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Appleのモバイル&サービス戦略を紐解く

WWDC 2013レポート後編—デザイン刷新の「iOS 7」

2013年06月14日 11時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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カメラと写真(アルバム)アプリも強化

 カメラと写真(アルバム)アプリも強化されている。まず、カメラでは従来の画角とパノラマに加え、「Square」という真四角の画角が追加されている。このほかLive Filter機能が搭載され、撮影時点からモノクロームや各種テーマのフィルターをかけた状態でのプレビューが可能になった。

カメラアプリでは、撮影時点でフィルターを適用できるLive Filter機能を搭載

写真アプリは日時や場所などのイベント単位での閲覧性を重視

 写真アプリは単に時系列で写真を並べるだけでなく、撮影場所や日時ごとに分類した状態でサムネイルを一覧表示する機能が搭載されている。年単位など過去の撮影画像すべてを小さなサムネイルで一覧表示可能で、Macを使わずともiOSデバイスだけでアルバム閲覧を楽しむ仕組みが用意されつつあることが分かる。こうした写真はAirDropで友人に受け渡したり、iCloud上で簡単にシェアしてコメントを付与するなど、さまざまな使い方が可能だ。

 音声ナビゲーターであるSiriも機能強化が進んでいる。音声バリエーションの追加のほか、WikipediaのSiri検索画面での直参照など機能統合が進んでいる。また、コンセプトの発表段階だと思われるが「iOS in the Car」という形で車のダッシュボードにあるコンソール画面と連動してiOSの機能を呼び出したり、ナビゲーションを担当させたりと、連動性を高める仕組みが搭載されるようだ。

 iPhoneやiPodを接続して楽曲ライブラリーを呼び出すなどの仕組みはすでに車載システムに搭載されているケースが多いが、これをさらにiOS全体のシステムにまで拡張するということだ。基調講演の壇上では複数の自動車メーカーの名前が掲載されており、今後同インターフェースを搭載していく意向だという。もっとも、以前、同種のコンセプト発表に自動車メーカー側から否定されたケースがあるため、実際に正式アナウンスが行なわれる段階までは、期待程度にとどめておくほうがいいかもしれない。

噂のiRadioこと「iTunes Radio」が登場

 WWDCが始まる前、iOS 7のUIリニューアルとともに噂となっていたのがAppleの提供するインターネットラジオサービスだ。「iRadio」などの仮称で呼ばれていたが、最終的に「iTunes Radio」の名称でサービスインすることになったようだ。

 昨今、インターネット上ではテーマ別に編成された音楽ストリーミングを広告付きで無料で流し続けるインターネットラジオや、月または年契約で音楽が聴き放題になるサブスクリプション型サービスが急速に増えている。前者で代表的なものがPandoraで、後者が欧州からスタートしたSpotifyや、Rdioといったサービスだ。

 AppleのiTunesは音楽のネット配信において革新をもたらしたが、一方でダウンロード提供のみというスタイルは昨今のトレンドからは少し古いスタイルとなりつつあるのも事実だ。これに対するAppleの回答のひとつがiTunes Radioというわけだ。

ついに発表されたAppleのインターネットラジオサービス「iTunes Radio」

iTunes Radioのメイン画面。テーマに応じたStationが200以上用意されている

 iRadioの仕組みはシンプルだ。テーマごとに用意された「Station」が200以上存在し、これで好きなジャンルの曲をストリーミング形式で楽しめる。配信は広告を使って無料で行なわれているほか、再生中の楽曲を気に入ったならそのままiTunesでダウンロード購入も可能。また年額24.99ドルのiTunes Matchを契約しているユーザーであれば、この広告表示を消して純粋に楽曲のみを楽しめる。

 Stationは既成のもののほか、自身でジャンルやアーティストを選び、かつ特定の条件でフィルタリングを行なうことで自分独自のカスタマイズされたStationを作成可能だ。また、iTunes RadioのStationのみに独占配信されるライブや放送もあるので、これらを楽しむためにサービスを活用するのも手だ。iRadioはiOS上では音楽アプリで再生できるほか、MacやWindowsではiTunesを使って楽しむことができる。同サービスの提供時期は秋以降とみられるが、米国以外での提供計画については現時点で不明だ。

Stationの再生中はこんな感じ。気に入った楽曲であればiTunesでそのまま購入が可能

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