パケットキャプチャツールで見るフレーム
ここで、パケットキャプチャツールを使って実際のフレームを見てみよう。ここでは、かつてEtherealという名前だったフリーソフトの「Wireshark」を使用した。なお、Wiresharkでは、「FCS」がキャプチャ対象ではないので、フレーム長の範囲が60~1514バイトと、4バイト小さくなる。
まずは、Ethernet Ⅱフレームを見てみる。キャプチャしたフレームはARP(Address Resolution Protocol)で、IPアドレス192.168.0.2のMACアドレスを調べている(画面1)。「宛先MACアドレス」がff:ff:ff:ff:ff:ffとなっているが、これは後述するブロードキャストを意味する。
よく見ると、フレーム長が42バイトしかない。Wiresharkでの最小フレーム長は60バイトのはずだが、18バイト足りない。フレームでは、データ長が最小値に足りない場合には「パディング」というダミーのデータを付加する。このパディングを付加するタイミングと、Wiresharkがキャプチャするタイミングに差があるためにこのような問題が生じている。「FCS」がキャプチャ対象外なのも、同じ理由からだ。
続けて、IEEE802.3フレームを見てみる(画面2)。キャプチャしたフレームはNetBIOSだ。最新のWindowsでは、すでに過去のものとなったため現実に見る機会はないかもしれない。前述の通り、IEEE802.2 LLCが増えたのがわかる。
10Mbpsや100MbpsのEthernetでは、最大フレーム長は1518バイトとなっている。ところが、1000MbpsのギガビットEthernetが普及して久しい現在では、従来からのフレーム長が実効速度のボトルネックとなった。つまり、ギガビットEthernetでは、大きなサイズのデータを送ろうとしても複数フレームに分割してしまい、そのたびにヘッダを付けるため効率が悪くなってしまう。そこで、1つの対策として普及しているのが「ジャンボフレーム」という仕組みだ。名前の通り、フレーム長を8000から1万6000バイト程度に大きくし、1フレームあたりで送信するデータ量を増やすことで、効率よく通信している。
このジャンボフレームは、経路上のすべての機器が対応していなければ利用できない。1台でもジャンボフレームに対応していなければ、1518バイトでやり取りすることになる。
(次ページ、「MACアドレスの役割」に続く)
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