安全保障と経済の両面で、世界でもっとも重要な米中首脳会談では、テクノロジーに関わる分野でも大きな動きがあった。
米国のトランプ大統領は2026年5月13日から15日にかけて、中国の北京を訪問し、習近平国家首席と会談した。今回の訪問でトランプ大統領は、NVIDIAのジェンセン・ファンCEO、テスラのイーロン・マスクCEO、アップルのティム・クックCEOという米国を代表するテック企業の代表者を同行させた。15日のCNBCによれば、メタやマイクロン、クアルコム、Coherent(コヒレント)の幹部も同行したという。
同行したメンバーの中で、もっとも注目を集めたのは、やはりNVIDIAのファンCEOだろう。中国によるAI開発を減速させたい米政府の意向で、同社は中国に対して、先端半導体を輸出できない状況が続いてきた。14日のCNBCによれば、米国側はNVIDIAのAI向け半導体のうち2番目に高速なH200という半導体について、中国のテクノロジー大手10社を対象に輸出を認めたという。輸出が認められた企業には、アリババ、テンセント、バイトダンスといった中国を代表するテック企業が含まれる。
しかし、15日時点の報道によれば、米国はH200の輸出を認めたものの、中国側は米中首脳会談の間は、中国企業各社に対して購入を認めないという、不思議な事態が生じた。この報道が事実だとすれば、これまでAIの開発にはNVIDIAの先端半導体が欠かせないと言われてきたが、中国政府は米国側の申し出に飛びつかなかったということになる。実際、米中首脳会談の中身を受け、15日の米国市場では、NVIDIAの株価は下落した。半導体をめぐる米中双方の思惑はどこにあるのだろうか。
テック企業が勢揃い
今回の米中首脳会談の中身について理解を深めるうえで、まず同行メンバーを確認しておきたい。NVIDIA、テスラ、アップル、メタの4社については、あらためて確認は不要だろう。その他のテック企業は、いずれも半導体に関連する企業だ。
マイクロンは、PCを自作する人にとってはCrucialというメモリやSSDのブランドがおなじみだろう。残念ながら同社は2026年1月、消費者向けのメモリなどの事業から撤退すると発表している。クアルコムはスマートフォン向けの半導体や、Windows向けのSnapdragon Xで知られている。コヒレントが正直、もっとも耳慣れない企業だが、光学材料や半導体を製造する企業だ。
米政府がこうした半導体関連の企業を首脳会談に同行させたのは、中国が製品の販売先として、あるいはレアアースなどの材料の調達先としても極めて重要な国だからだろう。
米国一強の終わり?
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