米Red Hatは、9月3日に日本法人としてレッドハット株式会社を設立したと発表した。米Red Hatの100%全額出資で、代表取締役社長は平野正信氏。
記者発表はRobert Young氏(Red Hat社CEO)が出席する予定であったが、同氏は米国内の取材がたて込んでおり、飛行機の出発時間に間に合わなかったため会見会場には現われなかった。
なおアスキーでは、成田からホテルに直行したばかりのRobert Young氏のインタビューをとることに成功した。
まずは、日本法人設立記者会見のもようをお伝えしよう。
日本法人設立の経緯を説明する平野代表取締役 |
平野代表取締役はRed Hatの日本法人設立の経緯を次のように語った。
「今年1月から、日本市場について調査したところ、深刻な問題がいくつか判明した。第1に、サポート体制。特に企業向けのサポートがまったくできていない。第2は『Red Hat Linux』は、米国では50%以上のNo.1のシェアを占めるが、日本でのシェアは20%以下でNo.1でもない。この2つの大きな問題は、Red Hatが自ら日本法人を設立し解決するしかない、という結論に達した」
五橋研究所との契約打ち切りに関しては、平野氏は「私が直接かかわっていたわけではないので、聞いた話だが」と断って、次のように語った。
「今回の契約打ち切りは、五橋研究所のいうような一方的なものではない。実際、Red Hatから契約を切ろうと思ったことは一度もない。日本法人を設立するといった話は以前からしていた。しかし、五橋研究所が『契約打ち切り』の会見をした時点でも、日本法人に関しての具体的な話は決定してはいなかった。これからの関係を検討していたところ、いきなりあの様な発表をされて当惑した。ただ、これで、五橋研究所との関係が完全に終わったとも考えていない。引き続き、五橋研究所とこれからの話をしたいと思っている」
「Red Hat Linux 日本語版」のリリース時期に関しては、「『Red Hat Linux 6.0日本語版』をリリースすると発表したが、正確に言うと、日本語版は安定したプラットフォームとして供給できる時点で、リリースするつもりだ。バージョンに関しても、その時点で供給できる最新のバージョンとなる」とした。
製品の方向性としては「アプリケーション等の商用ソフトをたくさんつけるのではなく、安定性と、サポートを重視する」という。「コンシュマーに対して売れる本数は、企業をサポートすることによって増えていく」とし、特に企業向けのサポートやソリューションビジネスに意欲を見せていた。
他社との協力体制に関しては「話は進めているが、会社を設立したばかりなので、契約ができる状況ではなかった。正式な契約に関しては近々できればよいと考えている」と語った。
レッドハット株式会社の現在の社員は5人。うち2人が米Red Hatで開発をしている。今期中には30人程度にし、半数以上をサポート要員にあてる予定。