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夏のベストセレクション2015 第3回

ASCII.jp編集部 カイツカがオススメ

“ちょうどいい”音とデザイン、夏ヘッドフォンは「Fidelio F1」で決まり!

2015年06月28日 12時00分更新

文● 貝塚/ASCII.jp

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 2015年の夏はこれを買えば間違いなし! 旬のデジギアやおススメ製品をASCII.jpの編集者/ライターが紹介します。
 毎日使いたいスマホやハイレゾヘッドホン、この機会に買い換えたい周辺機器と自作PCパーツ、さらにASCII.jpとしては外せないPCとジャンクフードもバッチリ押さえてます! 記事一覧はこちら

絶妙にコンパクトなサイズで、かばんの中でも邪魔にならなさそう

フィリップスの「Fidelio」シリーズから
「ちょうどいい」ヘッドフォンが出た

 ベストバイ3回目はヘッドフォン。うーん、多種多様なヘッドフォンから何を選べば「買ってよかった」と読者の皆様に言っていただけるか。

 考えました。ヘッドフォンは趣味・嗜好によって選択の幅も、広さも変わる製品だと思うので、「最近発売されたモデル」「ポータブル機」「スマートフォンと組み合わせて使える」「高過ぎない」「服装を選ばないシンプルなデザイン」と選定に条件を設けました。

 この5つを軸にいくつかの製品を試し、結果、選んだのがフィリップス「Fidelio F1」。価格は実売で2万2000円前後。夏に「よし、買うぞ!」という気持ちで買うヘッドフォンとしての、オススメです。

ハイレゾ時代のFidelioヘッドフォン

 フィリップスというと、最近では「ノンフライヤー」や「ヌードルメーカー」の印象が強いでしょうか。総合家電・電機メーカーなので、半導体から調理家電まで色々と作る同社ですが、オーディオ製品にも力を入れています。なお、日本での取扱いはオンキヨー&パイオニアイノベーションズです。

 Fidelio F1の「Fidelio」というブランド名。これはフィリップスのオーディオ製品の中でも、特に音質や造りにこだわった、限られた製品にだけ与えられるブランドです。つまり、Fidelioと名の付く時点で、期待が持てる製品ということになります。

つやつやのアルミニウム製ハウジングがよい

 Fidelioシリーズで有名なのはレトロなデザインと丁寧でバランスの取れた音作りで支持を集めた「Fidelio L1」でしょうか。L1の発売から、はや3年弱。家電量販店へ行けば「ハイレゾ」の文字が踊り、ハイレゾ音源の再生や視聴に対応しているか? というのがオーディオ機器選びの大きな基準になっている昨今です。

 このFidelio F1はそんな現代に「ハイレゾ対応ヘッドフォン」としてFidelioシリーズからリリースされたヘッドフォンです。

 どのあたりがハイレゾ対応なのかというと、周波数特性が7Hz~40kHzとだいぶ深いところから、だいぶ高いところまで出ています。メーカーによっては50kHzあたりまで出るヘッドフォンもありますが、40kHzまで出れば個人的には必要十分と考えます。ドライバーはネオジウムマグネットを採用した直径およそ40mmの振動板を採用しています。

オンイヤータイプだが、側圧はわずかに緩め。絶妙である

 一聴して分かるのはFidelioシリーズらしい、ナチュラルでクリアなチューニング。特にどこかの帯域を強く持ち上げることのない、バランスの取れたサウンドです。

 分解性能も聴き疲れを起こさない程度に高く、音に集中して個々の楽器の音を楽しむのにも使えるし、派手な音ではないため、作業をしながらぼんやりと聴くのにもちょうどよいといった感じ。

 Fidelio L1にくらべるとやはり周波数特性のおかげか、低域はより深いところから上ってくるように感じられ、高域はきらびやか(しかし、L1も12Hz~25kHzと優秀です)。尖ってはいませんが、こもる感じはまったくありません。

 音場はそれほど広くありませんが、強過ぎない程度の音圧感があり、なにかと「バランスのよい音」と形容したくなります。端的に言うと「過不足なし」な音です。反対に言えば、極端な音場感や、鼓膜を強力に刺激する迫力は、Fidelio F1は持っていません。ただ、低域は豊か。心地よい音です。

デザインも「ちょうどよい」

樹脂部は表面をマットに仕上げてあり、独特の落ち着きがある

 Fidelio F1の個性はデザインや使い勝手にもよく表われていると思います。というか個人的に好みです。

 ポータブルヘッドフォンに要求される条件はなんでしょうか? 音質でなく使い勝手の面から考えてみます。「携帯性にすぐれる」=「軽い」「小さい」「頑丈」「音が漏れない」大きくこの4つに集約されるのではないでしょうか。

アームは内側にステンレス合金を入れて補強

ケーブルは着脱式。リケーブルもできる

 Fidelio F1をその基準に照らし合わせてみます。まず、およそ108gと「軽い」はクリアです。ヘッドバンドの付け根からハウジングを内側に折り畳める機構を採用しているため、非常にコンパクトに携帯できます。「小さい」もクリアです。

 ハウジングはすこし厚みのあるアルミニウム合金製で、ヘッドバンドは本革製。アームの伸縮部など一部に樹脂を使っていますが、きちんと内側からステンレス合金で補強していて、手に持ってみた印象は、実にしっかりとしています。ある程度ラフに扱っても大丈夫そう。「頑丈」だと思います。そして密閉型のため、よほどボリュームを大きくしなければ、音は漏れません。

 3万円より下の価格帯で、この4つの条件をクリアしていて、かつ、シンプルでデザインのよいヘッドフォンって、実はあまりないような気がしています。「過不足なし」をデザイン面でも実現している点が、さすがと感じさせます。

スマホとの組み合わせでも、もちろんOK

折り畳み時は、非常にコンパクト

 さて、スマートフォンとの組み合わせです。Fidelio F1のスペックは、インピーダンス16Ω、感度107dB。スマートフォンに気軽に差して、十分鳴るように設計されています。DAP、アンプ、ヘッドフォンと重装備につなげばもちろんこのヘッドフォンのポテンシャルを存分に活かせると思いますが、屋外では、「気軽に使える」というのが何にも勝るメリットになり得ると思うのです。

 標準で付属する3.5mmケーブルは着脱式で、iPhone、Androidの主要機種に対応するリモコンが付属するので、そのままスマホと組み合わせると便利に使えますし、更にグレードの高い音質を求めるなら、リケーブルも可能です。

イヤーパッドはやわらかい合成皮革。ふかふかとしていて、装着感に優れる

 最後にひとつ、メーカーの気配りを感じた点を紹介します。Fidelio F1のヘッドバンドは本革巻きになっているのですが、イヤーパッドには合成皮革を使っている点です。人の耳って、意外に汚れていたり、汗ばんでいたりすることが多いですよね。

 本革のイヤーパッドは高級感もあるし、長持ちもするのでとてもよさそうですが、「汚れを吸いやすい」というデメリットもあります。合成皮革は、汚れたら水を含ませた布で拭いてしまって問題ないため、手入れも楽。イヤーパッド「だけ」合成皮革という点、気が利いていると感じます。コスト削減の面もあるかもしれませんが、特に夏場の利用で、この仕様の恩恵を受けられるはず。いかがでしょうか。この夏、Fidelio F1と一緒にどこかへ出かけてみるというのは。

  フィリップス「Fidelio F1」
タイプ 密閉型(バスレフ構造)
ドライバー径 およそ40mm
インピーダンス 16Ω
感度 107dB
最大入力 150mW
重量 108g(ケーブル除く)

編集部 カイツカ

 ASCII.jpでPCを中心に担当。元ふぉんじょ@ ~ヘッドフォンと女の子担当。愛用ヘッドフォンはAKG「K701」、ゼンハイザー「HD25 Alminium」、シュア「SE535」など。一度気に入るとずっと飽きないで使う派。


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