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――「Good Bye MD、Good Bye PC」の時代が到来すると宣言

長瀬産業、パソコンなしで楽曲情報を取得できるポータブルオーディオプレーヤー『HMP-100』を12月10日に発売

2005年11月29日 19時04分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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長瀬産業(株)は29日、東京・南青山の青山スパイラルホールにプレス関係者およびセールスパートナーを集め、ポータブルオーディオプレーヤーの新製品『TRANSGEAR HMP-100』を12月10日に発売すると発表した。価格はオープンプライスで、同社の直販サイト“DVDirect”での予定価格は2万4900円。

『TRANSGEAR HMP-100』
『TRANSGEAR HMP-100』

HMP-100は、パソコンなしに本体のみでCDなどの音源から曲を取り込めるほか、取り込んだ曲から楽曲情報を検索して、曲名/歌手名/アルバム名などを自動検出し、プレーヤーの液晶ディスプレーに表示できるのが特徴。

新規事業開発室トランステクノロジー課統括次長の平塚 浩氏
新規事業開発室トランステクノロジー課統括次長の平塚 浩氏

発表会には新規事業開発室トランステクノロジー課統括次長の平塚 浩氏、同プロジェクト企画開発課長の吉倉靖人(よしくらやすと)氏らが出席し、新製品の特徴や開発の背景などを説明した。

HMP-100は、容量6GBの1インチHDDを内蔵するポータブルオーディオプレーヤー。1.8インチのバックライト付きグレースケール液晶ディスプレーと、アナログ音声入力端子(マイク/ライン)を搭載し、CDプレーヤー/CDラジカセなどの音源から単体で楽曲を取り込める。HDD内にあらかじめ350万曲(約700MB)分の曲情報データベースを持ち、取り込んだ楽曲の最初の15秒程度の波形情報を高速フーリエ変換した“フィンガープリント(曲の指紋情報)”を生成・検索することで、楽曲のタイトルや歌手名、収録されたアルバム名をタグ情報として付与し、液晶ディスプレーに表示できる。

MusicIDとMagicSyncの概念図
MusicIDとMagicSyncの概念図。楽曲を直接アナログ信号で取り込んだあと、本体内で波形解析して、本体内部もしくは携帯電話(インターネット)経由でサーバー上の楽曲情報データベースを検索し、曲名やアーティスト名を表示する

この楽曲情報と検索システムは、“CDDB”(音楽CDのTOC情報から楽曲情報を検索するデータベースシステム)を運営する米グレースノート(gracenote)社の独自技術“MusicID”を利用して実現したもの。

あらかじめ取り込み済みのMP3ファイルを再生 “MusicID”のメニューが現われる
最初に、あらかじめ取り込み済みのMP3ファイルを再生してみせる。この時点ではファイル名は“AUD0001.MP3”で、アルバムタイトルも歌手名もUnknownだが、会場に集まった関係者には、およそ誰のどのタイトルかが分かる有名な曲が流れる楽曲を選択して、モードボタンを長押しすると、再生メニューの下に“MusicID”のメニューが現われる
データベースで曲検索 楽曲情報が取得され、液晶ディスプレーに表示される
これを選択すると、(本体内の)データベースで曲検索するか、携帯電話経由で曲検索するかのメニューが表示されるデータベースで曲検索を実行すると、十数秒程度の解析動作の後に、歌手名とタイトル、アルバムといった楽曲情報が取得され、液晶ディスプレーに表示される
MusicIDで本体内のデータベースから楽曲情報を取得するデモ

また、HMP-100本体のデータベースに含む楽曲情報は2005年10月末現在までにリリースされた邦楽/洋楽の中から、特に日本人の聴取割合が高いものを選出(同社調べでは95%を網羅)したものだが、これ以降に発売されたアルバムや、データベースに含まれない楽曲については携帯電話機を使ってCDDBのサーバーで同様の検索、楽曲情報取得を行なう機能が備わっている。これは、HMP-100のUSBポート(miniUSB、USB 2.0準拠)に接続した携帯電話機をダイアルアップアダプターとして利用し、インターネットに接続してパケット通信を行なうというもので、(株)エイムと長瀬産業が共同開発した“MagicSync”という技術で実現している。これにより、パソコンのない環境でも携帯電話機とHMP-100があれば、パソコンで音楽CDをリッピングし、CDDBで楽曲情報を取得するのと同じ環境が実現できるという。同社が動作確認済みの携帯電話機は、「11月に発表・発売された最新機種を除く第3世代携帯電話機を中心に60機種程度」としており、製品には動作確認済みの携帯電話機のリストが同封される。なお、ダイアルアップアダプターとして利用するため、基本的には第2世代以降の携帯電話機(パケット通信によるインターネット接続が可能な機種)であれば動作は可能と説明する。

今度は携帯電話経由で曲検索を選択 携帯電話をダイヤルアップアダプターとしたパケット通信を始める 音楽ファイルにタグデータとして楽曲情報が付与され、ディスプレーに表示される
同様の手順で、今度は携帯電話経由で曲検索を選択すると、本体内で曲情報の解析(フィンガープリントの生成)を行なった後に、USB端子に接続した携帯電話をダイヤルアップアダプターとしたパケット通信を始める後は、先ほどと同様に音楽ファイルにタグデータとして楽曲情報が付与され、ディスプレーに表示される
携帯電話経由でデータベースから楽曲情報を取得するデモ

再生可能なファイル形式は、MP3/WMA(Windows Media 9、DRM対応)/WAVで、直接取り込む場合はMP3かWMA形式で保存される。ビットレートは16k~192kbps。電源には専用リチウムイオンバッテリー(交換可能)を採用し、最大15時間の連続再生が可能。本体にはボイスレコーディング機能も持ち、32kbpsで最大17時間の連続録音が行なえる。充電時間は80%充電で1時間30分、フル充電は3時間30分となる。

本体サイズと重量は、幅60×奥行き98×高さ14.5mm/98g。本体にはパソコンで音楽ライブラリーを管理できるWindows 98 SE/Me/2000/XP対応のユーティリティーソフト『Trans Music Manager』も付属する。本体カラーはホワイトとブラックの2色(ただし、12月10日に発売されるのはブラックのみで、ホワイトは近日発売予定)

HMP-100を開発・販売する背景となったMDプレーヤーとポータブルオーディオプレーヤーの市場分析 2006年は“PCレス元年”になると大胆な予測を展開
HMP-100を開発・販売する背景となったMDプレーヤーとポータブルオーディオプレーヤーの市場分析他社のパソコンレスオーディオ製品を挙げながら、2005年は“Digital Player”が爆発的に市場拡大を果たし、2006年は“PCレス元年”になると大胆な予測を展開した

HMP-100を開発・販売する背景について、平塚氏は同社が独自に調査したMDプレーヤーとポータブルオーディオプレーヤーのユーザー構成を比べて、「若い人が使っていると思われがちなポータブルオーディオプレーヤーだが、実際には20代から30代がピークで、男性が86%を占める。つまり、おじさんたちが使っているのがデジタルオーディオプレーヤーだということ。それに対してMDプレーヤーは10代、20代のユーザーが多く、男性は55%、女性は45%。若い人はMDプレーヤーを使っている」と説明。この理由を、MDプレーヤーのパソコン所有比率の低さ(28%)と関連付けて、自分のパソコンを持たない人には「ポータブルオーディオプレーヤーを購入・利用しづらい環境にある」と分析した。

その上で、パソコンレスで楽曲情報を取得・表示できるプレーヤー(HMP-100)を提案し、2006年には「Good Bye MD、Good Bye PC」の時代が到来すると高らかに宣言した。

MusicIDとMagicSyncのライセンスプログラム
MusicIDとMagicSyncのライセンスプログラムも同時に発表。ただし、MusicIDは長瀬産業とグレースノートとの間の独占契約ではないとのこと

なお、同社ではMusicID/MagicSyncの両者をポータブルプレーヤーやミニコンポなどに搭載するためのライセンスプログラムも開始すると発表した。ライセンスを受けることで、開発のためのサンプルボード、SDK(ソフトウェア開発キット)、楽曲データベース組み込みのノウハウ、および携帯電話経由でアクセスする楽曲データベースの年間保守(無料)が提供されるとのこと。

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