ASCII倶楽部

このページの本文へ

小島寛明の「規制とテクノロジー」 第388回

米国の半導体規制緩和でも、中国がNVIDIAに飛びつかない理由

2026年05月19日 07時00分更新

文● 小島寛明

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 安全保障と経済の両面で、世界でもっとも重要な米中首脳会談では、テクノロジーに関わる分野でも大きな動きがあった。

 米国のトランプ大統領は2026年5月13日から15日にかけて、中国の北京を訪問し、習近平国家首席と会談した。今回の訪問でトランプ大統領は、NVIDIAのジェンセン・ファンCEO、テスラのイーロン・マスクCEO、アップルのティム・クックCEOという米国を代表するテック企業の代表者を同行させた。15日のCNBCによれば、メタやマイクロン、クアルコム、Coherent(コヒレント)の幹部も同行したという。

 同行したメンバーの中で、もっとも注目を集めたのは、やはりNVIDIAのファンCEOだろう。中国によるAI開発を減速させたい米政府の意向で、同社は中国に対して、先端半導体を輸出できない状況が続いてきた。14日のCNBCによれば、米国側はNVIDIAのAI向け半導体のうち2番目に高速なH200という半導体について、中国のテクノロジー大手10社を対象に輸出を認めたという。輸出が認められた企業には、アリババ、テンセント、バイトダンスといった中国を代表するテック企業が含まれる。

 しかし、15日時点の報道によれば、米国はH200の輸出を認めたものの、中国側は米中首脳会談の間は、中国企業各社に対して購入を認めないという、不思議な事態が生じた。この報道が事実だとすれば、これまでAIの開発にはNVIDIAの先端半導体が欠かせないと言われてきたが、中国政府は米国側の申し出に飛びつかなかったということになる。実際、米中首脳会談の中身を受け、15日の米国市場では、NVIDIAの株価は下落した。半導体をめぐる米中双方の思惑はどこにあるのだろうか。

テック企業が勢揃い

 今回の米中首脳会談の中身について理解を深めるうえで、まず同行メンバーを確認しておきたい。NVIDIA、テスラ、アップル、メタの4社については、あらためて確認は不要だろう。その他のテック企業は、いずれも半導体に関連する企業だ。

 マイクロンは、PCを自作する人にとってはCrucialというメモリやSSDのブランドがおなじみだろう。残念ながら同社は2026年1月、消費者向けのメモリなどの事業から撤退すると発表している。クアルコムはスマートフォン向けの半導体や、Windows向けのSnapdragon Xで知られている。コヒレントが正直、もっとも耳慣れない企業だが、光学材料や半導体を製造する企業だ。

 米政府がこうした半導体関連の企業を首脳会談に同行させたのは、中国が製品の販売先として、あるいはレアアースなどの材料の調達先としても極めて重要な国だからだろう。

米国一強の終わり?

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事

ASCII倶楽部の新着記事

会員専用動画の紹介も!