空冷vs水冷クーラーの徹底比較から最新CPUの解説まで、熱気あふれる会場レポート
ASRock×インテルイベントが大阪・なんばで開催。競合製品との生対決も実現したイベントが大盛況!
2026年08月11日 10時30分更新
空冷vs水冷 ベンチマークでその違いを確認
続いて、空冷CPUクーラーと水冷CPUクーラーの違いによる性能差について、ゲームのフレームレートとベンチマークによる検証結果が公開された。
検証PCは、CPUにCore Ultra 7 270K Plusを用い、空冷CPUクーラーには「Intel Laminar RH2」、水冷CPUクーラーには「ASRock Challenger White 360 Digital」を使用。Intel Laminar RH2は、いわゆるIntel純正ファンと呼ばれるもので、TDP65Wクラスを想定した空冷CPUクーラーという補足が矢内氏より行われた。
フレームレート検証では「Forza Horizon 6」を用い、同時にChromeを立ち上げYouTube 4K再生、OBS録画と、Discord通話を実行しているマルチタスク環境下で検証は行われた。
結果、水冷CPUクーラーの方が空冷CPUクーラーより1割ほど高いフレームレートを記録した。
CPU温度の検証を見ると水冷CPUクーラーは最大で71.8℃に抑えているのに対し、空冷CPUクーラーは105℃とサーマルスロットリングにかかってしまっているのを確認できる。
ただ、サーマルスロットリングが発生しているにも関わらず、フレームレートには思ったほど差が出ていないとも感じる。
フレームレートとCPU温度の検証結果。空冷CPUクーラーのCPU温度が105℃に到達してしまっている。フレームレートに差は生じるが、サーマルスロットリングが発生しているわりには、それほど差が無い感じも
次に、会場に用意された実機を使い、Cinebench 2026で最大負荷をかけた検証が行われた。
この検証では、ベンチマーク中にサーマルスロットリングが発生するかどうかも重要な確認事項だったが、なんと空冷CPUクーラーは開始3秒でサーマルスロットリングを発生させてしまった。矢内氏からは「本来このCPUクーラーはTDP65Wクラス対象なので、TDP125Wから最大250Wまで消費するCore Ultra 7 270K Plusには使用しちゃダメですよ。今回はやっちゃいけないことをしています」といったフォローも。
一方で、水冷CPUクーラーは75℃くらいに留まっており、冷却能力の高さをしっかりと示した格好だ。
矢内氏によると「ゲームタイトルにもよりますが、ゲーム中のCPU温度が60~70℃なら全く問題無いです。ただゲームで85℃から90℃まで上がるようなら、冷却を見直した方が良いかもしれません」とのこと。原口氏も「暑い季節のタイミングにPCの冷却システムを見直すのも良いですね」と語る。
そして矢内氏は最後に「CPUの冷却は外気温が基準となります。人間のためにでもありますが、夏場は必ずエアコンをつけましょうね」と付け加えて締めくくった。
第2セッションはCore Ultra 200S Plusシリーズの特長に迫り、ついに競合製品との生対決も!
イベント後半となる第2セッションは「水冷環境でガチンコ対決!コスパ番長 200S Plus シリーズのリアルなマルチタスク性能を検証」と題し、Core Ultra 200S Plusシリーズ(Arrow Lake-S Refresh)の特長紹介と、競合製品とマルチタスク性能を競う対決検証が行われた。
まず初めに、矢内氏はCore Ultra 200S Plusシリーズの概要として「若干値が上がったものの、いまだにコスパが良く、絶対的な性能においても優秀なCPUです。クリエイターにとってもゲーマーにとっても最適で、特にゲームだけではなく、ゲームをしながら他の作業も行う、パソコンならではの日常的なゲームの遊び方で非常に快適です」という切り口から解説をスタートした。
パワーアップした“Plus”はここが変わった!
続いて、矢内氏はCore Ultra 200S Plusシリーズの特長について解説を進める。大きな改良点として、Eコアの増加によるマルチスレッド性能向上や、Die to Die間の速度増加によるゲーミング性能の強化を挙げ、また既存のIntel 800シリーズマザーボードで動作可能な点、コスパに優れる魅力的な価格などもCore Ultra 200S Plusシリーズの魅力として掲げていた。
Core Ultra 200S Plusシリーズの特長。これらの恩恵を100%授かる準備として、BIOS更新とGPU&NPUドライバ更新、Windows Update、Intel Platform Performance Packageのインストールも忘れずに!
改良点の1つ、Eコアの増加について矢内氏は「Eコアは4コア1ユニットとして扱っており、Core Ultra 7 265KからCore Ultra 7 270K Plusになって1ユニット分増えました」と語り、「基本的に電力枠は変わらないので、単純に“ながら作業”の処理性能が向上しています」としている。
また、PコアのHyper-Threading(HT)が無くなったことにも触れ「コアの空いている演算器を活用しようとするのがHTでしたが、演算器が空くのを待つくらいならEコアに任せてしまえという発想になっています。むしろHTでリソースの奪い合いが起きる非効率さを避けるため、Pコアはシングルスレッド専業にしましょうというのが、今回のArrow Lake-Sの設計思想になります。なのでHTが無くなったのは悪いことではなく、その分を物理(コア)で解決したCPUということになります。コア数が多くてとてもお得なCPUです」と、わかりやすい説明がなされた。
13世代、14世代が癖の強いCPUだったのに対し、Core Ultra 200S Plusシリーズはバランスの良い実作業の効率の高さを特長とする。パワーリミットをいくら上げても消費電力250Wは大きく超えず、電力効率の良いCPUとの解説があった
もうひとつの大きな改良点、Die to Die(D2D)の速度向上については、Compute-SoCタイル間の情報伝達速度が従来の2.1GHzから900MHz向上し3GHzになったと解説。SoCタイルはメモリーコントローラーやPCI Expressコントローラーを含むタイルで、一番情報伝達量の多い箇所を高速化したことになる。
メモリーコントローラーの高クロックサポートも強化され、メモリーのサポート速度は6400MT/s→7200MT/sに強化、4ランクのCUDIMMもサポートしたことで、128GBモジュールも使用可能になったとのこと。
インテルCPUのデータシートを紐解く! インテル矢内氏によるデータシートの読み方解説
次に矢内氏はインテルCPUのデータシートが公開されていることに触れ、データシートの特に熱に関する資料の読み方を解説してくれた。ちなみにデータシートとはPCメーカーなどが製品を設計する際に参照する資料であり、発売済みのCPUであれば、誰でもそのデータシート(公開OKな情報のみ)を読めるとのこと。
矢内氏は表に記されている各項目の解説を丁寧に進めていく。要約すると次の通りだ。
・DTS(Digital Thermal Sensor)
CPU内部のダイにある温度センサー。「上限温度まであと何℃あるか」を負の数で示し、「-10」で上限(105℃)まであと10℃の95℃。「0」で上限到達しTCC(Thermal Control Circuit)による性能抑制開始(サーマルスロットリング発生)。となる。
・ΨCA
CPUクーラーに要求する放熱能力(℃/W)。消費電力が1W上昇したときに許容できる温度の上昇量を表し、数値が小さいほど高性能な冷却が必要(上昇許容が小さい)となる。
ΨCA = (CPUケースの許容温度 - ファン吸気温度 - 安全余裕1℃) ÷ CPUの基準電力
という計算式で表される。CPUの基準電力が大きくなると、数値が小さくなる=高性能な冷却が必要ということになる。またファン吸気温度(PCケース内温度)が上がるとCPUクーラーへの要求が高まることも表している。
・Tcase
パッケージの温度(ヒートスプレッダの温度)。ダイの特性やパッケージの特性により、CPU世代によってTcaseは異なる。
各項目の詳細な解説。ちなみにTCCによるサーマルスロットリング制御はミリ秒単位で動作しているとしており、私達が予想しているよりも遥かに細かくサーマルスロットリングはオン/オフされているという。第1セッションでサーマルスロットリングが発生しまくりの空冷CPUクーラーでも、性能差は1~2割減程度で済んだのは、このおかげだとしている
以上を踏まえたうえで12世代とCore Ultra 200S/200S Plusシリーズの冷やしやすさ比較した表が掲示された。標準時のΨCAは両者とも一緒で冷やしやすさに差は無いが、上限温度ギリギリのDTS = -1となったところでは差が広がり、12世代のΨCAはかなり小さくなっている(CPUクーラーへの要求が高くなる)。また吸気温度の違いでもΨCAがかなり変わるのが見て取れる。
矢内氏は「Core Ultra 200S/200S Plusシリーズはコアが分散配置されているので、そういった設計面が冷却しやすさに表れていると言えます」と話す。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります




























