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思った以上にいいことだらけ! 録音できるAIリング「Vocci」に可能性を感じた!

2026年10月20日 09時00分更新

文● ASCII

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指輪型で常に装着できる感覚がいい

 記事の執筆に合わせて、数日間、Vocciを身につけて過ごしてみましたが、

 好印象だったのは「指輪という形が持つ使いやすさ」です。

 従来のボイスレコーダーは、テーブルの上に置いて使うことを想定したものが多く、形状もカード型やスティック型になっているのが一般的でした。スマホの背面に取り付けられたり、ポケットに入れやすいなど、それぞれの狙いと利点はあります。一方で、机が用意されていない記者会見や説明を聞きながらイベント会場を回るような取材では、どう使うのがいいのかと困るシーンも多くあります。

 手に持って使おうとすると片手がふさがってしまいますし、ポケットやカバンに入れたままだと、音声をきれいに拾えるかどうかが不安です。展示会場などでは、荷物を抱え、立ったままマイクを持ちながらカメラを構えるのが普通ですが、念のためスマホや紙のノートでもメモを取ろうとする際には、道具を出し入れも発生します(手を開けておきたい)。

 こんなとき、指輪型のVocciなら両手が自由に使えるため、カメラの操作もノートへの筆記も無理なくこなせます。

専用のボイスレコーダーであることも価値

 また、スマホの録音アプリを使うときに起きがちな「予期せぬ中断」を回避できるのも安心感につながっています。

 筆者は、スマホで録音している最中に、誰かから電話がかかってきたり、家に設置しているドアホンの呼び出しが入ったりして、大事な会話を録り逃してしまうトラブルに何度も遭遇しています。

 通知を受けないように機内モードにしたり、一時的に通知を切るといった対策もできますが、通信を切れない場合もありますし、通知を切ったら今度は戻すのを忘れてしったなんていうトラブルも起きがちです。環境に関わらず単体で確実に録音でき、スマホとは別の場所にデータが残る安心感も大きいです。

 音声を拾う精度についても、とても高いと感じました。ミーティングやイベント取材、日本語と英語が交互に飛び交う通訳付きの発表会など、複数の場面で機能を試しましたが、どれも自然に会話を認識してくれました。これはハードだけでなく、認識しやすい音声にするソフトの力も大きいでしょう。

 特に感心したのが、周りがガヤガヤしている商業施設や、BGMが流れている展示会場での性能です。一般的なAI議事録ツールは、静かな部屋で一人ずつ話す場面には強いのですが、周囲が騒がしかったり会話が被ったりすると一気に認識精度が落ちてしまいます。

 その点Vocciは、会話とバックグラウンドの騒音を切り分ける機能も優れており、自分の耳で相手の声が聞き取れるレベルの環境であれば、話し手の声にフォーカスの合ったきれいな録音ができていました。常に、録音するのに理想的な環境ではない中、ストレスなく使える点も嬉しいポイントです。

 同じシーンをマイク性能が比較的高いスマホでも録音してみました。音質的にはVocciよりも優れているのですが、声以外の騒音(キーボードのタイプ音)などが強く入ってしまい、文字起こしだけでなく、自分で聞く際も聞き取りがしにくいと感じました。ここは、動画などで周囲の音を臨場感よく収録するのと、声だけを的確に記録することの違いがあるためでしょう。

 録音中に点灯する白いLEDにも、実用的でかつ主張しすぎないという良さがあります。録音状態をすばやく確認できるのはもちろん、やり取りしている相手にも「いま録音しています」「止めました」という状態を自然と示せるため、信頼感を持った会話が可能です。

Vocciを使う際に気をつけたいいくつかの注意点

 一方で、気になる点もいくつかありました。

 ひとつは録音を終えてから文字起こしや要約が完成するまでに、スマホへの伝送やクラウド処理の時間がかかるため、数分から十数分ほどの待ち時間が発生する点です。これはしょうがない面があります(そして、特に遅いわけでもないと思います)が、AIの要約はすべての処理が終わってから表示されるため、録音直後に、すぐ結果を確認することは難しく、時間に余裕を持って使用する必要があります。

 次に気になるのが運用コストです。ヘビーユーザーでなくても、ある程度の使いこなしをしたいと思うのなら、有料プラン(PlusやPro)への契約が必須になると思います。

 つまり、本体の購入費用とは別に毎月3000〜6000円ほどの維持費は避けられないということです。それでも日々の会話や取材データを資産としてフル活用したい人にとっては、十分な価値がありますが、負担が大きいと感じる人も少なくないでしょう。

 最後に一般論とはなりますが、Vocciに限らず、AI対応の録音デバイスを使う上で、知っておくべき注意点もあります。

 メールやチャットで文字を打つときは、無意識のうちに「残していい情報」と「残すべきでない情報」、あるいは「送っていい情報」と「そうでない情報」を選別するタイミングが発生します。テキストにしない会話はそのまま消えていくのが普通でした。

 AIボイスレコーダーは使用時に録音した情報がクラウドにどんどん上がっていく仕組みです。日常の会話をライフログ的に簡単に録音できる反面、使用中は行動や会話の履歴がすべて残ってしまいます。プライベートな会話や機密情報が意図せず記録され、万が一流出してしまった際には大きなリスクになりうるでしょう。

 気になったのは、Vocciのアプリで指輪本体に残っている録音データを直接確認/消去する設定が見当たらなかったことです。おそらくは、スマホと同期したときに自動的にデータも消去されているのだと思いますが、端末を処分したり人に譲ったりする際にデータが本当に守られるかは少し気になるところです。

 また、アプリを初めて起動する際には、利用規約に同意したうえAI機能を有効にする手順が入り、設定画面でAIデータ共有のオン・オフを選ぶこともできます。ただ、こういった規約や利用範囲の文章は長く、誰でもわかりやすい説明とは言いにくいのではないでしょうか。

 Vocciに限った話ではありませんが、AIを用いる機器やサービスを展開するメーカーは、データがクラウドでどのような形で保護されているのか、不要なデータを確実に消去するにはどうすればいいか、そしてプライバシーに配慮した使い方のモデルケースは何かなど、わかりやすい発信を求めたいところです。

 使う人が不安なく活用できる環境が整うことで、Vocciはさらに魅力的なデバイスになっていくと思っています。

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