マルチクラウドLCMサービスにおいて、2017年度までに累計1000億円の売上高を目指す。
“現場の課題”を知るSIベンダーならではのサービス
富士通エフサスでは、VMwareに関する認定技術者を600人擁するなど、国内ではナンバーワンの仮想化技術者数を擁し、これまでにプライベートクラウドで約200社、パブリッククラウドで約100社の合計300社への導入実績を持つという。
「2019年には、ITサービス市場全体の21%がクラウドを占めると予測されており、新規システムの構築時に、約8割の企業がクラウドを検討し、約4割弱の企業がマルチクラウドの利用を検討している。富士通エフサスでは、これまでの実績と今回のサービスなどにより、お客様のビジネスの成長に貢献したい」(高萩社長)
2014年度の同社売上高のうち、クラウドビジネスの構成比は9%。これが2019年度には、全社売上高約3000億円に対して約600億円がクラウドビジネスの売上になるという。
「市場全体では、従来のメインテナンスに関する売上高は減少する傾向にある。だが、クラウドビジネスを含めたストックビジネスとしては60%の構成比がある。運用ビジネスはこの3年間で、10%増で推移している。運用という部分での収益確保を進めていく」(高萩社長)
現場での課題を知るシステムインテグレータならではの運用を軸とした、クラウドサービスと位置づけることができそうだ。