業務を変えるkintoneユーザー事例 第307回
全工場のDXにつながった「配車アプリ」と見える化の文化を生んだ「生産実績アプリ」
紙と手書きの負のスパイラルを断ち切れ “苦い思い出”起点のkintoneアプリが老舗製造業を変えた
2026年05月14日 09時00分更新
電卓作業に苦しむ係長を救い、コミュニケーションも活性化させた「生産実績アプリ」
工場を変えた2つ目のアプリは、「生産実績アプリ」だ。こちらも、過去の苦い思い出がきっかけで作成された。
前述の通り、半田東工場では日々の生産実績をホワイトボードで管理していた。生産課の係長時代の西段さんは、このホワイトボード前で、上司から何度も詰められていたという。根拠となる数字がホワイトボードだけしかなく、その場しのぎの回答しかできなかったからだ。
追い打ちをかけるのが会議用の資料作成だ。ホワイトボートと作業日報の数字を突き合わせ、1時間かけて電卓で集計していた。
こうした係長の苦労をなくすべく、このアナログ業務のkintoneアプリ化に乗り出す。その際にヒントになったのが、かつてkintone hiveに登壇した情報システム部の関さんが注目していた「krewDashboard」だ。同プラグインを駆使して完成したのが、生産実績を可視化するアプリである。
現在、生産課のメンバーは、ホワイトボードではなく、kintoneに日々実績を入力。手書きだった数字は、データとして蓄積されるようになり、棒グラフや折れ線グラフ、目標の横軸などで推移や達成率を一目で把握できるようになった。係長による会議資料の作成時間も、わずか5分にまで短縮されている。
誰もが生産実績に触れられるようになったことで、工場内には別の変化も訪れている。「kintoneアプリの前で社員同士が話している姿も見かけるようになりました。生産実績がコミュニケーションをとるきっかけになったのです」(戸田さん)
ひとりでの仕事を“みんなが見える仕事に”
西段さんと戸田さんは、2つのアプリが成功した理由は、相手の立場に立った開発と、諦めずに改良し続ける姿勢だと語る。また、アプリの利用を通じて、「一人でしていた仕事が“みんなに見えるようになる”ことの大切さ」(戸田さん)も浸透したという。
実際に、総務の戸田さんは、ユーザーから脱却してアプリ作成者になろうと決意。自身の業務を可視化する「ヘルメット使用期限台帳アプリ」を作成している。これも工場に訪れた変化のひとつだ。
西段さんと戸田さんは、サポートを惜しまない本社の情報システム部や困難を共に乗り越えてきた半田東工場のメンバーに感謝の意を述べつつ、「ご安全に」とセッションを締めくくった。
セッション終了後には、サイボウズ中部営業所の柴田知佳さんとのアフタートークが繰り広げられた。
柴田さん:kintoneを社外連携に活用したいというニーズは高い一方で、社内展開よりもハードルが高いと思います。運送会社さんには、どう受け入れてもらったのでしょうか。
西段さん:運送会社さんも問題を抱えていたのが大きかったです。弊社には複数の工場がありますが、配車依頼の方法は電話やFAX、メールとさまざま。それが配車計画にも影響していたので、一本化したいという想いが合致したようです。
柴田さん:その後の改善のやりとりに苦労されたようでしたが、社内と比べてどう大変でしたか。
西段さん:やはり距離感ですね。工場内であれば改善に対する反応をすぐに得られます。社外となると、先方に足を運んで説明し、ヒアリングする必要があり、とにかく時間がかかりました。
柴田さん:それでも、丁寧にやりとりを重ねていくことが、成功の近道になりそうです。
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