組み込みLinux向けGUI環境『式神』を提供している(株)アックスは、8月29日から30日に行なわれた『mobidec 2002』で、『式神』を搭載した『iPAQ』から、AirH”端末を利用して電話を発信するというデモを行なった。
iPAQから電話をかけている、(株)アックス 第2開発部 部長の田中正善氏。「デモなので、目立つように大きめのイヤフォンにしました」とのこと。 |
使用したのは、『iPAQ』とセイコーインスツルメンツ(株)のPCカード型AirH”端末『MC-P300』。ほかにヘッドセット用のジャックを搭載した端末で、仕様が公開されているものがなく、この端末を選んだそうだ。『式神 2.0』で登場したモバイルフォンプロファイルのインターフェイスから電話をかけることが可能なほか、アドレス帳からの発信も可能になっている。
電話帳から相手を選択して発信することもできる。こちらのインターフェイスは指で操作するのは少し厳しい。 |
電話がつながっている状態。タスクバーをよく見ると、2つのアプリケーションが起動しているのがわかる。話しながら『布目』でメモをとるといった作業もでき、非常に便利だ。 |
ただし、現在のところ電話の着信はできない。これは仕様が公開されていないためだけでなく、携帯電話キャリア側でそういった利用法を想定していないためでもあるようだ。
(株)アックス 第2開発部部長の田中正善氏によると、『式神 2.0』のモバイルフォンプロファイルは第3世代の携帯電話をイメージしたものになる予定で、『式神』開発当初から考えられていたようなAI機能を今後実装してゆくのだという。
「個人と対話するような、あるいは対話とまでは行かなくとも、必要な情報を知らせてくれるようなシステムを用意したいと考えています」(田中氏)
会場で行なわれたセミナーでは、同社企画部部長の坂下秀氏が講演し、組み込みLinux開発を行なう上で注意しなければならない、リアルタイム処理の実装方法やライセンスの問題などを紹介し、『式神 2.0』のデモを行なった。
(株)アックス 企画部 部長の坂下秀氏 |
『布目』のデモ。携帯電話向けアプリケーション開発者をターゲットとした講演だったこともあり、組み込みLinuxの概要説明が中心のセミナーとなった。『Linux Conference 2002』では、BOF「式神への集い」も予定されており、より詳しい話を聞くことができるようだ。 |
今回披露されたシステムは、9月18日から行なわれる『Linux Conference 2002』でデモを行なう予定だ。なお、この電話発信モジュールのソースコード公開予定は今のところない。今後は『式神』のテキストウィジェットと連携させ、テキストから電話番号部分を選択し、そのまま発信を可能にするといったことを検討しているそうだ。