TechCrunch50が9月8日から3日間サンフランシスコデザインセンターで開催されている。TechCrunch(日本語版はこちら)についてはご存じの読者も多いだろうが、新しいインターネットサービスや企業をひたすら紹介するブログメディアである。このイベントではまさにその対象となっているスタートアップ企業(俗に言えばその中でもWeb2.0系)が、資金や事業のパートナーを求めてデモを繰り広げるイベントなのである。
海外では日本車を見ることは珍しくない。けれども日本発のWebサービスが使われているのを見つけることはほとんど無い。進化し続けるGoogleに象徴されるように、日本人の多くは日常的に北米発のWebサービスに依存して生活を送っている。基幹技術がアメリカ産だからと言ってしまうのは簡単なのだが、実際にこういったイベントでのユニークなサービスや人物の紹介を通じて、その辺りをもう少し深く探ることができればと思い、現地から3日連続でお送りする。
熱気ムンムンの会場内
ちなみに、今年はライバル的存在とも言えるDEMOカンファレンスと同日開催となり、どちらが勢いづくかという意味でも注目されている。主催者・出展者・参加者ともかなりアグレッシブで、日本のこの手の展示会とはまた違った雰囲気を醸し出している。実際、9月のサンフランシスコは涼しさを通り越して15度前後と寒いくらいにも関わらず、場内は汗ばむような熱気に包まれていた。
私たちが会場入りしたのは朝の7時半。9時からのセッションの前にスタートアップ企業がデモを行うデモピットを見て回ったのだが、既に冒頭の写真のように人だかり。今年の参加者は1500人。ここで時間を取られると、奥で開催されるセッションの席の確保が難しくなる。実際30分前のセッション会場入りでは、かなり後ろの方に座る羽目になってしまった。また、セッション前には国家斉唱もあり、試合開始というムードが高まってくる。
1日目午前の部のエキスパート(審査員)は以下の通り。
- Marissa Mayer(Google副社長 検索製品および利便性の向上担当)
- Chris DeWolfe(MySpace CEO/共同創設者)
- Ron Conway (投資家 Google、PayPalなどにいち早く投資したことで知られる)
- Chad Hurley (YouTubeの共同創設者にしてCEO)
なんとも贅沢な面々! ここでの評価は「おもしろいか否か」だけでなく、「投資に値するか否か」という観点で語られる。デモの華やかさから一転して、クールに大物たちがプレゼンテーションを分析するのである。
Session 1:「Youth&Entertainment」
バーチャルワールドに向かうエンタテイメント系Webサービス
このセッションでは、多くのサービスが指向している「バーチャルワールド」について、その広告効果が議論された。子供向け(主にティーンエージャー向け)の仮想空間では、確かに滞在時間が長くなり、広告への接触機会は増えるのだが、果たしてその子供たちの購買力は魅力なのだろうか? モバゲータウンにおいても、しばしば指摘された点がここでも表面化したと言えるだろう。
デモピットでそのようなサービスのビジネスモデルについて尋ねると、「広告」といったおきまりの答えしか返ってこないことも多いのだが、講評を通じて投資家の側からビジネスモデルの提案も行われることも多く、相互補完関係ができあがっている様子が窺えた。