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前年度比1.5倍の問い合わせをさばいた施策を探る

弥生のカスタマーセンターは危機の年をどう乗り切ったのか?

2014年08月26日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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8月21日に札幌で開催された弥生のカスタマーセンター見学会のレポート。前編に引き続き、後半は消費税率の引き上げとWindows XPのサポート切れという2つの危機をいかに乗り切ったのか?そして今後、弥生が目指すサポートサービスの姿についてまとめてみたい。

繁忙期といつもと違う4月が重なり、とんでもないことに

 札幌カスタマーセンターの説明会において登壇した弥生 代表取締役社長 岡本浩一郎氏は、2014年は顧客やパートナー、弥生、ひいては日本にとっても「危機」の年だったと語る。この背景にあるのは、実に17年ぶりとなる消費税率の引き上げと、Windows XPとサポート終了という2つの要因だ。

消費税率の増税とWindows XPのサポート切れが重なる2014年

 弥生では、年間で約80万件の問い合わせに対応しているが、問い合わせは年末調整や確定申告がある12月~3月に集中する。そして、このピークの時期に問い合わせが集中すると、電話がつながらず、顧客による「放棄」やセンター側での「強制切断」が発生してしまうことになる。しかし、2014年は4月に消費税率の引き上げとXPのサポート終了というビッグイベントがあった。「このままだと12~3月の繁忙期にまともにぶつかってしまう。これはとんでもないことが起こるというのが、われわれの危機感でした」(岡本氏)。

 これに対応すべくまず実施したのが、札幌カスタマーセンターの大幅な増床。床面積を従来の1.8倍、席数を1.9倍にまで増加し、大阪と合わせて630席を確保した。

2014年の危機を踏まえ、札幌カスタマーセンターを大幅に増設

 しかし、単に席数を増やしても、危機は乗り切れない。「反省を込めて振り返ると、今までは来る問い合わせを受けるだけ。能動的に計画を立て、そこに近づけて行く活動はできていなかった」(岡本氏)。そのため、人材育成による生産性向上とスキルの蓄積、プロアクティブなPDCA、コールの能動的な制御といった3つの戦略を元に、ソフト面での充実を図った。

 この戦略の一環として行なったのが、正社員業務職制度の創設だ。従来、カスタマーセンターは有期雇用の契約社員を中心に行なっていたが、正社員への登用は年間で1~2名の高い壁があった。そこで、新たに正社員として「業務職」を新設し、年間約40名程度を登用するようにした。異動や転勤があり、職能給となる総合職に対し、職務給となる業務職ではオペレーションの確実な実行と改善が求められ、異動や転勤もない。安定したキャリアとして正社員率を高め、カスタマーセンターの品質向上に取り組めるようにするのが目的だ。「安心してスキルを蓄積し、キャリアを伸ばしてもらう」ということで、離職率の低下につなげたいという。

新たに正社員業務職制度を創設し、年間約40名を登用することに

 その他、弥生自体のMission、Vision、Valueを社員全体で再共有したり、長期的なスキル蓄積のための研修やフォローアップ、経験の浅いスタッフと長いスタッフの組み合わせを工夫するなど、さまざまな施策を実施した。

 この結果、年末の調整期には着信数16%増加にもかかわらず、処理件数は43%増を実現。通期では、実に前期比約1.5倍となる125万件の問い合わせに対応できたほか、特に最繁忙期の2014年3~4月には1.8倍以上の問い合わせに対応した。通期の総対応率も目標の88%を超える見込みになっており、「合格とは言えないが、健闘とは言えるのではないだろうか?」(岡本氏)というレベルを実現した。

合格とは言えないが、健闘とは言えるレベル

問い合わせ自体を不要へ!サポートも進化

 人材面、スキル面で大幅な強化を行なったカスタマーセンターだが、今後はどのようなチャレンジを進めるのか? まずは前述した業務相談サービスの拡充だ。現在は仕訳や確定申告、消費税改正業務などの相談を展開しているが、来期は経理業務相談も提供する予定。今後は給与や労務のエリアで相談できるようにしていくという。

 また、そもそも問い合わせ自体を不要とするための施策も進めている。たとえば、例年問い合わせが集中する年末調整の時期には、業務と操作の流れがわかる年末調整ナビを導入したほか、年末調整に関する冊子や動画を提供した。実際、こうした施策のおかげで、問い合わせ率も低下したという。「純粋に操作のサポート自体は減っており、業務支援の方に流れている印象」(岡本氏)。

 そのほか、顧客の許諾の元、PCを遠隔操作してサポートする「画面共有サポート」や、問い合わせをしてこないサイレントな顧客に対してアウトバウンドで情報提供を行なう「アドバイザリーデスク」、業務の疑問や不安、不満を抱えているユーザーをSNS上で見つけ、働きかける「アクティブサポート」なども展開。さらに今後は弥生オンラインのようなクラウドサービスでも同様の製品・業務サポートを導入していく予定だという。

顧客のPCを遠隔で共有する画面共有サポート

 岡本氏は「われわれは業務ソフトメーカーにとどまるつもりはない。事業コンシェルジュとしてお客様の業務を支援していく。それを担っているのが、弥生のカスタマーセンター」とまとめた。

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