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UVERworld、Creepy Nutsら100組を超えるアーティストが出演

夏フェスをさらに熱くする! アドビ×大阪ジャイガから生まれる、夏フェスの新体験

2026年08月10日 16時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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PDFスペースがフェスの問い合わせ対応を変えた

 ブースの体験メニューとは別に、来場者の誰もが使えるサービスとして用意されていたのが、Acrobat StudioのAI機能「PDFスペース」だ。タイムテーブルや会場アクセス、持ち物、会場ルールなどの資料が登録されており、「トイレの場所は?」「物販は何時から?」とAIアシスタントに話しかける感覚で質問できる。試しに「8月1日のセットリストは」と聞くと、すぐに一覧が返ってきた。炎天下でウェブページをたどるより、はるかに快適だ。

AcrobatのPDFスペースでイベントに関する質問ができる

 PDFスペースはユーザー体験の向上だけでなく、運営側の負担軽減にも役立った。そこで導入の経緯を、ジャイガの運営に携わる株式会社キョードーエンタテインメント セールスプロモーション部の前田穂乃香さん、杉山芽生さんに伺った。

「このイベントに関するお客様からの問い合わせがとても多いんです。来場までの動線や当日の情報は発信しているのですが、お客様は当日になってから調べることも多く、これは何なのか、どこにあるのかといった問い合わせが多数寄せられます。そうした問い合わせにAIを活用して回答できるため、かなり助かっています」(前田さん)

キョードーエンタテインメント セールスプロモーション部 前田穂乃香さん、杉山芽生さん

 これまで一般来場者向けの専用問い合わせフォームはなく、電話窓口の受付も平日12時から17時に限られていた。そのため、障害のある方向けの専用フォームに一般の質問が多数流れ込む状態で、問い合わせは開催の約5カ月前となる3月ごろから届き始め、その6~7割がフォームの目的とは関係ない一般的な質問だったという。

「昨年は、主催プロデューサーがインフォメーション用メールアドレスに届いた300件の問い合わせへ自分で返信していました。1件回答すると、さらに質問が返ってくることもあります。まともに対応すると5日間ほどかかってしまいます」(前田さん)

 今回はホームページのQ&Aや実際に届いた質問への回答集、マップ、セットリストなど8つの資料をPDF化して登録した。導入の話が始まったのは本番の約2週間前だったが、アップロード作業は簡単で、本番の3~4日前には問い合わせ内容を反映した改訂版に更新できたという。

「最初に説明を受けたときは、革命的だと思いました。一番悩んでいたのはプロデューサーです。アーティストのブッキングをしながら、お客様からの問い合わせにも回答するのは現実的ではありません。運営側では人件費と対応時間を減らせますし、お客様も回答を探すストレスがかなり減ると思います」(前田さん)

 深夜や早朝の質問にもAIが即座に回答してくれるため、問い合わせは例年より減っている印象だという。従来のQ&Aページとの違いも大きい。

「これまではホームページのQ&Aページから、自分の質問に該当する項目を探してもらう必要がありました。数が多いため、お客様にとっても探す作業はかなり面倒です。PDFスペースなら、知りたいことを入力すれば、すぐに回答が表示されます。将来的には、Q&Aページ自体が不要になる可能性もあると感じています」(前田さん)

音楽フェス×生成AI×PDFという組み合わせの相性の良さ

 イベント全体の情報を横断して答えてくれる点は、現場スタッフにも心強い。担当セクション外のことを聞かれても、PDFスペースへ誘導すればいいからだ。

 多言語対応への期待も高まっている。日本語の資料しか登録していなくても、英語で質問すれば英語で回答が返ってくるからだ。舞洲は観光客も訪れる場所で、当日券を買いに来た外国人のグループも何組か見かけたそうで、今の時代に欠かせない対応言語の拡充も今後進めていきたい、と話す。

 さらに、来場者向けだけでなく、裏方への展開にも意欲的だ。現場では、弁当はどこにあるのか、ゴミ箱はどこかといった、マニュアルを見れば分かる質問が何度も寄せられるという。協賛社向けのマニュアルは30~50ページにもなり、すべて読むのが面倒だという気持ちも理解できる。協賛社向けや出店者向け、運営スタッフ向けと分けてPDFスペースを用意すれば、それぞれの問い合わせ対応を効率化できると考えているそう。

「この仕組みが定着すれば、フェスだけでなく、さまざまなコンサートやイベントで活用できると思います。数千人規模のイベントでは、InstagramのDMなどで一件ずつ問い合わせに対応しているケースもあります。そうしたコミュニケーションコストを減らせれば、主催者にとって大きな助けになります」(前田さん)

PDFスペースは主催者の大きな助けになる、と前田さん

 アドビ側にとっても、今回は新しい挑戦だったという。PDFスペースがこのような形で利用されるのは初めてで、これまでは社内文書を整理して、どこに何が書かれているのかを調べる用途が中心だったそうだ。アドビの担当者は、今回得たフィードバックをもとに、来年のジャイガやほかのフェスにも広がれば面白い結果になると期待を寄せていた。前田さんも、すでに来年を見据えている。

「次回は最初から、ウェブサイトを作る段階と同時に進めたいです。問い合わせは3月ごろから増え始めるので、それまでに完成したものを用意しておきたいと考えています」(前田さん)

 音楽フェスと生成AIやPDFは、一見すると意外な組み合わせだ。しかし会場で見た限り、その相性は抜群だった。推しへの想いをロゴに込め、タトゥーシールを腕に貼ってステージへ戻っていく若者たちの姿は、クリエイティブが誰にとっても身近になったことを実感させてくれた。表からは見えない問い合わせ対応まで、AIがしっかりと支えている。フェスというイベントにアドビのテクノロジーが自然に溶け込んでいたのが印象的だった。ジャイガ10周年の節目に始まったこの取り組みが、来年どう進化するのか楽しみだ。

猛暑をものともせず、ジャイガの会場は最後まで熱気に包まれていた

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