佐武宇綺がいい音を探す旅。この連載ではプロの現場を取材しながら、さまざまな立場で“いい音とは何か”を語ってもらっています。
これまで取り上げてきたのは音楽を収録したパッケージや音源の製作過程でした。しかしやはりいい音が生まれる場所、つまりクラシックの曲が演奏されるコンサートホールを見てみたい! というわけで東京・池袋にある東京芸術劇場を取材。音響担当の石丸耕一さん、広報担当の前田圭蔵さんにお話を伺いました。
パイプオルガンの荘厳な雰囲気に、最初は少々圧倒されていた佐武さんですが、話していくうちに取材の場の緊張もほぐれ、プロならではの印象的な言葉が飛び出してきました。
25年の節目を迎えた、日本を代表するホール
佐武 まず最初に、東京芸術劇場の歴史について教えてください。いままでそしてこれからも歴史を積み重ねて行くホールになると思いますが、設立は何年になりますか?
石丸 1990年の10月末です。つまり今年がちょうど四半期の区切りとなります。
佐武 ということは、私より年上! まだ生まれてない年です!!!!
前田 東京芸術劇場のほうが先輩ですか(笑)
石丸 そっちのほうがショックですよ、われわれにとっては(笑)
佐武 石丸さんは設立からずっといらっしゃるんですか?
石丸 はい。20歳で音響の世界に入り、51歳になりました。別の劇場で音響の経験を積んだ後、26歳で東京芸術劇場に移りましたから、人生の半分をここで過ごしたことになりますね。
佐武 東京芸術劇場は、2011年4月から2012年8月末に大規模なリニューアル工事があったと聞いています。改修前と改修後で雰囲気はやはり変わりましたか?
石丸 建物の外観はそれほど変わらないかもしれませんが、内部はまったく新しい劇場といっていいほどです。特にコンサートホール(大ホール)は床も壁も天井も一新し、大きく響きが変化しています。
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