日本のアニメの下請けを行なう「AXIS&キャッツ」。同スタジオは「鉄コン筋クリート」「ジーニアス・パーティ」などのアニメ作品にも参加する
アニメーション業界と言えば、海外下請けが盛んな分野だ。このレポートの第1回、第2回では、ベトナムにあるアニメ制作スタジオ「AXIS&キャッツ」を日本人の視点から追ってきた。
一方、この会社で日本人とともに働くベトナム人は、日本のアニメやこの仕事をどうとらえているのだろうか? 今回は、現地のアニメーターにスポットを当てたい。
AXIS&キャッツで働くベトナム人スタッフは約60名。日本のアニメ作品の動画と仕上げを主に担当している。平均年齢は20代前半と若く、最年少は17歳である。
日本は高齢化社会だ。それは、アニメ産業にも影響を与えている。アニメ産業を支える主なアニメーターの年齢は40歳前後。アニメスタジオに20代の若者の姿は少ない。
それに比べて、ベトナムのアニメスタジオは20代前半の若者ばかり。日本の現状を知っているだけに新鮮に思えた。
ベトナムで見付けたサブカルチャー
ベトナムにおいても、コミック、ゲームを扱う店舗は多い。ただ、正規流通が確立していないため、海賊版が横行している(関連記事)。経済発展が著しいベトナムだけに、近い将来、コンテンツホルダーである各企業が、ベトナム市場を狙って乗り込むこととなるだろう。
ホーチミン市のゲームショップ。正規品を扱っている店舗はほとんどない。ゲームソフトは一律10000ベトナムドンだ(日本円で70~80円)。お店に入ると、まずアルバムを渡される。ページをめくると、カラーコピーされた、プレイステーション2(PS2)、Xbox360などの新作ソフトのジャケットがずらりと並ぶ。どれでも好きなものを選べ、というわけだ
ゲームショップの奥には、笑顔でPS2を改造している若者がいた。不正にコピーをしたゲームを遊べるようにしているのだ。彼らの笑顔には後ろめたさは1mmもない。著作権侵害で訴える企業が進出しておらず、そして、必要とする客がいる限り、彼らの行ないは日常に過ぎない
書店ではコミックを販売している。フランス領の影響を色濃く残すベトナムではコミックも心なしか、欧米風が多い
街角のぬいぐるみ屋では、どこかで見たようなキャラクターがつるされている。微妙に位置がずれ、マツゲになっているのはご愛嬌
ホーチミンの大型書店の最上階で、陶器人形を塗るスペースを見付けた。ベトナム人に聞けば、ベトナムではメジャーな遊びらしい。創作人形から、「ドラえもん」などの既存のキャラクターまで、種類は様々
街角の店で食べた「フォー」。1杯1万~1万5000ベトナムドン(70~105円)。レモン、唐辛子、香草を自由に入れて食す。ベトナムは野菜、果物が新鮮な国である。安くても食材がフレッシュなため、どこで食ってもうまい! 取材中は何度もお世話になりました