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3・11以降、急増するデータセンター移設の需要に応える

災害対策に自信あり!NTT Comの東京第5データセンター見学

2011年04月27日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月22日、NTTコミュニケーションズは4月25日にオープンした「東京第5データセンター」を報道陣に公開した。東京都文京区という足のよさに加え、昨今重要視される耐震性やグリーン性能など、高いレベルのスペックを伺うことができた。

関東で一番安全な都市型データセンター

東京第5データセンターのビル全体のイメージ図

 東京第5データセンターは、NTTコミュニケーションズが3年前に建設を発表していた都市型のデータセンターで、国内では72箇所目のデータセンターになるという。東京都文京区にあり、駅からも約5分という好立地。地上16階の高いビルがデータセンター専用として建築されている。

 見学会の冒頭、NTTコミュニケーションズでデータセンターの企画に携わる深村有史氏は、第5データセンターのコンセプトについて「この数年、都内ではデータセンターの建築ラッシュで、激しい販売合戦が繰り広げられている。弊社としても、こうしたデータセンターと差別化を図るためコンセプトを考えに考え抜いた」と説明。当初は通信事業者ならではのネットワークや国内データセンター最高レベルとなる「PUE1.45」のグリーン性能を押し出そうとしたが、3・11の大震災以降、地震や水害などあらゆる災害への耐久性という本来の強みを主軸に据えたという。

NTTコミュニケーションズ ITマネジメントサービス事業部 アウトソーシングプラットフォーム部 DCプラットフォーム部門 担当部長 深村有史氏

 もとより、データセンターには災害などのリスクからIT資産を守り、継続的に運用するという目的がある。今回の大震災の影響で災害へのリスクが再認識され、さらに計画停電という想定外の事態がもたらされたことで、多くの企業は電力供給にも大きな不安を抱えることになった。その点、東京第5データセンターでは、水害、地震、火事、停電、犯罪など、あらゆるリスクを想定した設計が施されているという。特に地震への備えについて深村氏は、記者に対し「いま皆さんは、関東で一番安全なところな場所にいる。このビルは3月11日の震災時にもびくともしなかった」と述べ、対策に万全を期していることをアピールした。以下、同社から提供された写真を元にデータセンターの内部を紹介しつつ、ファシリティやグリーンへの取り組み、セキュリティなどを解説する。

グリーンへの取り組み、高いセキュリティ

 ビルは鉄筋コンクリート造の地下なし16階建て。強度の高いプレキャストコンクリートを外壁に採用し、1年という短期で竣工までこぎ着けたという。外見で目立つのは、側面に設置された太陽光発電パネルと外壁への熱負荷を下げる高層壁面緑化であろう。太陽光発電も「30kw程度で館内の照明の一部を満たす程度」(説明員)なので、効果としては決して大きくはないが、自然エネルギーを積極的に取り入れようという姿勢が伺える。

ビルの側面に設置された太陽光発電パネル

 地上2階までの部分にはエントランス、プレゼンテーションルーム、ワークスペース、打ち合わせスペース、トラックヤードなどが配置されている。入室するためには、事前にWebサイトから入館申請を行ない、エントランスの受付で写真入りの身分証明書を提示。入館用のカードの提供を受けると共に、生体認証用の本人データを登録する。コロケーションルーム(いわゆるサーバールーム)などアクセスが制限されたゾーンには、カードと生体認証をクリアしないと、立ち入ることができない。外部からIT機器にたどり着くまで、7段階のチェックが入るという。当然ながら、監視カメラも至る所に設置されており、セキュリティはきわめて高いといえる。一方、館内のケータイの利用はOKで、休憩室も用意されてる。作業するエンジニアにとってはありがたい。

2階吹き抜けで広々としたエントランスロビー

カードと生体認証を用いたセキュリティゲートで、アクセス制限ゾーンに入れる

至る所に監視カメラが設置されている

飲食可能な休憩コーナーも用意されている

機材等を運び込むトラックヤード。シャッターを下ろして上げ下ろしの作業ができる

エントランスから階段で上がると、打ち合わせコーナーも設置されている

 コロケーションルームや通信機械室、電力室などは、地上3階以上に設置されている。もとより東京湾からは約5km離れているが、万が一津波という事態に陥っても安全な高さを確保しているといえる。通信は3系統で引き込まれているほか、電力も2系統で用意されている。

 このうち4階の電力室にはUPS(無停電電源装置)と自家発電装置が設置されている。自家発電装置は、屋外に設置されているところもあるが、基本的には航空機のエンジンと同じなので、動作時は爆音が発生する。そのため都市型データセンターの場合は、近隣に配慮し、屋内に設置されるという。停電時は、まずN+1の並列冗長構成のUPSにまず切り替わり、UPSで給電できる10分の間にガスタービンエンジンの自家発電装置に切り替わる。自家発電装置は無給油で24時間運転が可能なので、停電が長時間におよんでも安心。燃料も敷地内のタンクに貯蔵されているほか、災害時にも優先契約を受けているため、近隣から早急に供給できる体制が整っているという。

電力室のバッテリとUPS

停電時も有効な非常用の発電装置

 4階より上はすべてコロケーションルームになっている。コロケーションルームの入り口には、「サークルゲート」と呼ばれる円筒型の二重扉が用意されている。体重などもセンサーで検知し、友連れができないようになっているという。

コロケーションルームに入室する際に使うサークルゲート。中ではカードと生体認証が行なわれる

 コロケーションルームは郊外型と異なり、さすがにややこぢんまりした印象。床下から60cm底上げされており、ケーブルなどが配置されるほか、コロケーションルームの外に設置された空調機からの冷気の通り道ともなっている。床下の冷気はラックの前面から吸気され、ラック背面から排気。天井のスリット経由で空調機に戻すというエアフローを採用する。これにより、こうしたエアフローの最適化により、従来に比べ最大35%の省エネを実現するという。もちろん、火災への対策も万全で超高感度レーザーで熱源を感知。警告の後、窒素ガスでの消火を行なう。冷却も消火も水を一切使わないわけだ。

コロケーションルームには分電盤やラックが備えられつつあった

 特徴は供給電力種別のバリエーションで、単相100V/200V/三相200Vのほか、高電圧直流給電(HVDC)にも対応する。現在、多くのデータセンターでは交流で給電された電力を、UPSやCPU、HDDなどの部品のために何度も直流に変換している。HVDCの直流給電により、変換回数を減らせば、エネルギーロスを大きく減らせるわけだ。まだ対応の機器は少ないが、将来的には注目の技術となるだろう。

(次ページ、4つの免震装置で大震災でも影響なし)


 

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