原点回帰したロードスターの実力を探る!
軽量化と重量配分、そして官能性能を重視して開発されたNDロードスター。販売前だが、量産ラインから引っ張り出された試作車を実際に乗ってみた印象は、狙い通りの軽快感を感じられるものだった。
試乗したグレードは、Sの6MTとS Specialの6ATの2台。本命となるS Specialの6MTに乗れなかったのが残念だった。聞くところによると、S Specialの6MTとS Leatherパッケージ6MTは専用のディファレンシャルギアと補強パーツやスタビライザーを装着しているので、他のモデルとはやや異なったハンドリングになっているという。
まず、車両重量1トンを唯一切っているSの6MTだが、新規に開発を行なった6MTの適切なギア比のおかげもあり、十分な加速性能をもたらしてくれる。レッドゾーンの7000rpmまでしっかりと加速していき、エンジンが1.5Lにダウンサイジングしたとは思えない感覚を得られた。軽量なボディーが生み出す軽快感もあるが、ボディーの剛性が確保されているので、オープン状態でもボディーに緩さはない。
しっかり感のあるボディーに対して、足まわりのセットはやや緩い印象を受けた。上級グレードに装備されているスタビライザーや補強パーツがないためかもしれないが、ロール量は想像上に多めとなる。あえて緩くセットすることでNAロードスターのヒラヒラと動くイメージを想起させ、ハンドリングにも原点回帰を狙っているのだろう。
ただ、ドライバーのロードスター像によって、このセッティングをどのように思うのかは異なるはず。例えば、NCロードスターのRSやNR-Aといったグレードから比べれば、スポーツカーとしての感覚は薄くなっている。だが、NAロードスターこそ真のロードスターと思う人ならば、これこそが人馬一体のハンドリングたど感じるはずだ。
上級グレードのS Specialの6MTとS Leatherパッケージ6MTは、エントリーグレードとはかなり異なる味付けとなっているそうなので、ロードスターをスポーツカーとして位置づけているならば、上級グレードを購入するべきだ。
全世界でもっとも売れたライトウエイトの2シーターオープンカーとして様々な記録と、オーナーに記憶を残してきたロードスター。4世代目となるNDロードスターも、期待しているユーザーの要望に十分に応える素性に仕上がっていることは分かった。
NDロードスターはフィアットとの協業プログラムや、さらなる上級グレードなど、今後もいろいろな施策を検討しているようなので、どのような記録と記憶を残してくれるのか楽しみにしたい。
