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1兆パラメーターのAIが動くワークステーションも、Dell Technologies Worldで「Dell AI Factory」の機能強化発表

「30%ではなく“30倍”の生産性向上へ」 AIエージェント時代に求められるIT基盤、マイケル・デル氏が語る

2026年05月19日 16時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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デル氏「トークン消費量は2030年には3400%増加」、AIエージェント時代に迫られる対応

 前述したとおり、Dell AI Factoryはおよそ2年間で5000社以上が採用している。基調講演では製薬企業のEli Lilly、産業機器メーカーのHoneywell、そしてSamsung Electronicsが紹介された。

Dell AI Factoryの導入企業であるEli Lilly、Honeywellが登壇

 Dell AI Factoryの採用が急速に進む背景について、デル氏は「企業がAIのPoC(実証実験)からプロダクション(実稼働)へ移行しようとする中で直面する課題を解決できるから」だと説明している。具体的には、パブリッククラウドのAIサービス利用における「コスト効率」や「データ主権」の課題、さらにはオンプレミス導入における「デプロイ速度」といった課題だ。

 コスト効率については、「今後、企業におけるトークンの消費量は爆発的に増大し、2030年には3400%増加する」という予測を示した。「したがって、企業は長期的に必要とされる膨大なトークンを、どうすればコスト効率良く調達できるかという問題に直面している」(デル氏)。

 データ主権については、過度のクラウド依存はデータがロックインされるおそれがあり、それがイノベーションを阻害してしまいかねないことを指摘する。ちなみに、クラウド依存によってコントロール権を失うおそれがあるのは、データだけでなく、コスト管理、セキュリティ、知的財産、スピードなどもあるという。

 デプロイ速度については、オンプレミスへのAIインフラ構築には大規模な投資が必要なため、できるだけ早く本番稼働できることが求められると述べた。

 デル氏は、こうした背景から「現在のCIOは、積極的に“ハイブリッドAI”へと方向転換し始めている」と語った。デルが行った調査では、すでに67%のAIワークロードがパブリッククラウド以外の場所(オンプレミス、オンデバイス、エッジ)で実行されており、オンプレミスでAIワークロードを1つでも動作させている回答者は88%に及んでいるという。

NVIDIAフアン氏「必要な計算量は100倍、1000倍になっている」

 ゲスト登壇したNVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏は、企業の取り組みが数年前の生成AIからAIエージェントへと進化したことで、「AIの需要は放物線を描くように(パラボリックに)急上昇している」と述べた。

 ここで注意すべきなのは、AIエージェントによる“計算量爆発”だ。人間とは異なり、AIエージェントは目標を達成するまで自律的に反復処理を行うため、「必要な計算量は、従来の100倍から1000倍にもなっている」とフアン氏は説明する。前述したトークン消費量の爆発的な増大も、背景にはAIエージェントの普及と計算量の増大がある。

 フアン氏は、こうしたAIエージェント時代の新たな要件に最適化したCPUが、「NVIDIA Vera CPU」だと紹介した。Veraは広いメモリ帯域幅を備えており、AIエージェントによる高頻度なデータベースアクセスを効率的に処理することで、GPUの待機時間を短縮するという。

 また、Dell Deskside Agentic AIとして発表されたDell Pro Max with GB300について、「1兆パラメーターのAIモデルを実行できる、世界で唯一のデスクサイドコンピューター」「ほんの2日前までは(こうした性能は)クラウドでしか実現しなかった」と高く評価した。

デル氏のリクエストに応えて、フアン氏がPowerRackにサインを入れる一幕も

* * *

 デル氏は基調講演の中で「エージェンティックAI時代には、20倍、30倍もの生産性向上が可能になるだろう」と語った。ただし、それを実現するためには、信頼できるデータとガバナンス、リアルタイムの意思決定を実現するのに十分なインフラ、既存のワークフローの根本的な見直しと再構築などが必要だと強調した。

 「誰が最初にこれ(エージェンティックAIの能力)を手中に収め、急速に他社を引き離すだろうか? そして、エージェンティックAIドリブンなビジネスに生まれ変われない企業は、生き残るのが難しくなるだろう」(デル氏)

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