先読みできない変化には、柔軟に対応することも必要
さらに、変化への対応としてあげたのが、「会員会社の事業ドメインの変化にあわせて、協会の活動も変化させていく」という点。「変化を先読みすることも大切だがいかに柔軟に対応できるかが大切。期中に変化があれば、期初計画になくても対応していく」と、柔軟な協会運営を掲げてみせた。
具体的な領域としては、プリント・オン・デマンド分野やソリューション分野をあげる。
「プリント・オン・デマンド領域においては、標準化を行っていく予定であり、既存の印刷業界が参加する日本印刷産業技術標準化推進協議会に、我々も会員として参加し、標準化を進めるとともに、海外にも発信し、国際標準化を狙う。印刷分野の方々ともうまく連携していきたいと考えている」とする。
具体的には、「デジタルの印刷データをどう扱っていくか、オフセット印刷とは異なるプリント・オン・デマンドの技術を、ハイボリュームにも耐えうるように進化させ、給紙方法や後処理方法が、市場ニーズにあうようにするなど、印刷工程のなかに生かしていくための取り組みを行っていく」とした。
また、ソリューション分野への取り組みについては、「的を絞る必要がある」とし、「多くの介意か企業において共通の関心事であるモバイルソリューションに焦点を当てて検討していくことになる」と語った。
さらに、新事業展開を活性化するために、フィーチャーセンターにならって、イノベーション講演会(仮称)を創設。イノベーティブ志向の講演会を開催する計画も発表した。
「会員各社が取り組む新たな事業においても、健全な競争を行うための環境をつくることで、事業機会を増やしていきたい。また、標準化や規制への対応などは、業界全体で行っていくことが最適だろう」とし、変化に伴い発生する課題解決には、業界団体として率先して取り組む姿勢をみせた。
「私が最も重視したいのは、業界の持続的成長させること。私はコニカミノルタで、5年間に渡って社長を務めてきたが、その間、持続的に成長する会社にするための取り組みを重視した。世の中の変化、技術の変化に対して、業界がどう対応し、持続的に成長するためになにをすべきか。これが会長としてのテーマである」とした。
ビジネス機械・情報システム産業協会の正会員会社は28社、賛助会員は23社。2年目を迎えた松崎会長体制は、これらの会員企業が新たな事業への取り組みを加速させるなかで、業界団体としてそれを支援する活動を一気に加速することになりそうだ。
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