バンクを増やして高速化する
DDR-SDRAMの仕組み
SDRAMは当初、動作速度が50MHz(20ns)から66MHz(15.15ns)程度の製品から始まった。しかし高速化の要求は強く、すぐに100MHz(10ns)や133MHz(7.5ns)、166MHz(6.67ns)となり、ついには200MHz(5ns)に達する。EDO DRAMの世代に比べると、若干は製造プロセスの微細化なども進んだが、CPUなどのロジック回路と異なり、プロセス微細化と動作速度の高速化は必ずしも連動していない。
高速化に当たって問題になるのは、データを保存するDRAMセルが「トランジスター+コンデンサー」で構成されていることである。最終的にはこのコンデンサーの性能を上げないと速度が上がらないのだが、これは微細化とはあまり関係がない。むしろ微細化によってコンデンサーの容量が減ると、すぐに電荷が揮発してしまったり、トランジスター自身の持つ抵抗とコンデンサーの組み合わせが高速化の妨げになることなどにより、性能が悪化しかねない状況にあった。
こうした事情もあり、DRAMセルの速度は200MHzあたりをひとつの上限として、別の方法で高速化を図ろうという方向性が模索された。それが「DDR-SDRAM」である。
DDR-SDRAMはご存じのとおり、クロック信号の立ち上がりと立ち下がりの、両方のタイミングでデータを送信することで、2倍の転送レートを実現する技術である。これを実現するために、メモリー内部はDRAMセルのバンクを2つにしている(図3※1)。
※1 図3は説明のために簡易化したもので、実際のメモリーチップの構造はより複雑だ。もともとSDRAMは内部が4つのバンクに分割されていて、DDR-SDRAMもバンクの数は等しい。そのバンクの中が、例えば512Mbit SDRAMなら「8192×4096×4」という構成なのに対して、512Mbit DDR-SDRAMでは「8192×2048×8」になっている。この「×8」が、実際は2セルずつ同時にアクセスする形で使われる。これを「Prefetch-2」と呼ぶ。
では実際の転送はどうなるのかというのが、図4である。DDR-SDRAMの場合も、最初のコマンド(図のRead)やRow/Columnの転送は、SDRAMと基本的に同じ。異なるのはその先である。
Row/Columnが渡されたら、それぞれのRow/Column Decoderが対応するセルを決定する。この際にBank 0とBank 1の両方にRow/Columnの情報が渡されるので、Bank 0とBank 1の両方から同時にデータがData Bus Bufferへと出てくる。図4の「Bank 0 Data」と「Bank 1 Data」がそれだ。
取り出されたデータは一旦Data Bus Bufferに入るが、このData Bus Bufferが倍速動作しているので、クロックの立ち上がりでBank 0のデータを、立ち下がりでBank 1のデータをそれぞれ出力する。結果として、本来の2倍のスピードでデータが送り出されるという仕組みだ。
こうした工夫により、DDR-SDRAMではDRAMセルそのものを高速化せずに、転送速度を倍増させた。ただし、転送速度を倍にするというのは信号の速度も倍になるということで、確実に信号伝達を行なうために信号電圧(=メモリーの動作電圧)を、SDRAMの3.3VからDDR-SDRAMでは2.5Vへと下げている。また、新たにDQS(Data Strobe)という信号を追加して、高速化したデータ信号の安定性を確保している。

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