あとちょっとが届かず……
レース後半で悪夢がミクSLSを襲う!
21日決勝日の朝は気温が低く、夏のタイとは思えないほど過ごしやすかった。その反面、路面温度がなかなか上がらず、午前中のフリー走行でまたもやタイムが伸びずに苦戦を強いられた。片岡選手が「1'36.439」のベストタイムを記録するも、35秒台に届かないままフリー走行は17番手で終了した。
なお、昨年のタイ戦でも賞典外の地元チームが参戦したが、今年も28号車(REITER GALLARDO)として参戦。驚異の「1'32.960」を刻んでトップタイムをマークした。2位以下に約1.5秒の差をつけてのこのタイムである。チャンピオンシップに加わらないといっても、タイ戦の台風の目になることを予感させた。
決勝日にサーキットサファリというタイ限定の変則的なスケジュールだったが、現地時間午後3時(日本時間午後5時)、決勝レースがスタートする。ミクSLSのスタートドライバーは片岡選手。路面温度が65度にもなる灼熱のレースが幕を開けた。
片岡選手は10番手スタートながら序盤の混乱をかわし、1周目に2台をオーバーテイクして8位でホームストレートに戻ってくる。しかし、その後はなかなか上位にいけるスキがない。この間に上位3台は下位に差を広げていき、4~9位までがトレイン状態になりレースは膠着。8位から順位をあげられないまま、周回数は増えていく。
レースが動いたのは19周目。テールトゥーノーズだった前を走る7号車(Studie BMW Z4)を抜いて7位に、22周目には順位を落としてきていた31号車(TOYOTA PRIUS apr GT)の前に出る。まわりのピットインもあり、気がつけば4位を走っていた。決勝朝までの不調がウソのようだ。そのまま27周目にミクSLSはピットイン。久々のタイヤ無交換作戦で、ピット作業のタイムロスを最小限にして谷口選手をコースに送り出した。
ミクSLSはアウトラップで一時的に10位にまで順位を落としたが、谷口選手の快走でじわじわと順位を上げていた。レースも後半、残り20周を切るところでタイ戦最大の波乱が起きる。「左リアのタイヤがバーストした!」という悲痛な無線が谷口選手から入った。路面温度が高いため、予選時にはタイヤ無交換は無謀と言われていたが、決勝では路面温度が思ったより上がらなかったため、この作戦をとったチームも少なくなかった。だが、ミクSLSだけがバーストしてしまったのである。このため緊急ピットインを余儀なくされ、タイヤをすべて交換してピットアウトした頃には順位は18位にまで落ちていた。
レースはもう終盤である。大量得点を掴めそうだったが、手のひらからこぼれていってしまった。ここからは少しでもポイントを獲得するため、ポイント圏内の10位以内に入ることを狙っていく。谷口選手は自己ベストを更新するタイムで走り、矢のようなペースで順位を戻していくが、残念がら13位まで上がったところでレースは終了してしまった。
2戦連続5位ときてノーポイント、である。シーズンランキングも9位まで落ちてしまった。2連覇を目指すうえで、非常に厳しい結果ではあるが、まだ3戦が終わったばかり。残り5戦で巻き返しを期待しよう。次戦は国内に戦場を戻し、8月8~9日に富士スピードウェイで開催される。ぜひ、現地で応援してほしい。
(次ページでは、「関係者インタビュー」)
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