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最新ヘッドホンでミュージック・ライフを向上しちゃおう! 第1回

ヘッドフォンに新素材! カーボンナノチューブから木材まで

2012年07月02日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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金属、樹脂、木材、素材を変えると音は変わる!?
素材にこだわるオーディオテクニカ

独特の形状をした「ATH-CKM1000」

独特の形状をした「ATH-CKM1000」

 続いては、ヘッドホンメーカーとして人気の高いオーディオテクニカだ。同社は昨年50周年記念として、アニバーサリーモデルも登場している。なかでも「ATH-CKM1000」(実売価格3万5000円前後)は、カナル型ダイナミックヘッドホンの可能性に挑戦した意欲的なモデルだ。

 ATH-CKM1000は、チタン鍛造ボディとアルミケースの採用など、あまり使われないぜいたくな素材を使用している。まずはこういった素材をどうして選んだのか、オーディオテクニカの小澤博道氏(技術部 六課 マネージャー)と、國分裕昭氏(ゼネラルサポート部 営業企画課 商品開発グループ)に話を聞いた。

オーディオテクニカ ゼネラルサポート部の國分裕昭氏

オーディオテクニカ ゼネラルサポート部の國分裕昭氏

 國分:「CKM1000のボディーは、銀色の部分がチタンでロゴの入った黒い部分にアルミを使っています。チタンは軽量で強度が高く音質的にも優れた素材で、金属アレルギーが出にくいなど、肌に触れるインナーイヤー型としては有利です。しかし、加工しにくいためあまり使われることがありません。だからこそ、採用しました。50周年記念モデルでもありますし、他社ではなかなかできない技術の高さをアピールしています」

見事なまでにツルツルな表面にも苦労が……

見事なまでにツルツルな表面にも苦労が……

 鍛造のチタンを削りだしたボディーは、さらに手磨きで研磨仕上げとなっている。チタンというと食器などではザラザラとした質感のものもあるほどで、硬度が高いため表面加工は難しい。それをここまでツルツルに仕上げるのはそれなりの手間がかかっているようだ。

オーディオテクニカ 技術部 マネージャーの小澤博道氏

オーディオテクニカ 技術部 マネージャーの小澤博道氏

 小澤:「研磨のための研磨材によっても、仕上がりの色が変わります。そのため、特別な研磨材を選んで使用しています。それでないと、ここまでの輝きが出なかったのです」

 それにしても、たくさんの手間をかけてさまざまな素材を使うというのは、やはり音質に効果的だからなのだろうか。例えば、金属や木材だとその素材の音がするのだろうか。

 小澤:「インナーイヤー型はボディーも小さいですし、素材の音がヘッドホンの音に直接影響するということはありません。安価で使いやすい樹脂よりも不要な振動が少ないなど、音へのメリットもありますが、どちらかというと見た目の質感や重さなどが重要ですね。金属ならば、静電気対策で非磁性かどうかも肝心です」

金属アクセサリーにも見える美しいハウジングパーツ

金属アクセサリーにも見える美しいハウジングパーツ

 確かに、この小ささとなってしまうと音への影響は少ないだろう。個人的には見た目に高級感がある金属製のハウジングなどは割と好ましく思っていたが、加工しやすさはもちろんのこと、静電気対策などにも配慮して素材が選ばれているというのは気がつかなかった。素材の吟味もなかなかに難しそうだ。

 そして、音に関わる一番のパーツであるドライバーユニットの話に移ろう。AH-CKM1000が使っている14mmドライバーは、同社のカナル型としては最大のサイズ。口径が大きいほど低音が出やすいが、大きすぎればボディーが大きくなり、振動板が耳から遠くなってしまう。ほんの数ミリの距離だが、ヘッドホンではこの影響はかなりあるという。そのため、ユニットが大きければいいというわけではないようだ。

ドライバー収納部にはポートが開いている

ドライバー収納部にはポートが開いている

 専用開発のドライバーは、数種類の素材から選んだ振動板を、厚みや形状を最適化して採用している。ヘッドホンの振動板は厚みによる音の変化が大きく、薄くなると強度が弱くなり、クセが出やすいそうだ。このあたりの選択にはオーディオテクニカ独自のノウハウがたっぷりとあるという。

 そして、磁気回路には「パーメンジュール」という高磁性体を使用。あまり聞き慣れないものだが、それもそのはず。スピーカーでもコンプレッションドライバーの一部でしか使われていないもので、かなり高価な素材だそうだ。

 小澤:「パーメンジュールは、歪み損失が少なく、音の立ち上がりなど応答性が優れていることが大きな特徴です。高価にはなってしまいますが、おかげでインナーイヤー型でもこれだけの音質を実現できましたね」

 もちろん、優秀な素材や材料を組み合わせれば簡単にいいものができるというわけではなく、素材の厚みや形状の見直しなど、いくつものトライを重ねてようやく完成したという。バッフル面(イヤーピースが付いている平らな部分)に付けた小さな穴でボディ内の空気圧を制御し、振動板を動きやすくする工夫なども加わっている。

 國分:「CKM1000の開発で、インナーイヤー型の持つポテンシャルの高さに改めて驚きましたね。音響特性などのスペックというよりも、音の奥行き感の表現力は大きな魅力だと思います。こうした音の可能性の追求は今後もずっと続けたいですね」

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