自らも週に1度は秋葉原に通って買い物をしているという、インテルの天野氏。自作市場をサポートするチャネルグループに所属し、秋葉原の店員からもカリスマ的存在として知られている。店員向けのトレーニングセミナーでは、CPUをガンダムに例えたプレゼンで大爆笑となったのは有名な話だ。伝説のガンダムネタ誕生秘話も自ら披露。「おれ、危ないぞ今日は。言いたい放題言っちゃうから（笑）」という言葉ともにトークは幕を開けた。ソフトな語り口の裏にある本音に注目！
「天野教祖化計画」が発覚!?
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――天野さんといえば、秋葉原の店員さんからも絶大な人気がありますよね。
天野 僕、歯に衣着せぬ発言をするからですかね。店員さん向けのプレゼンテーションで「なぜA社はこうなのか？」とかストレートな質問がきますよね。そうすると「ウチはこういうところがいいし、A社はこういうところがいい」ときちんと説明します。それぞれの会社の利点を言うと、店員さんも納得してくれますし、お客さんと話をするときに、そういう話が使えると喜んでくれますね。最終的に買うお客さんに気にいってもらえるがの一番だと思っていますから。
――神格化されているとか？
荒木（広報担当） 弊社の自作を支援するチャネル事業部内で天野を自作の教祖として祭ろうと考えています。
天野 天野が「こうだ」って言ったらその通りになるみたいなね。「デュアルコア買え！」って言ったら、みんな買いに行くみたいな。
――一般的なイメージからすると、インテルさんは教科書通りというか、カッチリやっている印象ですよね？
天野 そうですね、うちの社員はそういう人ばかりですね。そういう人たちに「ウチの悪いところはどこですか？」って聞いても語れないんですよ。
――それはそうですよ、そこを語らないのが仕事ですもんね。
天野 そうそう。でもそれでは真実を掴めない。
――でも、大きい会社はどうしてもそうなりがちではないですか？
天野 だから僕は異端児ですって言ってやっています。そこに共感してくれる人は、今までインテルが高飛車だとか、敷居が高いという印象があるかもしれないけど、こういうところもあるんだとわかってもらいたいですね。
――天野さんにとって、インテルが高飛車とか言われるのはやっぱり嫌ですか？
天野 製品が強ければ別にいいんですよ（笑）。散々悪態つかれてもそこそこ売れて、業績が上がっていればいい。文句は言いませんよ。
―天野さんはいつ頃から異端児なんですかね？ Prescott発売時あたりから存在が目立つようになったと思いますが。
天野 ちょうどあの頃チャネル事業部にきて、引っ張っていく人が必要ということで、じゃあ僕がやろうかとなりましたね。でも、昔から僕の性格は変わってないですけどね。
――チャネル事業部に来たのはいつからですか？
天野 Prescottのもう1、2年くらい前からです。来て5、6年になりますね。
――インテルさんに入られたのはいつ頃ですか？
天野 '87年4月に入社しました。
――なぜインテルさんに？
天野 大学時代にコンピュータクラブに入っていまして、そこの先輩が何人かインテルに先に入っていたんです。それで後を追いかけて。でも入ったらその先輩、3ヵ月後には辞めてました。
――（笑）。その頃はインテルさん知名度ないですよね？
天野 全然無いですよ。昔はだって、“インテリアジャパン”と間違えられて。
――（笑）。それも何回か使われたネタですね。
天野 ええ、しょっちゅう（苦笑）。
Baniasをザクに例えて、Yonahをガンダムでいうと……
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――今日はいろいろなネタが聞けると思うと、わくわくしますね（笑）。ところで、秋葉原の店員さん向けセミナーでCPUの説明をされたときに、ガンダムの話をされたのが有名ですよね。
天野 さっきまで、ガンダムの話言おうかなって思ってましたよ。あれのそもそものきっかけは、「Baniasをザクに例えるとYonahは何ですか？」って質問書が、お店の方から来たからなんですよ。
――そんな質問が来るんですか？
天野 来てたんです。普通なら「何言ってるかわかりません」って答えて終わりじゃないですか。でも、「これはおもしろい！」と思って、社内にメールで投げたんですよ。そうすると、普段は1日たっても返事が返ってこないような人からも、1時間後には返ってくるんですよ、これが（笑）。それでこの質問のためにプレゼンテーションを作ろうってことになったんです。
――この質問のためにプレゼンテーションを作ったんですか？
天野 はい。今回はあまりにもいい質問が来たのでって言って。1時間のうち後半の20分くらいを「特別コーナー」とか言ってね。ガンダムに例えたCPUシリーズとかって、やったらもうバカ受けでしたね。
――伝説的ですよね。ショップのみなさんも必ず話題にしますよ。
天野 でしょうね。彼（広報の荒木氏を指す）には言わないでおいてね。
荒木 もう、黙認でした（苦笑）。
――CPU全部をガンダムに例えたんですか？
天野 そうですよ。Baniasが初代のPentium Mじゃないですか？ あれをザクに例えると今のYonahは、Dothanは……って。
――シャアはいないんですか？
天野 あ、モビルスーツだけです（笑）。僕はガンダムそんなに詳しくないんですよ。社内にはもっとディープなやつがいる。「ザク」じゃなくて「サク」でしょうとか言って、「赤サク」だとか、「サクサク」だとか言って。絵もつけてくれて。それわからなくて、プレゼンで説明したら店員さんが、「サクですか、紙でできてるんですか！」とかうれしそうに言って、はるかに詳しくてついていけなかったりしましたね。
――今までで一番大ヒットしたプレゼンですか？
天野 あれは大ヒットでしたね。店員さんともう一体感がありましたね。そこからインテルファンになってくれればいいなと。長い目でみてね。
――もうまんまと成功してますよ（笑）。元々はフライング販売したらすぐ注意しに来るとかいうイメージが、ショップとしてはインテルさんに対して強いと思うんですよ。
天野 それはそれで仕方ないですけどね。たまには自分の悪いことをベローンって言ってしまうのもありでしょうって、私はそう思ってますけどね。
――以前は一部の人がA社好きでしたけどね。
天野 アンチ巨人みたいなね。
――それが最近、店舗の主力のような方でもA社を売っていきたいと言うことが多くて、そこに天野さんが現れたイメージがするんですが……。そういう意味では、とても効果的だなと。
天野 最後の毒薬を投入したんでしょうね（笑）。生きるか死ぬかわからないけど、強い薬を入れた。あまり過激に毒を投入すると、売れるものも売れなくなったりしますけどね（笑）。(次ページへ続く)
