部活動重視でコミュニケーション
「社員の半数以上が参加している」というほど部活動が活発なのも、人と人とのつながりを重視した結果だ。部活動は全部で13も存在する。3つの本部組織がある中、2つの部署以上にまたがってメンバーが集まっていれば、会社公認の部となる。公認になれば、半期ごとに一人につき5千円が支給される。
部活動の種類は、野球部、フットサル部、写真部など多岐にわたる。ニンテンドー DS関連の部活動(DS部)も盛り上がっていて、企業間で「マリオカート」で戦ったりしているそうだ。
「部活動を通して人間関係を深めようという意図があります。相手に対する理解が深まり、仕事もスムーズになり、部署をまたいでのコミュニケーションもとりやすくなります」(村松氏)。
IT界の松下、手厚い福利厚生を目指す
サイボウズは比較的女性社員が多く、1/3を占めるという。社員同士はお互い仲が良く、社内結婚も多いそうだ。
その理由のひとつと言えそうなのが、充実した人事制度。6年間と長期の育児介護休職制度が用意されている。また、「ワーク・ライフ・バランス制度」という独特な制度もある。
ベンチャーというと社内の競争が激しく、常に追い詰められるように働いている──といったイメージを持つ読者もいるかもしれない。若ければ突っ走ってみるのもいい。しかし、人生は一本調子ではない。家庭を持ち、育児を行なっていく中で、家族とのコミュニケーションと仕事とのバランスをうまく保ちたいと考える人が出てきてもおかしくない。
「休暇制度があっても、その人が休むと周りの人がフォローしなくてはいけないので、とりづらい面があると思います。そういうものをなくすために部活動があり、フォローできる人間関係を作っています。われわれは、IT界の松下やトヨタを目指しています。従業員にできるだけ長く働いてもらえるような制度をとっています。ITだけれど物作りの会社なので、似ている面もあると思いますね」(村松氏)。
ワーク・ライフ・バランス制度は、9時~18時までの定時の勤務だが給料は保証される「年功重視型」と成果によって給料が上がっていく「成長重視型」の二つから、一年ごとに働き方を選べる制度だ。これまでの給与水準は保ったまま、自分の生き方に合った勤務体系に方向転換できる。
こういった制度の導入によって、サイボウズの離職率は大幅に減少した。かつては20%ほどだったものが5%程度になっているという。
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日本一のグループウェアを開発する企業の会議室は、社員のことを考えた仕事のしやすいところだった。オンラインの効率を重視しつつも、一貫してフェイストゥーフェイスを大事にする姿勢は見習いたいところだ。