業務を変えるkintoneユーザー事例 第306回
「正しさより、使いたくなること」を追求したポータル作成で見えたもの
訪問看護を支えるスタッフの心を1つに kintoneアプリの改良で行き着いたそれってバイブコーディングでは?
2026年05月01日 09時00分更新
kintone機能強化のパートナーはChatGPT
2つ目の役割である「つながりの醸成」に関しては、スタッフ同士がコミュニケーションできるアプリを作成した。しかし、ここでも「書いてみたけど反応がない」「見れているのかわからないので、寂しい」といった声が出てきた。
「確かにコメントするのはハードル高いよなあ」と考えた横山さん。そこで導入したのが、kintoneで気軽に「いいね」を押せるプラグインだ。小さな工夫だが、従業員の半数以上がリアクションを付けるようになり、「学会に行ってきた」といった報告や「訪問に行ったら、お裾分けをいただいた」といったエピソードも、気軽に投稿されるようになった。
そして、コメント機能をバージョンアップさせるのに利用されたのが、ご存じChatGPTだ。きっかけは拠点や職種を超えて、全スタッフの1年の振り返りをkintone上で行なう「みんなのgood job」という企画。「いいね」だけではなく、感想を気軽に言えるようにできないかと、横山さんがChatGPTに相談したところ、「あるけど、自作もできるで」という回答が返ってきた。
「自作……。それはまったく考えてなかったんだけど、できると言うならやってみよう」と考えた横山さん。そのまま想定したプラグインの動作をChatGPTに伝えると、JavaScriptが戻ってきた。とはいえ、設定がわからないので、Chat GPTに用語の意味含めて丁寧に聞いて設定してみたが、うまく動かない。実はChatGPTがコードを誤っており、再度書き直したところ、無事プラグインが完成したという。
意図せずバイブコーディングをやっていた横山さんだが、実際に設定を済ませると、コメントも可能に。横山さんは、「重要なアプリは有料プラグインの方がよいと思いますが、ちょっとした機能改善であれば、ChatGPTに相談してみるのも1つの手かもしれません」とコメントする。
3つ目の「学び合える環境の構築」は、デザイン性の高いGoogleWebサイトに学びのコンテンツを集約。kintoneには学びコンテンツへのお知らせにリンクを貼り付け、eラーニングの窓口風に作り込んでいった。こうして紆余曲折を経て、なんとかkintoneでのポータルが完成し、働くスタッフの心を1つにすることができたという。
kintoneのコミュニケーションから生まれた「いなかんごプロジェクト」
こうした取り組みの末、立ち上がったプロジェクトが訪問看護でのどかな田舎の暮らしを護る「いなかんごプロジェクト」だ。「病院が近くにない、そんな田舎の地域に訪問看護ステーションを誘致することで、遠くの病院に行かなくても、自宅で病気の治療ができる」というのがプロジェクトの目的だ。
第一弾として、三重の大山田地区で訪問看護ステーションを立ち上げた。この担当する看護師は、訪問看護のスキルや経験ではなく、プロジェクトの想いや熱量で選択できた。「訪問看護の経験はまだ浅い新人ですが、大山田地区の出身で地元のみなさんに恩返しがしたいという想いを、面接の場で話してくれました」とのことで、担当に抜擢。1人の訪問看護ステーションを、遠隔でサポートするという方法で訪問看護がスタートとしたという。
今では現場で経験を積み、村のみんなやスタッフに信頼を得て、プロジェクトを進めることができているという。「私と彼女は数回した会ったことがありません。でも、kintoneを通して、うれしかったことも、くやしかったことも、きれいな虹も共有しながら、プロジェクトを前に進めています」と横山さん。「彼女がふと『いなかんごの看護師になれて良かったです』と言ってくれたとき、ここまでやってきてよかったと思いました」と振り返った。
kintoneを使って、スタッフの心を1つにすることはできた。次のミッションは「人の手の温もりを伝える時間を生み出す」。横山さん「このミッションを達成するため、kintoneと歩みを続けていきます」と登壇を締めた。
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