コンピュータ・アソシエイツ(株)と(株)ビックカメラは2日、東京・有楽町のビックカメラ 有楽町店の1F広場“ピロティ”において、国際弁護士の丸山和也氏とCAのSMB(中小企業)&コンシューマー事業部長の長谷和夫氏による“インターネット セキュリティートークショー”を開催した。大型連休の合間の平日午後で、会場が有楽町の駅前ということもあり、会場にはあふれんばかりの来場者が詰めかけ、丸山氏と長谷氏によるセキュリティー関連の話題に耳を傾けたり、携帯電話機のカメラ機能で記念撮影する姿が見られた。
インターネット セキュリティーに関して、法律家の観点から持論を展開した丸山弁護士。さすがに赤ら顔というわけではなく、ピンストライプのワイシャツと、ジャケットの胸にポケットチーフを差した出で立ちで登場し、盛んに来場者から携帯電話機のカメラが向けられていた |
一般来場者に向けたトークイベントのため、内容はスパイウェアとウイルスの違い、スパイウェア対策ソフトとウイルス対策ソフトのカバー範囲の違い、スパイウェアによる被害の実態として“キーロガー”と呼ばれるユーザーの入力した個人情報を悪意のある第三者に勝手に送出して預金の引き出し/振り込みなどを行なう被害の実例、およびそうした被害における法律側からの対策(実際には銀行などが被害を補償するケースはほとんどないとのこと)などについて、時折笑いを交えた軽妙なやりとりが行なわれた。
丸山氏は、友人が実際にこうした詐欺被害(個人情報を盗み出されて、悪意のある第三者が自分の口座に振り込ませた)にあった経験を話し、「犯人は捕まったが、すでに金は使い込まれていた。その被害金額について、銀行にも掛け合ったが結局保証されなかった」と経緯を説明し、最後は自己防衛が重要であることを強調した。と同時に、こうした個人情報の漏洩は自分が被害に遭うだけでなく、会社など他人の個人情報を管理・運用している場合は、その情報が盗まれた場合に個人情報を提供した相手から訴えられたり、信用問題になるケースもあるので注意しなければならない、と法律家の観点から啓蒙した。
丸山氏とトークショーを行なったCAの長谷氏 |
長谷氏も、「去年だけで(キーロガーによる犯罪は)10数件、1400万円以上の被害が報告されている」と被害が広がっていることを強調し、パソコンにウイルス対策ソフトを入れただけで安心せず、スパイウェア対策ソフトも合わせて利用する必要性を説いた。特に、オンラインバンキング/オークション/ネットショッピング/株取引などを自分のパソコンで行なっている人には、「もしIDやパスワードを盗まれたらどうなるか、考えてみてほしい」と警告した。その上で、対策として
- (Windowsユーザーの場合は)Windows Updateを使って、常にOSを最新の状態にしておく
- 怪しいサイト(カジノサイトやポルノサイトなど)には、なるべく行かない
- “無料”を大きく謳ったプログラムをむやみに使わない。無料の裏に何か狙いがある場合が多い
- そして、スパイウェア対策ソフトを導入する
という4つの手段を講じるべき、と語った。
最後にCAのセキュリティースイート、およびスパイウェア対策の啓蒙サイト“noSpy.jp”のプレートを手にフォトセッションに臨んだ両氏 |
実際、丸山弁護士の事務所でも最近になってパソコン環境を一新し、「CAのウイルス/セキュリティー対策ソフトを導入した。これで万が一、個人情報が流出した場合には、CAを『訴えてやるっ!』」と長谷氏を笑顔で指さして来場者の笑いを誘いながらも、「今後はこうした個人情報を管理する会社側にも、セキュリティー対策を万全にする責任が求められるようになるだろう」と、現在立法化が進められている日本版SOX法(企業改革法)を見据えた発言でイベントをまとめた。