ウイングアーク1st・NSW・ソフトマックスが進捗を共有
“基幹系AI”の実装をオラクルクラウドで進める国産SaaS事業者 データ×業務×ガバナンスが競争優位性に
2026年05月18日 07時50分更新
日本オラクルは、2026年5月13日、国内のISV・SaaS事業者への生成AIの実装支援に関する説明会を開催した。
同社の執行役員 クラウド事業統括 クラウド・パートナー・エンジニアリング統括である吉川顕太郎氏は、業務プロセスを実行するAIを「基幹系AI」と称し、従来型の基幹系システムよりも厳しい要件が求められると説明。
この基幹系AIをISV・SaaS事業者が実装するための支援策が紹介されると共に、ウイングアーク1st、NSW、ソフトマックスの3社がその進捗を共有した。
OCIでの“基幹系AI”実装 データ×業務×ガバナンスが競争優位性に
説明会の冒頭、吉川氏は、文書生成や調査によって人の判断を支援する「情報系AI」から、ビジネスデータを基づき業務プロセスを実行する「基幹系AI」に、生成AIの役割が変化しつつあると語る。
一方で、この基幹系AIには、「従来の基幹系システムよりもさらに過酷な要件」(吉川氏)が求められ、情報系AIと比べて実装のギャップがあると指摘する。
基幹系AIは、従来の基幹系システムと同等の機能・非機能要件を満たすことが大前提となる。その上で、業務データへのリアルタイムアクセスやセキュリティ・コンプライアンス面での新しいリスク、さらには予測不能な負荷増大に対応する必要がある。
また、長期運用を見越した“塩漬け”が許されず、急速な技術革新に追随できる柔軟性を確保しなければならないのも、基幹システムとの違いだろう。
こうした基幹系AIに対してオラクルは、2つのアプローチを採用する。ひとつは「SaaS組込み型」であり、「Oracle Fusion Cloud Applications」や「Oracle Industry Applications」といった業務SaaSに、すぐに使えるユースケースでAIを実装している。
もうひとつは「カスタム開発型」で、独自ユースケースでのAI実装を支援すべく、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上でエンタープライズレベルのAIアプリケーション・エージェントを構築・運用するための各種サービス、AIネイティブなデータベース「Oracle AI Database」を用意。こうしたテクノロジースタックの拡充を急速に進めている。
ただ、これらのオラクルのAIスタックだけでは十分とは言えず、オラクルのテクノロジースタックを利用したISV・SaaSパートナーのAIサービス開発を推進すべく、連携強化を図っている。説明会で強調されたのが、このテクノロジースタックを利用すること自体が、ISV・SaaS事業者の競争優位性につながるというメッセージだ。
日本オラクルのクラウド・パートナー・エンジニアリング統括 ISVソリューション本部 本部長である屋敷一雅氏は、AIモデルは急速にコモディティ化しており、「差別化要因にするには限界がある」と指摘する。実際にOCIでも、Cohereに始まり、Meta LlamaやxAI Grok、Google Gemini、OpenAIといったAIモデルの選択肢を用意し、業務プロセスに応じて使い分けられる環境を整備している。
一方で、SaaSにAIを実装するには、データの一体化と運用設計が不可欠であり、「データ×業務プロセス×ガバナンス」こそが差別化要因になると強調する。これに対してオラクルは、AIとデータ基盤の統合を進めることで、データベース内でエージェントの定義や実行、ガバナンスなどを完結させ、MCPで接続するだけで実装可能な仕組みを用意する。
また、業務プロセスへの対応においては、AIサービスのユースケースをパートナーと共同で開発する独自プログラム「OCI AI Use Case Assessment」を無償展開する。このプログラムには、オラクルのSaaSへのAI実装のノウハウに基づく、OCI環境下での共同検証も含まれるのがポイントだ。さらに、業種や業務別の100種を超えるAIユースケース集もまとめており、AIサービス投入の短期化をサポートする。
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