11月16日、ライムライト・ネットワークスは日本国内でのSaaSを拡張することを発表した。新たに提供されるのは、「Limelight Accelerate」製品ファミリーの「Limelight Accelerate Commerce」「同Web Applications」「同Mobile」「同Express」と「Limelight Reach」製品スイートの「Limelight Reach Video」「同Ads」「同Interactive」と、「Limelight Video Platform」となる。いずれも、同日提供開始。
ビデオ配信を重視した低遅延CDNに付加価値サービスを実装
まず説明を行なった米本社の会長兼CEOのジェフ・ランズフォード氏は「ライムライト・ネットワークスが11年前に設立された時、『ビデオのトラフィックがインターネット上で大きな比率を占めるようになる』と予想し、それに対応できるグローバルなプラットフォームの整備に取り組んできた結果、現在ではインターネットの全トラフィックの約15%をライムライトのネットワークが担っている」と語った。同社のネットワークは急成長を続けており、この4年間でトラフィック量は50倍に増大しているという。
CDNとしての同社のネットワークの特徴は、ビデオ配信を意識した高速かつ低遅延なネットワークを構築している点だ。同氏は競合他社とのサービス品質の比較データを示し、他社に比べてよりレスポンスが速く、かつレスポンス時間の変動も少なく安定した品質を提供することができているという。また、ビデオストリームの再生途中でリバッファリングが発生して再生が一時停止してしまうと、視聴者5人中4人は視聴を止めてしまう、という調査結果を紹介した上で、1ストリーム再生中にリバッファリングが発生する確率を競合他社と比較したデータを示し、自社サービスの品質が優れていることを強調した。
そして、同社が現在推進している成長戦略は、この高品質なCDNをプラットフォームとして、その上に「競争力があり、収益性もあるSaaS型ソリューション」を構築/提供することだ。今回発表された製品群がそれに当たる。
なお、同氏は「SaaS型」「クラウドサービス」「Value Added Service(付加価値サービス)」といった語を使ってこれらのサービスを説明している。SaaS型という言葉だけでは漠然とした印象もあるし、何しろCDN自体がネットワークサービスであり、本質的にSaaS型だとも言えることにもなるだろうが、今回追加されたサービス群は、スマートフォンなどの各種端末に合わせて最適化されたコンテンツを配信したり、オンラインでコンテンツ管理を実現したり、Webアプリケーションの高速化を行なったりといった、従来のCDNに追加される新たな機能群だと考えれば分かりやすいだろう。
その意味では、同氏が使った言葉の中では「Value Added Service」がもっとも分かりやすいように思われる。すでに提供開始されるグローバル市場での実績では、Video、Mobileがともに2010年第3四半期から2011年第3四半期までの1年間でいずれも180%成長という高い伸び率を示しているといい、ユーザーからの反応も良いようだ。
スマートフォントラフィックが成長を呼ぶ
続いて、ライムライト・ネットワークス・ジャパンの代表取締役社長兼米本社のアジア・パシフィック地域 バイスプレジデントのアンドリュー・クラーク氏が日本国内での取り組みについて説明した。
同氏は国内でスマートフォン市場が急速に伸びているというデータを示すとともに、スマートフォンユーザーの特徴として、従来型の携帯(フィーチャーフォン)と比較した場合、「1日あたりの平均Web閲覧時間が約3倍」「ブログ/SNSつぶやき系サイトの利用時間が約2倍」「動画視聴時間が約4倍」というデータを挙げ、スマートフォンの普及に伴ってデータトラフィックが爆発的な増加を示すと予測、これが同社の成長に繋がるとした。日本法人は設立からの約4年でグローバルの売り上げの10~15%を占めるまでに急成長したそうで、同氏は今後の目標として「現状の売上比率を維持したまま、グローバルの成長と同じペースで国内も成長する」「こうした成長ペースを今後4~5年にわたって維持していく」と語った。