ネットブック/ネットトップはPine Trailに移行
しばらくはSilverthorneとDiamondvilleの2本立てで続いていたが、2009年に「Sodaville」というコード名で知られる「Atom CE4100」がリリースされる。これはデジタルテレビなどに向けた専用のSoCで、元々は2008年にインテルが発表した「Intel Media Processor CE 3100」の後継製品にあたる。
CE3100はPentium Mコアを利用した製品だったが、これをAtomに入れ替えるとともに、周辺機器を強化したのがCE4100である。構成的には、Atomコア以外にDDR2/DDR3デュアルチャンネルのメモリーコントローラーやNAND Flashコントローラー、ビデオデコード/スケーリングと3Dグラフィックス機能を備えるグラフィックスエンジン、トランスポートプロセッサー(放送波の処理)と復号化プロセッサー、DSP、汎用I/Oなどをワンチップに集約したものである(図2)。
Sodavilleの3ヵ月後に、ネットブック/ネットトップ向けに、新たに「Pine Trail」プラットフォームが投入される。ネットブック/ネットトップでチップセットなどは同じで、異なるのはプロセッサーのみとなった。
図3のように、CPU(Pineview)側にメモリーコントローラーとグラフィックス機能を内蔵。チップセット側には、HDDやネットワーク、オーディオ/ビデオ入出力といったもののみを集約した「Tiger Point」(Intel NM10)が利用され、チップ間をDMIで接続するという構造である。Sodavilleに比べれば集約度は低いが、製品の目的が異なるし、構成の柔軟性を確保するという観点ではこの方がいい、と判断されたのだろう。
MoorestownとOak Trailで
スマートフォンとタブレットを狙う
Pine Trailに引き続き、2010年5月にはMenlowの後継、つまりUMPC向けの新製品である「Moorestown」プラットフォームが発表された。構造的には図4のように、Pine Trail系と極めてよく似ている。異なるのはスマートフォンやUMPC向けに特化していることで、そのためパッケージサイズは初代のMenlowプラットフォーム同様に小さい。また、チップセットに搭載されるインターフェースはCE-ATA(家電向けのATA規格)やSDIO、カメラインターフェースなど、明らかにスマートフォンなどに向いた(つまりネットトップ/ネットブックなどではそれほど重要ではない)ものに絞られている。
Moorestownプラットフォームそのものは、ずいぶん前から発表されてきていたが、実際の出荷は当初の計画からやや遅れ気味である。2010年6月に、CPUが「Atom Z600」(Lincroft)シリーズ、チップセットが「Intel MP20」(Langwell)という型番を持つことが明らかにされるとともに、試作機/評価基板による動作デモが披露されたが、実際にこれを搭載した製品の出荷は、早くて2010年後半になると思われる。
当初はこのMoorestownは、あくまでもスマートフォン/UMPC向けのプラットフォームだったが、iPadに代表されるタブレット端末の盛り上がりを受けて、「Oak Trail」という新しいプラットフォームを投入することが、やはり2010年6月に明らかにされた(関連記事)。
もっとも、CPUコアはMoorestownと同じLincroftをそのまま流用し、チップセットがもう少しPC寄りの機能になった「Whitney Point」に置き換わる(図5)。Pine Trailに使われているTiger Pointより少し高機能なチップセットになるもようだ(HDMIサポート、1080pビデオ再生あたりが主な相違点)。こちらも製品投入は少々遅れており、2011年を予定している。
2011年はまた、ネットトップ/ネットブック向けにも新しいプラットフォームが用意される。これが「Ceder Trail-D/-M」だ。大きな違いはCPU側の製造プロセスが32nmになること。おそらく消費電力枠は従来と大きく変わらず(ネットブック向けで5.5W程度、ネットトップ向けで最大13W程度)、その分動作周波数を引き上げたものになると思われる。ちなみに、組み合わせるチップセットは引き続きIntel NM10(TigerPoint)を使うようで、構図的には図3のままになる。

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