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マクロメディア、Flash Platform構想を発表――「禁句であったプラットフォームという言葉を使う状況になった」

2005年07月11日 20時42分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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マクロメディア(株)は11日、東京・溜池の同社オフィス内会議室にプレス関係者を集め、“Macromedia Flash Platform(マクロメディア フラッシュ プラットフォーム)構想”を発表した。これは、OSやウェブブラウザー、ハードウェア(機器)などの種類を問わずに提供されているRIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)環境である“Flash”とその関連技術を、従来のインタラクティブコンテンツ(主にゲームや教育など)だけでなく、金融や官公庁などビジネスシーンや、携帯電話のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)など、さらに広い分野に“統合プラットフォーム(基盤技術)”として展開することを宣言するもの。

常務取締役の小俣修一氏 米マクロメディア社のVP&Technology Advisor to the CEOの田中章雄氏
常務取締役の小俣修一氏米マクロメディア社のVP&Technology Advisor to the CEOの田中章雄氏

会場には常務取締役の小俣修一(こまたしゅういち)氏と、米マクロメディア(Macromedia)社のVP&Technology Advisor to the CEOの田中章雄氏が出席し、Flash Platformに向けたロードマップや、現在開発中の次世代Flash Player“Maelstrom(メイルストローム、開発コードネーム)”、コンテンツプレーヤーとメインメニューを統合した開発中の携帯電話向けUI(ユーザーインターフェース、開発コードネームなども非公表)などが披露された。

現在提供されているMacromedia Flash Platformの構成製品群 構成製品の今後バージョンアップの予定
現在提供されているMacromedia Flash Platformの構成製品群構成製品の今後バージョンアップの予定。赤い文字で示された製品が今後発売予定のもの

まず、Flash Platformを構成する要素としては、現時点で

  • 再生ソフト“Flash Player”(パソコン、携帯電話、STBなどの組み込み向けなど)
  • オープンアーキテクチャーのファイルフォーマット“Flash SWF形式”
  • プログラミング環境“ActionScript 2.0”“MXML”“Flexクラスライブラリ”
  • 開発ツール“Flash”“Flex Builder”“Captivate”“Breeze Presenter”“FlashPaper”
  • サーバー技術“Flex Server”“Flash Communication Server”“Cold Fusion”
  • 統合ソリューション“Breeze”

が提供されている。今日新たに発表されたのは、

  • 次世代Flash Player“Maelstrom”を今年度中に提供開始予定
  • Maelstromに対応するFlashコンテンツの作成/オーサリング環境“8Ball(エイトボール、開発コードネーム)”を今年度中に提供開始予定
  • 同じく次世代FlashVideo Server“Edison(エジソン、開発コードネーム)”を今年度中に提供開始予定
  • 携帯電話向けFlash Playerの新バージョン“Deuce(デュース、開発コードネーム)”を今年度中にキャリアー/メーカー向けに出荷開始予定
  • Flex Server向け開発環境として、新たに非営利業界団体Eclipse Foundationが開発・提供するオープンソースの開発ツール“Eclipse(エクリプス)”をベースにした開発ツール“Zorn(ゾーン、開発コードネーム)”を来年度に出荷予定
  • 次世代Flex Server“Mistral(ミストラル、開発コードネーム)”を来年度に出荷予定

の6点。このうちのいくつかは、昨年11月に米国ニューオリンズで行なわれたユーザー&開発者向けイベント“Macromedia MAX(マクロメディア マックス) 2004”でもプレビューされているが、全体をまとめた“Macromedia Flash Platform”構想として公表されるのは今回が初めて。

Macromedia Flashのエコシステム
Macromedia Flashのエコシステム。従来は内側の黄色の円だけを提供していたが、今後は外側の青の円までビジネス分野を積極的に広げていくという

田中氏は「(これまで社内で)禁句であったプラットフォームを使うような状況になった」と切り出し、従来は同社がサーバー/開発ツール/プレーヤー/デベロッパー支援プログラムなどを個別に提供していたが、これらを統合して通信業界や金融業界にソリューション提案・導入が始まるなど、新たなビジネス展開を開始したことを説明した。



現在のFlash Player 7 次世代Flash Player(Maelstrom)
現在のFlash Player 7で、雷のようなランダムに走る模様を描いたところ。画面の多くを描き尽くしてくると、途端に描画速度が遅くなる次世代Flash Player(Maelstrom)では、速度が落ちないだけでなく、以前に描いた線にブラーをかけることで、時間差を明示的に示すことができるなど、描画の幅が広がっているという
預金残高の増減を可視化したページ
米マクロメディアと米国のとある銀行が開発中という、預金残高の増減を可視化したページ。単なる数字の変化ではなく、グラフで変化を見せながら金融商品の売り込みを図るのだという

その具体例として、米国の銀行と共同開発している収支や株価変動を可視化(グラフ表示が月ごとにリアルタイムに変化)するサイトを紹介し、日本より先に市場の自由化が行なわれ、保険や投資商品を積極的に消費者に提案・販売する金融業界がFlashを積極的に導入しはじめていることを示した。



Flashによるアニメーションつきの携帯電話のメニュー1 Flashによるアニメーションつきの携帯電話のメニュー2 “Flash MMI”の例3 “Flash MMI”の例4
Flashによるアニメーションつきの携帯電話のメニュー機能を切り替えるごとに絵やメニューが切り替わる同じ端末でも“テーマ”を変えると画像のセットが変わる雰囲気がガラリと変わって、落ち着いたテーストになっている
韓国で導入されているという“Flash MMI”の例

また、携帯電話については韓国で導入されている“Flash MMI”や、Macromedia MAX 2004の目玉でもあった“FlashCast”をデモンストレーションした。MMIはマンマシンインターフェースの略で、メニューをアニメーション表示するだけでなく、電話機固有の機能をFlashメニューから呼び出せるというもの。FlashCastはプッシュ配信型のインタラクティブコンテンツサービスで、ユーザーは左右キーを押しながら、TVのチャンネルを切り替えるようにニュース/天気予報/ゲームなどのFlashコンテンツを変更できる。

“FlashCast”の画面 “FlashCast”の画面2
昨年のMacromedia MAX 2004で目玉のひとつだった“FlashCast”の画面。英国のテロのニュースが表示されている左右キーを押すと、ゲームや天気予報などのコンテンツに切り替わる
“FlashCast”の例

さらに、製品名称や提供先などは明かされなかったが、現在開発中の新しい携帯電話向けインターフェースとして、FlashMMIとFlashCastの機能を併せ持つようなGUIも披露された。これは、現在の携帯電話が多機能になり、メニューが複雑化したため、シンプルな操作で携帯電話の機能もリッチコンテンツも楽しめるように、とキャリアー側から求められて開発しているもの。電話の不在時着信や着信メールの件数などが、リッチコンテンツを選択するのと同じ操作で確認できる。

現在開発中の携帯電話向けの新規ユーザーインターフェース1 現在開発中の携帯電話向けの新規ユーザーインターフェース2 現在開発中の携帯電話向けの新規ユーザーインターフェース3 現在開発中の携帯電話向けの新規ユーザーインターフェース4
FlashCastのような天気予報の画面だが……左右キーで切り替えると、携帯電話のメール機能に変わり、未読メールの数や送信元が表示されるさらにアドレス帳に切り替えてダイヤル/メールすることもでき……同じ操作で映画コンテンツを再生することも可能
現在開発中の携帯電話向けの新規ユーザーインターフェース

田中氏は結びに、RIAにおけるFlashのコンペティター(競合相手)として、

  • 次世代Windowsのランタイム環境として米マイクロソフト(Microsoft)社が開発中といわれる“Avalon(アバロン、開発コードネーム)”
  • 携帯電話やパソコン向けに普及している“Java”
  • 最近開発者の間で話題を集めている“DHTML(DynamicHTML)+XML”環境

の3つを挙げ、それぞれに対するFlash Platformの優位点を説明した。共通して言えるのは、Flash Playerの普及度の高さ、および普及の早さで、同社がリリースした最新プレーヤーは12ヵ月以内にインターネットに接続されているパソコンの80%がダウンロードを行なっているという。さらに、マルチOS/マルチプラットフォームに対応する点でAvalonは必ずしも脅威とはならないと語る。さらに、Javaは携帯電話のキャリアーごとに実装されている仕様が異なり、マルチメディアコンテンツの再生環境としてもまだ弱いと話す。最後のDHTML+XML環境は、利用できる環境が現在はパソコンの特定ウェブブラウザーに限定されるほか、開発環境(開発するための情報やツール類)が乏しいと述べ、同社のユーザー/開発者を巻き込んだ“エコシステム(コンテンツ開発環境)”の優位性を示した。

4月に代表取締役社長に就任した大沢幸弘氏
4月に代表取締役社長に就任した大沢幸弘氏

最後に、4月に代表取締役社長に就任した大沢幸弘氏が挨拶し、「いつでも、どこからでも、Flashの扉を開けばリッチな体験ができる。いわばドラえもんの“どこでもドア”のようなもの。Flashを搭載した携帯電話も順調に増えてきており、最近は企業の情報システム部がこれに目をつけ、サーバーのライセンスを買うだけで端末側の面倒を見なくて済むというメリットを見出し始めている。ビジネスアプリケーションという、競争相手の多い市場に出て行って大丈夫か? と心配される声もあるが、(Flash Playerは)すでに多くの搭載があり、先日新バージョンを発表した“Breeze”も多くの企業に使われ始めている。今後は日本でも一気に普及し、ブロードバンドを使ってリッチな体験ができるようになるだろう」と、明るい見通しを示した。



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