創業から100年間、リストラはしないを貫いてきたが
シャープは、1912年の創業以来、2012年に5000人規模を対象とした最初の人員削減を行うまで、100年間に渡って、人員削減は行ってこなかった。その最初の人員削減からわずか3年で、創業以来2回目の人員削減を行うことになる。そこにもなりふり構わない姿勢が感じられる。
04.jpg2011年度、2012年度と巨額の赤字を計上したシャープは、2013年度に黒字化したものの、2014年度は再びマイナス2223億円という大幅な最終赤字を計上した。長いトンネルから抜け出せないままで、構造改革を続けるシャープにとって、社員の疲弊はすでにピークに達しているはずだ。希望退職による人員削減とともに、今回は一般社員の給与削減および賞与カットにも再び踏み出すだけに、社内の志気をどう維持できるかが課題となる。
高橋社長も、「社員とどう向き合っていけるか、社員とどう心をあわせていけるかという点は、今日から始まる私の大きな課題である」と語る。
市場環境変化の中、液晶パネル事業のブレーキ
シャープが、これほどまでの構造改革に取り組まなくてはならなくなった理由はなにか。それについて、高橋社長は次のように語る。
「ガバナンス、経営管理が、外部の環境変化に弱かった」
2013年度の黒字に続き、2014年度上期も黒字基調で経営を進めていたシャープは、下期になって一気に業績を悪化させた。
シャープでは、液晶エンジニアリング事業による一過性収益の減少、売り上げ減少、モデルミックスの悪化、太陽電池に使用するポリシリコン長期契約に伴う単価差引き当て、液晶在庫評価減などの理由をあげるが、やはり最大の理由は、液晶パネル事業にブレーキがかかったことだ。
液晶パネル事業は、収益性の高いスマホやタブレット、PCなどに使用する中小型へとシフトする方針を掲げ、2014年秋には、亀山第2工場における中小型パネルの生産比率を50%にまで引き上げていた。ここまでは計画通りだった。だが、中国スマホメーカーの大口顧客の取引が、他社に奪われたことで生産量を2割削減。さらに中小型の生産比率は4割にまで縮小した。これが引き金となって、業績は一気に悪化することになる。
さらに液晶テレビについても、競争激化を背景に、欧州市場からの事実上の撤退を行った。これは今後、北米やオセアニアにも広がる。
かねてから「液晶一本足打法」の危うさを指摘されていたシャープだが、それの弱さが露呈した格好だ。
「前回の経営危機のときには、今回ほど踏み込んだ構造改革の決断ができなかった」と高橋社長は振り返りながら、「こうした急激な環境変化は、今後も起こり得ること。私自身が社長から身を引くのもひとつのやり方だが、途中で投げ出すわけにはいかない。不退転の覚悟で取り組む。新たな中期経営計画により、復活に向けた再スタートを切りたい」とする。
最終年度となる2017年度は、売上高で3兆円、営業利益1200億円を目指す。

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