総務省は25日、電気通信事業法第96条の2に基づいて、イー・アクセス(株)が2日に行なった東/西日本電信電話(株)のDSL営業活動の改善を求める意見申出を受けて調査した結果、NTT東西に対して文書で行政指導すると発表した。
イー・アクセスの意見申出は、“DSLサービスの営業活動などにおける改善”と“光ファイバー設備の接続における遅延などの改善”の2つの項目について行なわれたもの。以下にイー・アクセスの意見申出の概要を示す。
DSLサービスの営業活動などにおける改善
- DSL回線申し込みに際して、ISDNからアナログ回線への切り替え工事が必要だが、その工事を依頼するときのNTT東西の窓口は“116”である。この116は営業活動を担当する窓口でもあり、イー・アクセスのDSLサービスのための切り替え工事の受付の際、強引にNTTのフレッツADSLサービスに勧誘したり、イー・アクセス申し込みのための工事を遅延させる旨を示唆したりした。
- NTT東西は、ADSL申込者と回線名義人を一致させるため、申込者がNTT東西の116に電話をかけて名義確認を求めることとしている。これは申し込みに手間をかけ、116窓口の強引なNTTサービスへの勧誘を誘発する可能性があるので、116ではなく、非営業部門から顧客に対して直接確認を行なうなどの対応を要望する。
- NTT東西からADSLサービスの申し込みに対して、回線名義人住所の記載が求められているが、これは“マイライン”サービスの申し込み時には不要としており、ADSLサービスにおいても同様の対応を要望する。
光ファイバー設備の接続における遅延などの改善
- 局間伝送路の経路開示をNTT東に求めたが、開示漏れや開示情報が不正確であり、自社の伝送路設計に著しい遅延が生じた。
- 接続の可否をめぐる手続きについてNTT東は、請求を受理しないまま、請求文書の様式を一方的に変更した上、処理に時間をかけた。
- 接続の可否の判断に変更が多く、その通知内容も不備がある。回答の際には、空き芯線数などの情報開示のないまま接続不可とされた。
総務省はイー・アクセスからのこれらの申出に対し、独自に調査を行なった結果、DSLサービスの営業活動に関してはNTT東西、光ファイバー設備の接続に関してはNTT東に対して、改善措置を行ない、総務省に対して報告するように指導したとしている。指導の内容は以下の通り。
DSLサービスの営業活動などにおける改善について
- ISDNからアナログ回線への移行などの事務において、非営業部門で取り扱うよう改めるなど、ファイアウォールを設定すること。
- ADSL申込時の名義人“住所”の記載を省略すること。
光ファイバー設備の接続における遅延などの改善
- 経路情報について正確かつ十分な情報開示を行なうこと。
- 接続の請求の様式と標準的な処理期間を設定すること。
- 空き設備がある場合の接続の即応、あるいは即応できない場合の可能時期についての情報開示を行なうこと。
今回の行政指導はイー・アクセスの申し出がほぼそのまま認められた形となった。電気通信事業法によると、こうした申出に対して総務省が行なう判断としては、罰則規定のある“行政命令”、罰則規定のない“行政指導”、問題ないとして何も行なわない、の3つの場合がある。今回NTT東西に対しては、2番目の行政指導が行なわれた。これについてイー・アクセスの千本代表取締役は「命令であれば総務省の判断にもっと時間がかかったはず。当社としては迅速な対応を求めるものであり、今回の行政指導にはほぼ満足している」などと述べた。イー・アクセスは本日、報道関係者向けに説明会を開催しており、NTT東西との問題や総務省からの指導、今後の事業展開について詳しく説明された。この説明会の模様は別途掲載の予定。