TOP500の1位に輝く性能で
多くの組織でいまだ現役
IBMは2009年にアメリカ国防総省とSequoiaの契約を結んだが、これはまさに96ラックのBlue Gene/Qベースのシステムであった。設置場所はローレンス・リバモア国立研究所で、当初は2011年中の20PFLOPSの実現を目標にしていたが、実際には若干ずれて2012年になった。
ただ幸いなことにアプリケーションのほとんどは、Blue Gene/Pと大きくは違わないため、Sequoiaのインストールに先立ち36ラック構成のBlue Gene/PをDawnという名前で2009年に導入、ここで既存のASC PurpleやBlue Gene/Lのコードを移し変えながらSequoiaの導入に備え、2012年からフルに利用している。
2011年の11月には部分的に稼動した4ラックのシステムで677.1TFLOPSを出してTOP500の17位にランキングされたが、翌2012年6月には96ラックすべてを利用、16.325PFLOPSを実現してランキング1位に輝いた。
トップの座そのものは続く2012年11月に奪われ(奪ったのは、オークリッジ国立研究所のTitanであるが、これはまた別の話として説明したい)、2013年6月には3位に落ちるが、その後ずっとランキング3位を維持し続けているのは賞賛に値する。
実はBlue Gene/QがトップになったのはTOP500だけではない。Green500についても、例えば2012年6月のリストを見ると10位まですべてがBlue Gene/Qというありさまだ。
性能が高く、消費電力が低い(=運用コストが低い)のであれば売れないはずがない。下のリストは2013年11月のTOP500の上位100位からBlue Gene/Qを利用しているシステムを抜き出したものだが、IBM自身(87・88位)を抜いても15ヵ所で合計248ラックが利用されている。
| 2013年11月のTOP500で、上位100位以内にあるBlueGene/Q | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 順位 | 組織 | システム名 | ラック数 | 実効性能 | ||
| 3位 | 米エネルギー省 国家核安全保障局 ローレンス・リバモア国立研究所 |
Sequoia | 96 | 1万7173.2TFLOPS | ||
| 5位 | 米エネルギー省科学局 アルゴンヌ国立研究所 |
Mira | 48 | 8586.6TFLOPS | ||
| 8位 | 独ユーリヒ総合研究機構 | JUQUEEN | 28 | 5008.9TFLOPS | ||
| 9位 | 米エネルギー省 国家核安全保障局 ローレンス・リバモア国立研究所 |
Vulcan | 24 | 4293.3TFLOPS | ||
| 15位 | 伊CINECA | Fermi | 10 | 1788.9TFLOPS | ||
| 23位 | 英科学技術施設協議会(STFC) デアズベリー研究所 | Blue Joule | 7 | 1252.2TFLOPS | ||
| 27位 | 英エディンバラ大学 | DiRAC | 6 | 1073.3TFLOPS | ||
| 38位 | 米レンセラー工科大学 | - | 5 | 894.4TFLOPS | ||
| 45位 | 仏国立科学研究センター | Turing | 4 | 715.6TFLOPS | ||
| 46位 | 仏EDF R&D | Zumbrota | 4 | 715.6TFLOPS | ||
| 47位 | スイス国立スーパーコンピューティングセンター | EPFL Blue Brain IV | 4 | 715.6TFLOPS | ||
| 48位 | 豪ビクトリア州生命科学演算イニシアチブ | JUQUEEN | 4 | 715.6TFLOPS | ||
| 57位 | 高エネルギー研究所 | HIMAWARI | 3 | 536.7TFLOPS | ||
| 58位 | 高エネルギー研究所 | SAKURA | 3 | 536.7TFLOPS | ||
| 87位 | IBM ローチェスター | - | 2 | 357.8TFLOPS | ||
| 88位 | IBM ローチェスター | - | 2 | 357.8TFLOPS | ||
| 89位 | 加SOSCIP Li Ka Shing Applied Virology Institute トロント大学 |
Turing | 2 | 357.8TFLOPS | ||
もっとも、ある意味純粋な超並列コンピューターはこのBlue Gene/Qが最後かもしれない。というのは、HPCの世界にもヘテロジニアスコンピューティングの波が急激に押し寄せてきているためだ。
ただ、こちらはこちらでやや遡って説明する必要がある。ということで、次回からまたASCI/ASCの世界から外れることになる。

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