第7回 見える&つなぐ!ヤマハのネットワーク レビュー&レポート
病院や介護現場での途切れないコミュニケーションを支える取り組み
通話の快適さを決める1秒以内のローミング ティービーアイ、SCSK、ヤマハのこだわりを追う
提供: ヤマハ
病院や介護施設で利用が広がるインカム。メーカーであるティービーアイは、SCSK・ヤマハとタッグを組んでローミングの課題を解消する。実証実験で明らかになったのは、ストレスのないクリアな音声を実現するノウハウだ。介護・医療業界でのデジタルインカムの有用性、ローミングの課題と解決、実証実験の内容まで含めて、3社に聞いた。
パチンコ業界で愛用されたデジタルインカム 難聴と盗聴を防ぐ
インカムとは、ハンズフリーで通話できる通信装置。手を使わずに、複数人でリアルタイムなコミュニケーションが可能になるため、飲食店や工場、イベント会場、建設現場などで幅広く利用されている。最近は、高度なAI機能を持ったスマホアプリも多いが、シンプルなボタン操作で利用できる専用インカムの需要はいまだに高い。この専用インカムを介護・医療業界に展開しているのが、今回取材したティービーアイだ。
ティービーアイは30年来以上に渡って監視カメラ事業を手がける老舗で、現在も国内の監視カメラ市場で高いシェアを誇る。今から14年前、アナログインカムの課題を解決すべく、同社によってパチンコ業界向けに開発されたのがWi-Fi対応のデジタルインカム「クリアトークカム」になる。
従来利用されていたアナログインカムは、ノイズが多いため、大音量のパチンコホールでは話が聴き取りづらいという課題があった。音が聴き取りづらいがためにボリュームを上げすぎ、難聴になるユーザーも多かったという。これに対してクリアトークカムは、広帯域な5GHz帯を利用し、デジタルならではのクリアな音質を目指した。ティービーアイの加藤陽介氏は、「こんなに聞こえるのであれば、ボソボソ声でも大丈夫だし、難聴対策にもなるというお声をいただきました」と語る。
アナログインカムのもう1つの課題が盗聴に弱いという点だ。「基本的にはチャネルがあってしまえば、盗聴できてしまう。監視カメラで怪しい人がいても、インカムでの会話を盗聴されると、逃げてしまうんです」(加藤氏)。その点、Wi-Fiを用いるクリアトークカムは盗聴に対しても強い耐性を持つ。パチンコ店舗で導入が加速し、こうして高いシェアを実現してきた。
病院は今でも院内PHSが当たり前 ナースコールから内線代わりとして根付く
従業員の難聴を防止し、盗聴を防御できるティービーアイのデジタルインカム。しかし、昨今の大店舗化と少規模オペレーション化を受けて、パチンコ業界での導入は停滞。代わりに需要が急増してきたのが、人手不足という悩みを抱える介護・医療業界だ。
人手不足が慢性的に続いている介護・医療業界では、少ない人数での効率的なオペレーションが重要。ティービーアイの吉田樹氏は、「先に介護現場でインカムの有用性が認められ、厚生労働省も導入企業に補助金を出すようになりました。昨年度からは医療業界も補助金の交付対象となり、問い合わせが一気に増えています」と語る。
今も昔も、多くの病院のコミュニケーションはナースコールの課題を解消するために導入された院内PHSだ。従来のナースコールは、ナースセンターの電話に着信するため、看護師たちは作業を中断してナースセンターに戻らないと状況がわからない。そこで導入されたのが、院内PHSだ。基地局にあたるセルステーションを院内に設置することで、PHSを内線電話のように利用できる。看護師たちの持っているPHSでナースコールが着信できるというのは、以前は革新的だった。
だが、ナースコール用だったPHSは、院内での連絡手段として、多くの病院に根付いてしまった。飲食や小売、設備などの他の業界ではWi-Fiを敷設して、PCやスマホ、そしてインカムでコミュニケーションするのが普通になったが、介護施設や病院ではPHSが現役で活用されている。「今でもPHSが当たり前というのは、介護業界と医療業界くらいだと思います」と加藤氏は語る。
ナースコールと連動し、3つのボタンで操作が完結するシンプルさ
公衆PHSサービスが終了した現在でも病院に根付いている院内PHSだが、課題も多い。
院内PHSを利用するには、専用の基地局(セルステーション)が必要になる。しかも1つのセルステーションでは端末を数台しか収容できないため、多くの端末を収容するためには数多くのセルステーションを設置しなければならない。とはいえ、PHSの台数分をカバーするセルステーションを設置できるほど、潤沢な予算を持つ病院は少ない。当然ながら、エリアに1台設置されることになるため、収容台数を超えると、通話ができなくなる。
だが、病院にインカムを導入すれば、全員に一斉通知される。ナースコールが鳴った部屋からもっとも近い場所にいる看護師が対応すればよいので、時間も短縮される。どこでナースコールが鳴り、誰が対応したのかも即座に共有できる。また、収容台数も多いWi-Fiであれば、通話ができないという事態も防げる。
ただ、長らくPHSが当たり前だった病院では、インカム自体がそもそも理解されにくかった。普及率99%というパチンコ店から、営業先を変えた加藤氏は、介護施設や病院での反応に驚いたという。「『僕が話したことが全員に一斉配信されます』とか、『ダイヤルを押さなくても、みんなと通話できます』というのが、全然理解してもらえません。Wi-Fiとインカムを導入すれば、1階でも、2階でも通話ができるようになるとお話ししてもイメージが沸かないのです」と加藤氏は振り返る。
介護・医療業界に参入するに当たって、ティービーアイはクリアトークカムの改良を行なった。まずはBluetooth対応。パチンコ店を前提としていた当時は有線イヤホン前提だったが、Bluetoothを搭載し、ワイヤレスでの操作を可能にした。また、「インカムでなにを話せばいいのかわからない」という声を受けて、ナースコールや見守りセンサーと連動するようにした。こうした改良が介護・医療業界に理解されるようになると、導入は少しずつ増えていったという。
現在ではスマホアプリ型の高機能なインカムも増えたが、シンプルな操作性を持つクリアトークカムは根強い人気を誇る。基本操作は、マイクのオン・オフ、ボリュームボタンの3つのボタンでOK。発信するグループを変えなければ、1つのボタン操作だけで済む。「家電のリモコン操作ができれば利用できるというシンプルな使い勝手にこだわって開発しています。私の知る限り、『納品したけど、使ってない』という施設がゼロなのが自慢です」と加藤氏は語る。
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