ネット・オーディオの最先端を理解するためのキーワード
今、まさに拡大を続けているネット・オーディオ。最低限のシステムとしてはネットワーク・プレイヤーとNASを用意すれば整えられるが、より高音質・より便利な再生環境を目指す取り組みは非常に多岐に渡っている。
そこでネット・オーディオの最先端の姿をいくつかキーワードをピックアップして紹介しよう。
音楽フォーマットはWAVかFLACが人気
ネット・オーディオで現在主流になっているソースは音楽CDからのリッピングだ。PCでリッピングした音楽の生データは44.1Hz/16bitのWAVファイルになる。高音質を追求するネット・オーディオではモバイル環境での再生を意識しないため、ファイルサイズもさほど問題にはならず、互換性を重視してCDをリッピングしたまま無圧縮のリニアPCMでそのまま運用するユーザーも多い。ネット・オーディオの真髄は高音質再生にあるのだ。
もう1つの流行はFLACによる可逆圧縮で、ネットワークプレーヤーの主要製品ではほとんどサポートされている。よりカジュアルに使いたい人向けに、もちろん一般的なMP3/AAC/WMAといったPCやモバイルオーディオ向けの圧縮音源も流用可能だ。
高音質のデジタル音楽をネットで入手できる
ハイレゾ音源配信
高音質ネット・オーディオでは、音楽CDやCDをリッピングしたデータに止まらない。ソースの時点から高音質化する手段としてリニアPCM/FLACによる、より高音質な音楽配信も始まっている。
代表的なサービスは、PC向けにDRM(著作権保護技術)付きで最大96kHz/24bitの楽曲を販売している「e-onkyo」だが、ほかにもDRMフリーのサービスが幾つもある。
例えば、クリプトンの「HQM STORE」はFLAC形式の192kHz/24bit楽曲を、「LINN Records」はFLACとアップルロスレスで音楽を配信している。
このほか、SACDの音楽フォーマットだった「DSD」ファイルによる配信も「OTOYO」によって始まっている。扱うジャンルはクラシックやジャズなどオーディオファン好みのジャンル中心だ。
DLNA対応/スマートフォン対応はあたりまえ
ネットワークプレーヤーの説明として、UPnP/DLNA対応という言葉が出て来た通り、現在のネット・オーディオはすべてのメーカーがDLNAと同じUPnPベースで再生をコントロールしている。
つまり、PC向けの一般的なUPnPの音楽再生ソフトと互換性があるのはもちろん、「iMediaShare」などiPhone/Android向けのDLNA系アプリでもコントロールできる。既にDLNAを音楽再生に使っている人は、手持ちのアプリがそのまま流用でき、PC派のユーザーとも親和性が高いのだ。
アップルユーザーも安心のAirPlay対応
iPhoneなどアップル派ユーザーなら、DLNAよりもAirPlay対応の方が便利という人も多いだろう。今回取り上げたネットワークメディアプレーヤー製品のなかでも、パイオニアのネットワークプレーヤーのN-50や、AVアンプのVSA-921はAirPlayにも対応する。
考えようによっては、PCにアップルロスレス形式で音楽を取り込み、iPhoneからAirPlayで再生するだけでも高音質のネット・オーディオ環境を構築できるのである。