10月26日、シスコシステムズは同社が昨年から推進している「ボーダレスネットワーク」に対応する製品の第3弾を発表した。「オフィスにいなくても生産的に業務が行なえる」という調査も明らかにされ、それを支えるインフラを同社が一揃えで提供するという構図だ。
オフィスにいなくても仕事はできるとみんな思っている
シスコシステムズ 専務執行役員 ボーダレスネットワーク事業統括 木下剛氏はボーダレスネットワークに関連して、働く環境に関するグローバル調査の結果を紹介した。このなかでは、世界で働く人の5人に3人が、オフィスにいなくても生産的に業務を行なえるという回答が得られたという。また、「場合によっては、(給料のような)待遇よりも柔軟に働ける環境の方が優先される」という人も3分の2に上ったという。その一方で、45%のIT部門がこうした労働力の分散化やモバイル化に対応できていないという結果も明らかにされた。
果たして日本はどうか? 日本ではオフィス外での業務遂行が可能という回答はやはり少なく、従業員のテレワークをIT部門がサポートできないという割合も多いという。しかし、1日あたりのオフィス外での時間外労働は2時間におよぶ。「日本は情報漏えいなどを懸念して、むしろモバイル環境での利用に積極的ではないようだ」(木下氏)というのが現状のようだ。
こうしたモバイル環境を含む多様なワークスタイルを実現するためにシスコが提供するのが、昨年発表された「ボーダレスネットワーク」である。ボーダレスネットワークではクラウドを前提に、いつでも、どこでも、どんな端末でもネットワークを安全に快適に利用できる環境を実現する。第1フェーズではサービス統合型ルーター「ISR G2」、2010年3月に発表された第2フェーズではセキュリティ製品を中心に展開してきた。今回の第3フェーズではインフラ系のネットワーク機器とソフトウェア、そしてアプリケーションの利用を最適化する新しいネットワークサービス「Application Velocity」を投入する。
ますます拡充されたボーダレスネットワーク製品群
今回発表した第3フェーズを謳うボーダレスネットワークを実現する具体的な新製品は、有線スイッチの新モデル「Cisco Catalyst 4500E」と各種モジュール、Catalyst 6500用の13スロットシャーシ「Catalyst 6513-E」、ファイアウォールやIPSなどを搭載するセキュリティゲートウェイ「Cisco ASA 5585-X Adaptive Security Appliance」、5Gbpsを実現する小型ルーター「Cisco ASR 1001ルータ」、ラックマウント型ルーター「Cisco ASR 1013」、中小企業向けのIEEE802.11n対応の無線LANアクセスポイント「Cisco Aironet 1040」などのハードウェア。さらにセキュリティクライアント「AnyConnect 3.0」や統合管理ツール「CiscoWorks LAN Management Solutions 4.0」などのソフトウェア、各種サービスも発表された。具体的な製品の詳細に関しては、プロダクトマネージメントの大木聡氏が説明を行なった。
iPhone版も投入された「Cisco AnyConnect」
PC向けのセキュリティクライアントの新版「Cisco AnyConnect 3.0 for PC」をリリースした。SSLとIPsecのVPN、有線・無線のIEEE802.1Xの認証のほか、スイッチと連携し、MACレベルで暗号化を行なうMACsecの機能が搭載された。また、同社が買収したScanSafeをベースにしたクラウドベースのWebセキュリティを実現。さらにiPhone向けの「Cisco AnyConnect 2.4 for iPhone」もリリースされた。
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