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【Macromedia MAX 2004レポート Vol.1】“MAX”開幕!! 初日・モバイルデーの目玉は“FlashCast”

2004年11月02日 23時57分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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MAXの会場であるニューオリンズのコンベンションセンターは、すぐ先でメキシコ湾に注ぐミシシッピー川のほとりに位置する
MAXの会場であるニューオリンズのコンベンションセンターは、すぐ先でメキシコ湾に注ぐミシシッピー川のほとりに位置する

米マクロメディア社は1日、同社のリッチコンテンツ作成ツール群“Macromedia Flash(マクロメディアフラッシュ)”を中心した各種製品の最新情報を紹介するカンファレンスや、開発者向けワークショップ(技術説明会)/ハンズオン(パソコンを使ったより実践的な講習)などで構成されるユーザー&開発者向けイベント“MAX――The 2004 Macromedia Conference(Macromedia MAX 2004)”を米国ルイジアナ州・ニューオリンズのコンベンションセンター(Ernest N.Morial Convention Center)で開催した。会期は1日~4日の4日間。開幕初日の1日は“モバイルデー”として、パソコンから携帯電話や家電製品などに活躍の場を広げたMacromedia Flash Player(Macromedia Flash Lite)や、FlashコンテンツをTVのチャンネルのように手軽に切り替えて表示できるというプッシュ型コンテンツ配信システム“FlashCast(フラッシュキャスト)”が中心に紹介された。



FlashCastとは?

FlashCastの画面
FlashCastの画面。デモではフィンランド・ノキア(Nokia)社の端末を使っていたが、市販されるかどうかは未定

FlashCastは、Flash Liteによる携帯電話でのFlashコンテンツの再生をさらに使いやすく、欲しい情報をリアルタイムに更新できるようにプッシュ配信型にしたもので、ニュース/天気/株価/スポーツの得点経過などの情報を随時配信し、携帯電話側ではTVのチャンネルを切り替えるように左右キーで見たいコンテンツをザッピング(チャンネル切り替え)しながら情報を閲覧・検索できるという。従来はこうしたコンテンツの選択・切り替えには、簡素なテキストメニューの一覧から選択するインターフェースしか提供されていなかった。ただし、FlashCastを利用するにはFlash Liteよりも高速な処理性能を持つCPU、OSなどのリソースが必要で、実際に搭載機が登場するのは2005年度中と言われている。

モバイル担当プレジデントのユハ・クリステンセン氏
モバイル担当プレジデントのユハ・クリステンセン氏

開発に携わったモバイル担当プレジデントのユハ・クリステンセン(Juha Christensen)氏によると、「モバイル戦略には2つのミッションがある。ひとつはFlash Player(Flashコンテンツの再生環境)をより多くのデバイス(携帯電話や家電機器)に搭載すること。そうすることで、Flashクリエイターにとって、ターゲットとなる市場が大きくなる。現時点で、出荷されている携帯電話の約13%がFlashプレーヤー搭載機になっている。この(急速な普及の)背景にあるのは、よりよいマルチメディア環境が求められていることにある。もうひとつ、Flashコンテンツのクリエイターが、いかに簡単に移植・流通させるかということにも注力している。そこで新たに提供する技術がFlashCastである。あたかもCATVのようにチャンネルを切り替える操作で、ユーザーが自由に見たいFlashを探し出すことができる技術だ。従来の携帯電話のFlashコンテンツはプル型(自ら情報を取り出しにいく)だったが、フラッシュキャストはプッシュ型で、自分が見たいときにいつでも最新の情報が出ているという環境になる」「FlashCastはコンテンツサーバーソリューションで、イメージ的にはバックエンドにあるサーバーが加入者などのプリファレンス(個人に即した情報)を管理し、ユーザーに合わせたコンテンツを配信する。サーバーの導入先はオペレーター向けで、日本で言えばNTTドコモやau、ボーダフォンなどにあたる」「データはローカル(携帯電話の端末側)にもキャッシュされ、毎回配信するデータ容量は差分データのみなので数KB程度に収まるだろう。想定されるシステムとしては、例えばベーシックサービスとして10~15チャンネル程度の汎用的な情報配信と、スポーツなどの趣味嗜好にあわせたプレミアムチャンネルが別途用意される。料金は基本料金(ベーシックシステムのみ)が毎月300~500円程度、プレミアムチャンネルは50~200円程度になるのではないか。ただ、これは提供するオペレーターが決めることであり、あくまでも想定でしかない」と話した。

FlashCastのコンテンツリスト 写真の公開を主体にしたSNS“Flickr”のFlashCast版
FlashCastのコンテンツリスト(サンプル画面)。アイコン表示されたリストから選択するほか、表示中にカーソルキーの左右でコンテンツを切り替えることも可能。デモ機で操作した限りでは、切り替えに待たされることはなく、TVのザッピングのような感覚で楽しめた米Ludicorp社が提供する写真の公開を主体にしたSNS(ソーシャルネットワーキングシステム)、“Flickr”のFlashCast版。あくまでもβテスト向けの限定公開版だが、多くの企業やFlashコンテンツクリエイターが賛同し、FlashCast向けコンテンツを開発しているという

携帯電話というデバイスを選択した理由について、クリステンセン氏は「ビリング(料金回収システム)が確立しているから」と話す。そのため、パソコンでの同様な展開は現在考えていないという。また、マクロメディア自身がコンテンツ配信を行なうことはなく、従来と同様に配信システムと開発環境の提供のみを行なうという。また、最初に導入される国について、日本か日本以外のどちらになるか聞いたところ、「Flash Liteを最初に導入したという経緯を考えても、可能性として日本が世界最初になるかもしれない。日本は携帯電話の技術が世界で一番進んでいる国であり、コンテンツ(や情報)を購入するという市場ができあがっているからだ」と、早ければ2005年度中に日本で登場する可能性をにおわせた。

天気予報情報の画面 同じくニュース配信コンテンツのサンプル パズルゲームも用意されている
FlashCastのコンテンツのサンプル。天気予報情報の画面。サンプルといっても、これらはすべてリアルタイム配信されているもの同じくニュース配信コンテンツのサンプルパズルゲームも用意されている

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