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BSA、著作権保護活動の現状を発表

2001年09月25日 18時12分更新

文● 編集部 田口敏之

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コンピューターソフトウェアの権利保護団体であり、世界65ヵ国で活動を展開している非営利団体のビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)は21日、権利執行担当副会長のロバート・クルーガー(Robert M.Kruger)氏の来日に合わせて、都内で報道関係者を集めて記者懇談会を開いた。

懇談会では、クルーガー氏が米国におけるソフトウェア著作権侵害の状況と、その問題に対するBSAの著作権保護活動の現状などを報告し、BSA日本担当顧問の石原修氏が日本初の組織内違法コピーの民事訴訟を例に取りながら、日本における著作権ならびに知的財産保護活動の現状を報告した。また、BSA日本担当事務局長の水越尚子氏が、2002年における同団体の活動方針について説明した。

BSA権利執行活動担当副会長のロバート・クルーガー(Robert M.Kruger)氏BSA権利執行活動担当副会長のロバート・クルーガー(Robert M.Kruger)氏

クルーガー氏は、「ソフトウェアの開発には大きな投資が必要だ。それはアイデアであり、金銭であり、時間も必要となってくる。場合によっては何年も、何億ドルもかけて製品を開発する。だが、違法コピーは、開発者が投資に対して得るべき正当な対価を奪い、そして開発者は、新たな開発への意欲を失ってしまうだろう」と述べ、ソフトウェアも書籍や音楽と同様、開発者の作品であり著作権が存在するということを改めて強調した。

同社が発表した調査結果によると、2000年の全世界の違法コピー率は前年から1ポイント増の37%、損害額は前年から4億ドル(約482億円)減の118億ドル(約1兆4226億円)となった。日本の違法コピー率は前年から6ポイント増の37%、損害額は前年から6億9000万ドル(約832億円)増の16億7000万ドル(約2013億円)となった。日本における損害額は、'95年の調査開始以来の最高額だった。

同調査は、BSAの委託により、米International Planning and Research社が実施したもの。26種類のビジネスアプリケーションを調査対象に、世界6大地域における85ヵ国のソフトウェア市場の売上データと市場情報に基づき、違法コピー率と違法コピーによる経済的損害を算出している。

クルーガー氏は「現在のところ、最も大きく影響が出ているのは、組織内における違法コピーで、損害額は118億ドルにも及んでいる。このような問題に、経営者の方々には関心を持っていただきたい」と促した。

BSA日本担当顧問の石原氏と日本担当事務局長である水越尚子氏
BSA日本担当顧問の石原修氏と日本担当事務局長である水越尚子氏

具体的な事例として、5月16日に判決が出た、日本初の組織内違法コピーの民事訴訟について説明した。これは、司法試験予備校を運営する(株)東京リーガルマインドが、ソフトウェアの違法コピーを行なっているとして、米アップルコンピュータ社、米アドビシステムズ社、米マイクロソフト社の3社から、2000年4月19日、ソフトウェアの不正コピーによる著作権侵害の損害賠償訴訟を起こされていたもの。

東京地裁は16日、被告側の、不正コピーが発覚した後に正規品を購入すれば、過去に不正コピーをしていた分についての損害賠償を一切支払う必要がないという主張を「失当である」として否定し、被告企業が著作権を侵害していることを認める判決を下している。支払いを命じた損害賠償は8472万400円。

「この裁判自体、今後の著作権保護を強化するということで意義のあることだと思う」と石原氏は述べた。

同訴訟のきっかけとなったのは、他の多くの事例と同様、“BSAホットライン”と呼ばれる電話で、同社内において違法コピーが行なわれているという情報が寄せられたことから始まっているという。通報は、電話もしくはメールによって、組織・企業内の人間から寄せられることも多く、「従業員も、会社が正しくないことをしているということが分かっている」とクルーガー氏は述べ、また「訴訟の目的は企業に恥をかかせることではなく、他の企業を啓蒙することにもある。こうした実例を、BSAのウェブサイトでは159件発表している」と述べた。

そして、BSA日本担当事務局長である水越尚子氏が、2002年のBSA活動方針について述べた。

「違法コピーソフトの利用率はわずかに上昇している。これは、パソコンの普及やエントリーユーザーが増えたこと。また、インターネットやCD-Rのような、コピーをしやすい環境が整って多様化したことが原因にある。技術の発展と普及について、BSAは歓迎しているが、産業全体の発展をビジネスソフトウェアが支えているということを忘れてはならないと考えている」と水越氏は述べた。

こうした、インターネットやCD-Rなどで何気なくコピーしてしまう“カジュアルコピー”を初めとする行為に対して、BSAはこれまで同様、ポスターやダイレクトメール、テレビCMなどによって活動を行ない、違法コピーをしている組織や企業に対する、権利執行活動を引き続き行なっていくという。

また、BSAではインターネットなどで広がり続ける違法コピーに対して、現行の法制が十分に整理されているかどうかに注目している。たとえば、アメリカではISPの提供しているサーバーを用いて違法コピーが行なわれている場合、ISPが責任の対象となる法律が成立している。日本でも、こういった法律の整備は進んでいるが、“Napster”、“Gnutella”などといった新しい手法なども現われて、コピーの方法が多様化している現在、完全に違法コピーを取り締まるための法制は追いついていない状態だという。今後もBSAでは、保護強化のための著作権法改正の働きかけを官庁に対して行なっていくという。

さらに2002年度の活動では、ソフトウェアプロテクションなど、著作権保護のための技術的な方法についても一層模索していきたい、とした。

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