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SRA、Windows版PostgreSQL『PowerGres』を発表

2002年11月27日 18時53分更新

文● 編集部 阿蘇直樹

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(株)SRAは、BSDライセンス(※1)に基づいたオープンソースのデータベース『PostgreSQL』のWindows版『PowerGres』を発表し、都内で記者発表会を行なった。

『PowerGres』パッケージ『PowerGres』パッケージ
※1 オープンソースソフトウェアのライセンス形態の1つで、ソフトウェアの使用、複製、修正、再頒布を、著作権表示とライセンスの添付などを条件に認めるもの。フリーソフトウェアのライセンスであるGNU GPL(General Public Licence)と異なり、必ずしも再配布するソフトウェアにソースコードを添付する必要がない。「この製品にはカリフォルニア大学バークリー校とその貢献者たちによって開発されたソフトウェアが含まれています」という一文を添付しなければならないバージョン(オリジナルBSDライセンス)と、添付する必要のないバージョン(変更済みBSDライセンス)がある。『PostgreSQL』は後者のライセンスを使用している。

『PowerGres』は、最新版の『PostgreSQL』である『PoetgreSQL 7.3』をベースに開発されたリレーショナルデータベース管理システム。構造化問い合わせ言語(SQL:Structured Query Language)の国際標準“SQL 92/99”をサポートしているほか、行ロックによるトランザクション管理や、行単位での読み込みと書き込みを同時にサポートする多版型同時実行制御“MVCC(Multiversion Concurrency Control)”機能、トランザクションログを保存することで、トラブルが発生した場合でも再起動のみでデータをリカバリーする機能、システム稼働中のデータバックアップを可能にするホットバックアップ機能などを搭載する。『PowerGres』の大きな特徴は、『PostgreSQL』と異なり、ユーザーごとに新しいプロセスを立ち上げる“プロセス動作モデル”ではなく、スレッドを新たに立ち上げる“スレッド動作モデル”を採用している点。これにより、Windows上でも十分なパフォーマンスを得ることが可能になったという。

『PowerGres』のデータベースサイズは特に制限はない。テーブルの最大サイズは64TB、フィールドのサイズは最大1GBまでで、1テーブル内のフィールド数は最大1600までサポートする。『PowerGres』の動作推奨環境は、Pentium III-500MHz、ハードディスク100MB以上、メモリー64MB以上。現在動作が確認されているのは、Windows 2000/XP。現在開発中のため、製品版では動作条件が多少変更される可能性もあるという。

『PowerGres』製品版パッケージには、『PowerGres』のインストーラーや管理ツール、HTML版の日本語マニュアル、JDBCドライバー、フリーソフトを収録したCD-ROMと、『PowerGres操作説明書』が含まれる。クライアントアプリケーションの開発はC言語およびJava言語で行なうことになる。価格は1CPUあたり4万8000円で、2003年3月に発売される予定。なお、2003年1月には、β版の無償ダウンロードサービスも行なわれる予定だ。

記者発表会ではまず、SRAのネットワーク&サービスカンパニーのオープンソースソリューション部部長である林香氏が、『PowerGres』を販売する背景を説明した。

(株)SRAネットワーク&サービスカンパニー オープンソースソリューション部部長 林香氏
(株)SRAネットワーク&サービスカンパニーのオープンソースソリューション部部長である林香氏

林氏は、『PowerGres』販売の背景として、顧客からのWindows上で動作する『PostgreSQL』のニーズがあったこと、データベースサーバーのプラットフォームOSとしてWindowsが成長していること、また、『PostgreSQL』自体の機能が充実し、性能が向上してきたことを挙げた。

引き続き、日本PostgreSQLユーザー会の理事長であり、SRAネットワーク&サービスカンパニー オープンソースソリューション部 オープンソースサポートグループ主幹である石井達夫氏が、『PowerGres』の機能や今後の展望を紹介した。

SRAネットワーク&サービスカンパニー オープンソースソリューション部 オープンソースサポートグループ主幹である石井達夫氏
SRAネットワーク&サービスカンパニー オープンソースソリューション部 オープンソースサポートグループ主幹である石井達夫氏。『PostgreSQL』国際化担当の開発メンバーでもある

今後の展望については、石井氏個人の希望的観測としながらも、『PowerGres』のソースコードをいずれは『PostgreSQL』のソースコードに統合し、オープンソースとして公開したいと語った。

最後に、SRAネットワーク&サービスカンパニー 営業部 担当部長の吉田信義氏が、『PowerGres』の営業戦略を紹介した。

SRAネットワーク&サービスカンパニー 営業部 担当部長の吉田信義氏
SRAネットワーク&サービスカンパニー 営業部 担当部長の吉田信義氏

『PowerGres』は、当面は中規模の企業向け社内システムやウェブシステムといった用途をターゲットに販売し、将来的には大企業の部門サーバーといった用途にも拡販する予定だという。販売戦略としては、既存ユーザー向けの販売だけでなく、ISV(Independent Software Vendor:独立系ソフトウェアベンダー)とのアライアンスによるアプリケーション組み込み用途や、SI(System Integrator)企業との連携により、低価格を前面に出して大量導入する顧客を開拓するとしている。既存の『MS SQL』などからのデータ移行サービスなども4月以降に提供される予定だ。

『PowerGres』の売り上げ目標
『PowerGres』の売り上げ目標。3年目にはコンサルティングや開発を中心に30億円の売り上げを目指す

売り上げ目標としては、初年度で700~800ライセンスのバンドル出荷などにより、最低でも1億円を目指すとしており、3年後には30億円の売り上げを目指すとした。

なお、同社は11月1日付けで(株)エスアールエーから(株)SRAに登記上の社名を変更した。

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