新しいiPhone Xの操作について、「そのうち慣れる(慣れた)」という人がいます。
前回の編集後記では、「iPhone Xは操作が複雑すぎてダメ」と騒ぎ立てるのはまだ早い、そのうち慣れてくれば「こうすれば良いのだろう」とわかるようになる……と書きました。ただ、いきなり立場が矛盾するようですが、「慣れ」の一言で片付けていいかというと、ちょっと悩ましい。
慣れというのはなかなか数字に表しにくいもの。ベンチマークを取ってきっちりとデータにして図示するのが難しいので、あくまで「自分はこうだった(けれど、他の人はどうだろう)」範囲の話になりがち。
世間話レベルならそれでもいいのですが、記事にしなくては……となるとやっかいです。数字で表せるものは、わかりやすい。「150mm」「3時間」などは、普遍的な値です。しかし個人差があるものは、記事にする際に、盛り込むことをちょっとためらってしまう。
筆者は食品のレビューを書くときがあります。その際も、非常に伝わりにくい「味」を表現するのに苦心します。よく使うのが「似ている」という表現。たとえば、「コカ・コーラ」「カップヌードル」「ガリガリ君」など、多くの人が知っていそうなものに近いと、だいぶ書きやすい。
数値とは別に、ビジュアルで伝える手もあります。たとえば、モノの横にiPhone、10円玉、(今ではあまり見なくなりましたが)タバコの箱などを並べて、「これぐらいです」とやる方法ですね。しかし、「慣れ」のような、感覚的なものを表現する場合には、なかなかそうもいかない。
製品のレビュー記事で数字が並んでいる部分を見ると、「なんだ、数字ばかりじゃないか」「メーカーのカタログに書いてあることじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、実はここが大事なのです。まず、誰にでも伝わることを、しっかり書いておかなければならない。
この連載の記事
- 第360回 日清がカップヌードルのアレを「謎肉」と自ら言い出した理由
- 第359回 格安SIMの速度に安定を求めるのは間違っているだろうか
- 第358回 (PRODUCT)REDが出た、iPhone SE2はどうなった?
- 第357回 4月からの格安SIMはUQ mobileとY!mobileが強い?
- 第356回 スタバのフラペチーノを「しゃらくさい」と思ってしまった
- 第355回 松屋「ごろごろ煮込みチキンカレー」という魔術的リアリズム
- 第354回 横浜スタジアムにドローンが飛んだ日
- 第353回 お金がないのに高級コンデジ買いました
- 第352回 バルミューダのトースターはジブリ好きな人にオススメかも
- 第351回 確定申告で考える「締切を守らない問題」
- この連載の一覧へ