世界最大の暗号資産(仮想通貨)の取引所バイナンスから、1兆円相当の仮想通貨が盗まれた。
バイナンスが約63億米ドル(約9800億円)にのぼる巨額の被害を明らかにしたのは、日本時間2026年10月30日午前のことだ。米連邦捜査局(FBI)がその後、北朝鮮のTraderTraitorの犯行だと名指しした。
バイナンスからはビットコインやイーサリアム、ステーブルコインなどが盗まれたが、FBIの発表によれば、TraderTraitor(トレーダー・トレイター)は盗み出した仮想通貨をおもにイーサリアムに交換しているという。FBIは、実行犯が今後、DeFi(分散型金融)サービスやインスタント・スワップ・サービスなどを使って、盗んだ仮想通貨のロンダリング(洗浄)をする可能性があるとして、関連する仮想通貨のウォレットのアドレスを公開し、関連する事業者などに対して、仮想通貨の交換などの取引をブロックするよう呼びかけている。
このTraderTraitorという名について、どこかで見覚えがあるなと思ったが、日本のDMM Bitcoinから、約482億円相当のビットコインが盗まれた事件で、FBIと日本の警察庁が犯行グループを特定したとして、名指ししていたグループだ。
北朝鮮軍内部の組織
警察庁や米司法省の公表資料によれば、TraderTraitorは、北朝鮮の朝鮮人民軍の情報機関である偵察総局内でサイバー攻撃などを実行するLazarus(ラザルス)の一部で、仮想通貨の窃取などを専門とする組織とされる。LazarusもTraderTraitorも、北朝鮮の当局が名乗っているわけではなく、セキュリティ会社や米国の当局が名付けた名称が広まったものだ。
DMM Bitcoinの事件では、ウォレットソフトを提供していたGincoの従業員が、ビジネス向けSNSのLinkedInで、リクルーターを名乗る人物から転職を持ちかけられたことが被害のきっかけになっている。
この従業員は、リクルーターから、採用試験を受けるよう指示される。採用試験では、プログラムのソースコードを保存・公開・共同編集できるウェブサービスGitHubを使って、試験問題のプログラムを、自分のGitHubページにコピーするよう指示されたのだが、このプログラムには悪意のあるコードが仕込まれていた。
この結果、攻撃者側は、この従業員になりすましてGincoの社内システムに侵入し、DMMの従業員が出した正規の送金依頼を改ざんして、482億円相当のビットコインを攻撃者側のアドレスに送らせたとみられている。
狙われるのは従業員個人
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