6月27日、日本ヒューレット・パッカードはネットワーク管理ソフトウェアの最新版「HP Network Node Magager i-Series 9.10 software(以下、NNMi 9.10)」を発表した。1台の監視サーバーで複数の組織を監視するマルチテナンシー機能を追加した。
マルチテナンシー機能で複数拠点の管理も容易に
NNMiはかつてHP OpenView NNMと呼ばれていたネットワーク管理ツールの定番。「幅広い情報を集めて、解析し、オペレーターにわかりやすく知らせる」という簡単、賢い、広いを大きな特徴となっているという。HPソフトウェア事業統括 ITマネジメント・ソリューション技術部 梅根 庸一氏は、「SNMP等での情報収集はどのツールでも実現できる。他社製品やフリーソフトと大きく違うのは、集めた情報を元に障害やパフォーマンスの劣化を事前に検出する『賢い』という部分」と差別化ポイントをこう説明する。
新バージョンのNNMi 9.10では、まずマルチテナンシー機能が追加された。これは1台のNNMiサーバーで、複数の部門や拠点、会社を同時に管理し、部門や拠点、会社ごとにアクセス権限を個別に指定できるというもの。
また、トラブルシューティングに必要な各情報を1画面に集約した「アナリシスペイン」の追加も挙げられる。デバイス情報、トポロジ、MIB、ステータスなどをまとめて統合化し、さらに分析結果も表示できる。
オプションのiSPI Performanceという性能管理ツールも拡充された。強化さえたのはリソース管理を行なう「iSPI Performance for Metrics」、トラフィックの内訳を見る「iSPI Performance for Metrics for Traffic」、回線品質を管理する「iSPI Performance for QA」の3つ。新バージョンでは、データの保存期間が70日から13カ月にまで大幅に長期化したほか、将来予測レポートの追加(Metric)、jFlowやIPFIXの対応(Traffic)などが行なわれた。
一気通貫の管理に大きな強み
こうしたNNMiを包括する取り組みとして、日本ヒューレット・パッカード HPソフトウェア事業統括 ITマネジメント・ソリューション事業部 事業部長 山本明厚氏は、HP Automated Network Managementという同社のネットワーク管理モデルについて説明した。
山本氏は、新しいネットワーク管理が必要になる背景として、クラウドやスマートフォンなど新しい技術への対応、管理機器の増大による障害インパクトの増大、トラフィック増加とパターンの複雑化、コスト削減のプレッシャーなどを挙げた。こうした課題を解決するため、HPでは構築、監視、分析、メンテナンスのフローで製品を用意し、これらを緊密に統合化していくという。「個別の製品を組み合わせると、事前テストの負荷も大きいし、障害の検出も大変になる。これに対してHPはAutomated Network Managementという管理モデルで一気通貫にご提供していく」(山本氏)とのことで、他のツールを読み出してきたり、データを共用することが可能になるという。