第3のDVD書き込みフォーマットであるDVD+RWをサポートし、使い勝手の良さと互換性の高さをうたって鳴り物入りで登場したリコー製ドライブ「MP5120A」。その後継で、今年2月に策定された“DVD+R”規格を新たにサポートする最新モデル「MP5125A」がいよいよ登場。発売日として予定されていた12日よりも1日早く、アキバの一部ショップで販売が始まっている。実売価格は4万1980円~4万2800円。
黒く渋くなったパッケージ |
DVD+RW最大の弱点をカバーするDVD+R
DVD+RWはその名のとおりRW(ReWritable)のみをサポートする規格で、CD-RWに対するCD-Rのようなライトワンスメディアに対応していない。ここで注意したいのは、リライタブルメディアとライトワンスメディアではデータ記録方法が違うことで、相変化方式を採用するリライタブルメディアは有機色素の変化によってデータを記録するライトワンスメディアに比べて再生互換性が必然的に低くなってしまう。DVD+RWでは、この影響を最小限に抑えたのがウリのひとつだったが、現実に、国内のDVD-Video市場の発展に寄与したと言われる「プレイステーション2」など一部の民生用プレーヤや、PC用のDVD-ROMドライブの一部ではDVD+RWメディアを読みとれなかったのも事実だ。
DVD+Rは、このDVD+RW最大の弱点をカバーするための規格と言っても過言ではない。CD-RやDVD-Rと同様のライトワンス規格であるため、プレイステーション2や、DVD+RWを読みとれなかったドライブでも読み出しが可能になっているのは、互換性を理由にDVD+RWドライブの購入をためらっていた人にとって追い風となるだろう。
使い方はCD-RやDVD-Rとほぼ同様。DVD+RWでは、プレマスタリング処理後のライティング/パケットライティングどちらでもデータの追記が可能だったが、DVD+Rではパケットライティングでしかデータの追記はできない仕様となっている。またDVD+Rの仕様として“CD-R/RWドライブと同様の使い勝手を実現する”を合い言葉にした「マルチセッションDVD」がサポートされてはいるものの、一般的なDVDドライブではこれを読み出せないためか、MP5125Aではサポートが見送られている。付属のライティングソフト「B's Recorder GOLD 3.23」「Drag'n Drop CD 2.0」でもマルチセッションはサポートされていない。
このほか添付ソフトはMP5120A(/MP5122E)から若干変化があり、DVDオーサリングソフトが「MyDVD 3」から「neoDVD standard v2.6」へ、ビデオ編集ソフトは「MotionDV STUDIO 3 LE」から「Win Producer 2」へと変わった。また、静止画の管理・編集を行う「DIGICLIP」が省略されている。なお、neoDVD standardは今夏の無償バージョンアップにより、ビデオの追加や削除、上書きなどが自在に行える「DVD+RW VR(ビデオレコーディング)規格」に対応する予定だ。
DVD+Rの書き込み速度は2.4倍速で、DVD+RWの書き換え速度と同じ。ライトワンスの書き込みDVDドライブとしては現在最速ということになる。DVD-ROMの読み出しは8倍速で、CD-R書き込みは12倍速、CD-RW書き換えは10倍速、そしてCD-ROM読み出しは32倍速と、DVD+R以外の書き込み/書き換え/読み出し速度は従来製品の仕様を踏襲。DVD+RWの魅力となっている、わずか1分で終了するメディアの初期化機能(バックグラウンドフォーマット)や、記録するデータが1GB未満の場合、互換性を確保するためにDVD-R/RWでは必要とされる、総量1GBになるまでダミーデータを書き込む作業が不要である点もこれまでどおりだ。ただし、プレイステーション2の一部などいくつかの機種でDVD+Rメディアを再生するためにはDVD-R/RW同様に1GBまでダミーデータを書き込む必要があるのには注意したいところ。折り込みのペーパーでは将来的なアップデートで対応するとしているが、現在のところ、neoDVD Standardで1GB未満の映像データをオーサリングする際には、自前でダミーデータを用意する必要がある点も要注意と言える。
フェイス部分にも“+R”の文字が躍る。デザインはこれまでどおり | 冷却ファンを搭載しないリコーのこだわりもこれまでどおりだ | ダミーデータの書き込みについて説明するペーパー。詳細はリコーのウェブサイトを参照してほしい |
同梱のDVD+R/RWメディア。DVD+Rメディアは初登場だ。価格は1000円弱か? |
いずれにせよ、DVD+Rによるライトワンスのサポートで、穴と言える穴はまず塞がったと見ていいだろう。互換性と使い勝手の総合点で、DVD+RW/+Rが2002年春時点における書き込み型DVDの本命と見る向きも多く、初値から4万円台前半という、従来製品とほとんど変わらない価格もあって人気を集めそうだ。なお、11日現在、DVD+Rメディアの単品販売は行われていないが、明日12日の“発売日”にあわせるか、若干遅れて販売が始まるもよう。
価格 | ショップ |
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\41,980 | 若松通商エルプラザ 若松通商LAN/PLAZA |
\42,800 | クレバリー1号店 コムサテライト3号店 WonderCity |
\42,800 | 高速電脳(12日入荷予定、予価) |
\44,799 | TSUKUMO eX.(12日入荷予定、予価) |
価格提示なし | OVERTOP(近日入荷予定) T-ZONE.PC DIY SHOP(入荷済み、12日発売) BLESS 秋葉原本店(12日入荷予定) |