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CPUにも酷暑対策を! 2026年オールインワン水冷CPUクーラー5選

2026年07月24日 14時00分更新

文● 藤田 忠 編集●北村/ASCII

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最も気になる冷却性能と動作音を確認

 それぞれ魅力のあるAIO水冷CPUクーラー5選のスペック、外観から眺めた特徴、デザイン面に、取り付け工程の評価のあとは、その実力を確かめていこう。

 テストは各製品をピラーレスPCケースに組みつけ、インテル Core Ultra 9 285K、AMD Ryzen 9 9950X3Dといった両陣営のハイエンドCPUを冷却した。構成に使用したパーツは以下の通りだ。

テスト環境
CPU AMD「Ryzen 9 9950X3D」(16コア/32スレッド、最大5.7GHz)
インテル Core Ultra 9 285K(24コア/24スレッド、最大5.7GHz)
CPUクーラー ASRock「Steel Legend 360 LCD」
COOLER MASTER「MasterLiquid 360 Atmos II VRM Fan ARGB」
CORSAIR「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB LCD」
CPS「DT360 ARGB」
DeepCool「LM360」
マザーボード ASRock「X870 Steel Legend WiFi」(AMD X870、ATX)
ASRock「B860 Steel Legend WiFi」(Intel B860、ATX)
メモリー CORSAIR「VENGEANCE DDR5」(DDR5-6400、16GB×2)
ビデオカード ASRock「Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OC」
(AMD Radeon RX 9060 XT、16GB GDDR6)
ストレージ Samsung「980 PRO 2TB」(2TB、PCIe4.0×4)
電源ユニット SUPER FLOWER「LEADEX VI PLATINUM PRO 1000W」
(80PLUS PLATINUM、1000W)
PCケース ドスパラ「ドスパラセレクト XR PASTEL BLUE」(ミドルタワー、ATX)
OS Microsoft「Windows 11 Home」

 マザーボードはインテル LGA1851、AMD Socket AM5環境ともに、ASRock「Steel Legend」シリーズを使用し、ファン回転数の制御はマザーボードUEFIで「Silent」、ポンプ回転数は「Full Speed」モードに設定している。そのほか、PCケースに装備されている3基の冷却ファンは、マザーボードの温度を基準に制御し、静かな1000rpm前後の回転数で運用している。

 CPUがフルロードされるストレステストには「Cinebench 2024:30 minutes」を使用し、テスト中のCPU温度などは「HWiNFO64 Pro」で記録した数値を抜粋している。そしてテスト中のPC動作音は、アイドル時とテスト終了間際を、フロントガラスパネルから60cm離れた位置(フロント)と、ケーストップから60cm離れた位置(トップ)で騒音計を使って計測している。テスト時の室温は25度だ。

コンパクトピラーレスPCケースのドスパラセレクト「XR PASTEL BLUE」を使用した

 なお、「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB LCD」は、若干テスト条件が異なる。仕様上、ラジエーターファンとポンプの回転制御は、マザーボード制御ではなく、「iCUE」ソフトウェアの制御になる。今回はテスト環境のマザーボードか「HWiNFO 64 Pro」との相性なのか、デフォルトプリセットではファン回転制御の挙動がおかしくなることがあった。そのため、プリセットの「iCUE LINK TITAN 360 RX LCD 最速」をベースに、新たに制御プリセットを作成して使用している。

作成したプリセットでは、回転数制御の基準温度としてCPUパッケージを選択している。また、ポンプは問題なく制御できていたので、プリセットそのままの「iCUE LINK TITAN 360 RX LCD 最速」とした

グリスは各製品の付属品ではなく、ARCTIC「MX-7」で統一。これまでの同社グリスと異なり、CPUに対してX字に塗布し、CPUクーラーを取り付けることで、自然と均等に伸びるのが特徴

24スレッドで動作するCore Ultra 9 285KのCPU Package Powerは、ストレステスト実行中、200W前後で推移した

Ryzen 9 9950X3DのCPU Package Power、最大240W台後半となった

冷やしきれるが実使用では厳しい動作音に

 AIO水冷CPUクーラー5選でストレステストを実行、その冷却性能と動作音を確認していこう。

 まずはインテル Core Ultra 9 285Kの実力から確認していこう。5選いずれも、ストレステスト実行中のCPUクロックは最大5388MHzで、平均値は5200MHz後半~5300MHz台前半となっている。CPU Package Powerは、190~210W台に収まっている。

 最も気になるストレステスト中のCPU温度は、「Steel Legend 360 LCD」、「MasterLiquid 360 Atmos II VRM Fan ARGB」、「CPS DT360 ARGB」が最大77度、平均では72.3~73.5度と不安を感じない温度で推移している。

 次いで注目なのが、コストを抑えながら液晶パネルとLEDを備えている「LM360」だ。最大温度こそ3選から3度アップの80度だが、平均温度は3選に準ずる74.4度とまずまずの結果を残している。

 5選のなかで最大、平均温度ともに突出しているのが、「iCUE LINK TITAN RX RGB LCD」で、最大83度、平均76.2度と、ほかの製品に一歩譲っている。

 この結果は、「iCUE」ソフトウェアのファンプリセットが、回転率100%に達しないようになっているためだ。このプリセットのメリットは、PC騒音値の計測結果に現れており、動作音は5選のなかで最も低くなっている。冷却性能は下がるが、実使用で気になるPC動作音は抑えられているわけだ。実際、PCケースのフロント側で40.6dBAと、作業やゲームプレイなどの邪魔とはならないと思われる騒音値だった。

「iCUE」のファンプリセットは、回転率が100%にならないように設定されている。実使用に適したプリセットといえる

 ストレステスト中のPC騒音値をまとめたのが、下記のグラフになる。最も騒音値が大きくなるPCケーストップ側をみると「Steel Legend 360 LCD」と「CPS DT360 ARGB」が50dBAを超え、次いで「LM360」が49.4dBAと、なかなか厳しい騒音値となっている。

 残りの「MasterLiquid 360 Atmos II VRM Fan ARGB」は、4製品のなかでは最も小さい騒音値となっているが、それでも少しファンの回転音を感じるレベルだ。

暗騒音:32.5dBA

200W超えのRyzen 9 9950X3Dも冷やしきる

 続いては16コア/32スレッドで動作するRyzen 9 9950X3Dで検証した結果を確認していこう。

暗騒音:32.5dBA

 Ryzen 9 9950X3Dのストレステスト実行中のCPU Package Powerは、Core Ultra 9 285Kを上回る最大240~250W、平均220W台後半~230Wを記録し、動作クロックは最大5600MHz台後半、平均5100MHz台に達している。

 CPU温度は、CPU Package Powerが増えたため、最大が83度台、平均が80.0度〜81.9度にまで上昇している。結果、より高い冷却性能が必要となり、ファン回転数が上昇している。

 なかでも回転数に余裕を残していた「CPS DT360 ARGB」は、平均回転数が400rpmアップし、次いで「Steel Legend 360 LCD」が300rpmの上昇となった。結果、両製品とも動作音がさらに増し、トップで53dBA台、フロントでも48〜49.4dBAという爆音レベルになっている。

 そんななか、ファンプリセットが優秀な「iCUE LINK TITAN RX RGB LCD」は、Core Ultra 9 285Kと同じ1600rpm台で推移している。当然ながら、CPU温度は高くなるが平均81.6度と、4選との差は2度以内となっている。それでいて騒音値が抑えられているのはうれしいところ。

冷やしきりつつファン動作音を抑える

 AIO水冷CPUクーラーに限らないが、ファンの回転数(回転率)を環境にあわせてカスタマイズすることで、冷却性と静音性の両立を狙える。ベストな回転域を見極めるための手間は必要になるが、ここからがAIO水冷CPUクーラー5選の実使用に沿った実力チェックとなる。

 ただ、CPU温度とPC動作音は、PCパーツの構成からPCケースの構造、PCケースファンの吸排気バランスなどといった要素で変化するので、あくまでも一例なのは、知っておいてほしい。

 まずは、CPU Package Powerが200W前後となるCore Ultra 9 285Kにあわせて、カスタマイズ。ラジエーターファンから排気されるPCケーストップ側の騒音値が40dBA台前半になるように、AIO水冷CPUクーラー5選の回転数を調節してみた。「iCUE LINK TITAN RX RGB LCD」は、最大回転数が1400rpm台となる「iCUE LINK TITAN 360 RX LCD 安定」プリセットを適用している。

 結果、トップ側と比べてPC動作音が下がるフロントパネル側は、おおむね40dBAを切る動作音を実現している。机下など音が遮られる場所に設置した場合は、さらに動作音は下がり、静かに感じられるだろう。

 それでは、Core Ultra 9 285Kの計測結果だが、ファン回転数を抑えたことで、当然CPU温度は上昇する。ただ、処理能力に影響するCPUクロックやCPU Package Powerは変わっていないのがポイントだ。

暗騒音:34.6dBA

 CPU温度は「Steel Legend 360 LCD」が、ファン回転数を抑えたことで最大温度が9度、平均が4度上昇している。騒音値を抑えることに成功しているが、それでもトップ側は42.1dBAと40dBAを少し超えている。

 「iCUE LINK TITAN RX RGB LCD」はもともとの温度が高めなので、上昇幅は小さくなっているが、回転数を抑えてもトップで41.9dBAを記録している。両製品は、静音重視で運用するなら、さらに回転数を抑えた運用が必要になるだろう。

 温度差が次いで大きかったのは、「CPS DT360 ARGB」で、最大温度が8度、平均が3.4度上昇している。ただし、騒音値は狙い通りに40dBA以下を実現できている。

 そして最大、平均の温度が優れていたのが、「MasterLiquid 360 Atmos II VRM Fan ARGB」と「LM360」になる。ともに40dBAを切りながらCPU温度は最大81度、平均72.5度と74.6度と、ほかの3選から2〜5度下がっている。

 CPU Package Powerが200Wを台前半のCPUを動作音を抑えながらしっかりと冷やせるが、200Wを下回るRyzen 7 9800X3Dや、Core Ultra 5 250K Plusといった人気CPUを使ったPCビルドなら、5選のどれと組み合わせてもより静かに冷やしきれる。

 続いてはCPU Package Powerが250Wに迫るRyzen 9 9950X3Dで、ファン回転数を抑えてテストしていこう。

暗騒音:32.5dBA

 さすがにCore Ultra 9 285Kと同じファン回転数で運用するのは厳しかった。それでもトップ側の騒音値を40~45dBA台に抑え、CPU温度もRyzen 9 9950X3Dの最大動作温度(Tjmax)となる95度から10度前後余裕のある平均83度台と制御前からプラス3度での運用が可能となっている。

 細かく見ていくと、冷却面では「Steel Legend 360 LCD」が、1~2度の差だが5選中最も低くなっている。ただ、騒音値はフロント41.8dBA、トップ45.3dBAと高めだ。さらにファン回転数を抑えた静音寄りにカスタマイズすると、CPU温度は4選と同じラインに落ち着きそうだ。

 冷却と騒音値のバランスでは「LM360」が優秀だ。CPU温度は平均83.1度で推移し、騒音値はフロント37.1dBA、トップ40.1dBAと狙い通りの結果となっている。

 CPU Package Power 250Wクラスで、これ以上騒音値を下げるのは難しいが、Ryzen最強CPUのRyzen 9 9950X3D2や、発熱と消費電力が増しているCore Ultra 7 270K PlusといったCPUとも不安なく組み合わせられるポテンシャルを持っている。CPUやPCケースなどの環境にあわせたファンカスタマイズを行なって、耳障りな動作音を抑えつつ、冷やしきれるAIO水冷PCビルドに挑戦してみよう。

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