株式会社セールスフォース・ドットコムは18日、都内で記者会見を開き、同社のCRMサービスの最新バージョン「Salesforce Summer'07」を発表した。従来のCRMに加え、開発環境やプログラミング言語を含むプラットフォームとして提供されるのが特徴。提供開始は8月を予定している。
プラットフォームの提供でビジネス領域を拡大
「SalesforceはCRMやSFAにとどまらない。コンプライアンスやSOX法対策に利用されるケースもある。今回のPlathome as a Serviceとしての提供で、CRMにとどまらない新しいアプリケーションとしての利用が可能になる」
セールスフォース・ドットコム 代表取締役社長の宇陀栄次氏は会見の冒頭でこのように語る。新バージョン「Salesforce Summer'07」(以下、Summer'07)では、Salesforce上で動作するアプリケーションを開発可能なプログラミング言語「Apexコード」を実装された。これは以前から開発者向けにプレビュー版が配布されていたが(関連記事)、今回正式にリリースされることで、SaaSによるCRMアプリケーションの枠を超え、1つのプラットフォームとして環境を整えたことになる。これにより、Salesforce上でCRM以外のアプリケーション開発も可能になる。
宇陀氏によれば、「今までなら、4000人の企業があるとすれば、CRMを必要とするのは、その中の営業の400人ほどだった。今回プラットフォームとして、新しい機能の提供が可能になったことで、4000人全員をユーザーの対象とすることができる」としている。
また、Apexコードによる開発支援機能として、テスト環境の「Sandbox」が提供され、複数のテスト環境の構築をサポートされた。また、複雑なビジネスルールやワークフローを定義できる「Enterprise Intelligent Workflow」機能も搭載され、さまざまな業務で利用可能なエンタープライズ環境としての整備が行なわれた。
さらにCRM部分への追加機能としては、各種インターフェースの改善や従来テキストだけだったFAQコンテンツのHTMLへの対応、顧客向けのウェブサイト「カスタマーポータル」の構築機能、Lotus Notesとの同期機能など、50以上の新機能が追加された。
また、同社が総務省や経済産業省によるASP/SaaSの普及促進活動に同社が関与していることや、メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアムと連携し、海外へのプロモーション活動に協力することなども明らかにされた。