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従来の汎用サーバー設計を大幅に刷新した“ワークロード特化型サーバー”

HP、HPC向け「Apollo」水冷スパコンと高密度サーバー発売

2014年08月08日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は8月7日、ハイパースケール/ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)向けシステム「HP Apollo」ファミリーの最初の製品となる、高密度x86サーバーシステム「Apollo 6000 System」および水冷式スーパーコンピューター「Apollo 8000 System」の国内販売を開始した。

 HPでは、サーバーが実行するワークロードを4つに大別し、それぞれの用途に最適化された製品ポートフォリオを構成していく方針を示している(関連記事)。そのうちHP Apolloファミリーは、高密度実装技術を盛り込んだHPC/ハイパースケール向けの製品シリーズに該当する。

HPではワークロードを4分類し、それぞれに適したサーバーポートフォリオを構築していく方針を示している。ApolloはHPC/ハイパースケール向け製品シリーズ

電子回路設計(EDA)などに適した高密度Apollo 6000 System

 Apollo 6000 Systemは空冷式の高密度サーバーシステムで、5Uサイズのシャーシに最大10のサーバートレイを搭載できる設計。電源モジュール(パワーシェルフ)は1.5Uサイズの外付け型となっており、1台のパワーシェルフで最大4基のシャーシに12V DC電源を供給できる。

 同時に発売されたApollo 6000用のサーバートレイ第一弾「ProLiant XL220a Gen8 v2」は、1トレイ上に1wayサーバーを2ノード搭載した設計。CPUには4コア/最大3.7GHzの「Xeon E3-1200 v3」ファミリーを採用している。このサーバートレイを利用することで、1シャーシあたり最大20ノード、46Uの1ラック換算で最大160ノード(8シャーシ+2パワーシェルフ)を格納できる。

Apollo 6000 System(シャーシとサーバートレイ)。上に載っているのがパワーシェルフ(外付け電源モジュール)

サーバートレイのXL220aは、1way Xeonサーバーを2ノード搭載している

 電源部を外付けにしたことでシャーシの奥行きは約860mmに抑えられ、標準的なサーバーラック(奥行き1000mm)への設置が可能となっている。サーバー内部のエアフロー改善効果もある。また、シャーシ背面のネットワークI/Oモジュールとサーバートレイが分離されているため、サーバーのメンテナンスはすべて前面から可能だ。

 日本HP HPサーバー製品統括本部の岡野家和氏は、今回のApollo 6000第1弾モデルでは高クロック/少コアのノードを搭載しており、電子回路設計(EDA)やモンテカルロシミュレーションといったワークロードに適していると述べた。すでにインテルがチップ設計などのEDA目的で同システムを採用しており、「現在では数万ノードを導入している」(岡野氏)という。

 さらに今後、Apollo 6000では、その他のワークロードに対応したサーバートレイも順次投入予定だ。異なるモデルのサーバートレイを混在させることも可能。

 HP Apollo 6000 Systemの希望小売価格(税込)は、523万1520円(シャーシ1台、パワーシェルフ1台、XL220aサーバートレイ10台=20ノードの構成に基づく)。

1ラック250T FLOPS超、電力コストも抑制するApollo 8000

 Apollo 8000 Systemは、独自の水冷技術と高密度サーバー技術を採用したスパコンシステム。サーバー搭載ラックと給水装置ラックの組み合わせで構成され、1給水ラックあたり最大4本のサーバーラックを冷却することができる(床下に給水配管の設置が必要)。

Apollo 8000 Systemの概要。サーバーラックと給水ラックの組み合わせで構成される

 同時発売のサーバートレイ「ProLiant XL730f」は、1サーバートレイに2way Xeonサーバーを2ノード搭載している。1サーバーラックあたり144ノードが格納可能で、1ラックあたりの計算能力は250T FLOPS超となる。

 従来からある水冷スパコンと異なり、Apollo 8000では水冷システムとサーバーを完全に分離した設計となっており、サーバー内に水を循環させないのが特徴。万が一、水漏れが発生した場合でもサーバー部には影響を与えない。

CPUやメモリなどサーバー内部の高発熱部分には熱伝導率の高いヒートパイプが通っており、サーバートレイ側面の金属部に熱を逃がす。この金属部に密着するラック側の水冷バー(Thermal Bus Bar)がラック外への排熱を行う(写真は6月のHP APJ Media Summitより)

 また、冷却に常温水(25℃まで)を使用できチラーが必要ない点、空冷を併用するものの外気温にほとんど影響を受けない(マシンルームを強く冷やす必要がない)点も特徴となっており、一般的な空冷スパコンと比較して大幅に電力コストが削減できるという。

 岡野氏は、Apollo 8000では空冷式で不可能な高密度実装によって高い処理能力を実現しており、なおかつ電力効率の高い新しい水冷技術を投入している点を強調した。同製品は、米国政府の再生可能エネルギー研究機関であるNRELとの共同開発で生まれた製品であり、「グリーンHPC」を強く意識した設計となっている。また、NRELでは冷却に使われた温水を暖房や融雪に再利用して、さらにOPEXを削減しているという。

 希望小売価格(税込)は2億5152万1200円(サーバーラック1台、給水ラック1台、XL730fサーバー72台=144ノードの構成に基づく)。またHPによれば、近日中にGPGPU用途のサーバートレイも発表予定だ。

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