OpenAIは8月17日、開発中の新モデル「Astra」が同社の安全基準でサイバーセキュリティ能力の「Critical(致命的)」レベルに達する可能性があるとして、最先端モデルの学習を一時的に減速させていると発表した。
具体的には、製品投入を想定した最新モデルの強化学習を2週間停止した。最大規模として計画していた学習も保留しており、小規模な学習や評価を通じて安全性を確認している。
Astraのサイバー能力の急速な向上と、「OpenAI-Hugging Face incident」と呼ばれているセキュリティ事案が背景。Astraが直接事案に関与したわけではないが、OpenAIは研究環境の安全基準を引き上げている。
具体的には、AIが生成したコードを実行する環境の隔離や、インターネットへの接続制限を強化した。Astraやサイバー関連モデルには最も厳しい基準を適用し、条件を満たさない学習や評価は停止したままだ。
あわせて監視も強化する。ツールを使う強化学習や評価では、不正アクセスやデータ窃取、安全対策の回避などを自動検出し、重大な問題が疑われる場合は作業を停止する。
ひとこと:今回の動きは、7月に公開された「Pacing the Frontier」とも重なる。AIの急速な発展によって危険が高まった場合、開発速度を落とせる技術や、国際的なガバナンスの整備を米政府に求めたものだ。OpenAIが実際に学習を止めたことはPacing the Frontierを先取りした行動にも見える。
ただし、本当の鍵は米国企業だけでなく、中国を含む世界の競合も同じ判断を取れるかどうかだ。
安全のために一社が減速しても、別の企業や国家がその間に開発を加速すれば、競争圧力から再び全体が速度を上げかねない。AIの安全性を開発速度より優先できるかは、企業単独の姿勢よりも国際的な協調を築けるかにかかっている。
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