屋外での気軽なリスニングをはじめ、室内でのリスニングで愛用する人が増えているヘッドホン。
親しみやすいアイテムだけに、いつも何気なく使っている人が多いと思うが、オーバーヘッドから、人気の高いイヤホンタイプと種類も豊富、発売するブランドも世界中にたくさんある。音を出す仕組みなんてみんな同じだと思うかもしれないが、実際にはかなり奥の深い世界なのだ。
本特集では、そんなヘッドホンの魅力をさまざまな角度から紹介。第1回目となる今回は、ヘッドホンで採用されている数々の新技術や新素材について、JVCケンウッド、ソニー、オーディオテクニカの3社インタビューを交えて解説していく。ヘッドホンやスピーカーは、最新のエレクトロニクス技術に比べればいわゆる枯れた技術かもしれないが、それでも最新ヘッドホンはハイテクがたっぷり詰まっていることがわかるだろう。
なお、2回目では老舗ヘッドホンについて、3回目ではスマートフォン向けヘッドホンについて取り上げていく予定だ。
音に関する重要なファクターだからこそ
さまざまな素材にトライするJVCケンウッド
JVCケンウッドは古くからヘッドホンを発売しているメーカーだが、木材を使用した振動板など、ユニークな素材を採用することでも知られる。
そんな同社はインイヤーヘッドホンのハウジングや振動板に木材を採用する「ウッドドームユニット」モデルとして、「HA-FX700」(実売価格2万2000円前後)と「HP-FX500」(同1万円前後)を発売している。
今回話を聞いた伊藤 誠氏(株式会社JVCケンウッド ホーム&モバイル事業グループ HM技術統括部 商品設計第三部 第一設計グループ長)は、自らもベースを演奏するほどの音楽好きだ。
伊藤(以下、人名敬称略):「ギターは、ボディーやネックなどのパーツで作られていますが、木材の種類によって随分音が変わります。ヘッドホンの場合はそれほど顕著ではありませんが、初のウッドドームユニットを採用したHP-FX500では、見た目だけでなくボディーも音をひびかせる木製を使いたかったのです」
木製の振動板も実用化にはかなり時間がかかったというが、屋外で使うインナーイヤー型に木製のハウジングを使うのもなかなか困難だったようだ。
木材は湿度によって膨張や収縮をするため、空気漏れが起きやすい。湿気などに強く寸法の狂いが生じないように加工することが難しかったという。
また、仕上げはあえて艶(ツヤ)を抑えた「3分艶」としたそうだ。もっとツルツルに仕上げることもできたのだが、「3分艶」のほうが木目の質感がしっかりと出て、しかも使い込んだときの味わいもいいという。
伊藤:「持つ喜びはヘッドホンの大事なポイントだと思います。音がいいことはもちろんですが、見た目の点でもいろいろな素材を使ってみたいと思いますね。もちろん、どれが一番という話ではなく、いろいろな種類のものを好みで選べるのがいいと思います」

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