“バトルDJの登竜門”DMC世界大会の審査では「Dropbox Replay」を活用
アナログの魂とデジタルの革新 伝説のバトルDJ・DJ ShortKutが語る“テクノロジーとの向き合い方”
まるで魔法のような手さばきと、息の合ったプレイ。まずは、このDJプレイをご覧ください。
INVISIBL SKRATCH PIKLZ Showcase: 2023 Technics DMC USA DJ Finals(出典:DMC USA公式YouTube)
ターンテーブルとミキサーを自在に操る3人のDJが、レコードの音をスクラッチで切り刻み、ビートを再構成して、まったく新しい曲を生み出しています。
このDJユニット「Invisibl Skratch Piklz」の中央にいるのが、DJ ShortKut(DJショートカット)さんです。世界中のバトルDJがそのテクニックを競う「DMC World DJ Championships」でも活躍してきた“レジェンドバトルDJ”であり、現在ではDMC世界大会の審査員やアンバサダーも務めています。
彼のDJキャリアはおよそ40年にも及び、最初の20年間はアナログレコードだけでプレイしてきましたが、やがてDJ機材のデジタル化という大きな変化が起こります。
「“デジタル時代”の到来は、始めは居心地が悪かった」と語るShortKutさんですが、現在ではデジタルがもたらす可能性にも大きな期待を寄せています。どのように最新テクノロジーと向き合い、DJカルチャーを次世代につなごうとしているのか。インタビューで話をうかがいました。
12歳、お小遣いで買ったターンテーブルからスタートしたDJキャリア
本来はレコードを再生するだけのターンテーブルを、楽器のように“演奏”して新しい音楽を創作する――。冒頭のビデオのような音楽スタイルを「ターンテーブリズム」と呼びます。ヒップホップのDJカルチャーから派生して、1990年代初頭に生まれたムーブメントです。
ターンテーブリズムの先駆者の一人であるShortKutさんがDJを始めたのは、その少し前、1987年のこと。当時はまだ12歳でした。
「お小遣いで安いターンテーブル1台とミキサーを買って、最初は友人の誕生日パーティーなどでプレイしていました。その後、15歳からはアルバイトをしてDJ機材を徐々にアップグレードし、結婚式に呼ばれたり、プライベートパーティーを開いたりするようにもなりました。DJに夢中になっているわたしを見た母が、プロ仕様のターンテーブル(Technics SL-1200)を買ってくれたのもその頃です」
ShortKutさんが生まれ育ったサンフランシスコのベイエリア周辺には当時、たくさんのDJグループがあり、そこには同世代のDJが多くいました。彼らと競い合いながらDJの腕を磨いたShortKutさん。高校卒業後の1994年には、DMC米国大会の決勝に進出して見事なプレイを披露し、バトルDJとしての知名度を一気に高めました。
「このころから国内外のDJコンペティションに参加するようになり、プロフェッショナルのDJとして活動していく決意を固めました」
その後、1990年代後半からは、Invisibl Skratch Piklz(冒頭のビデオ)やBeat JunkiesといったDJユニットにも参加し、活躍の場をさらに広げていきます。DJ機材メーカーの製品開発に協力したり、DMCの審査員や解説を務めたりと、近年ではDJカルチャーそのものの普及にも貢献しています。
デジタルの便利さとアナログの魅力、両方をハイブリッドで味わいたい
約40年に及ぶDJキャリアのなかでは、テクノロジーの大きな進化も経験しました。1987年当時はアナログレコードでしたが、やがてCDを使うDJプレイヤーが登場し、現在ではPC上のデジタルデータ(音源ファイル)をコントローラーで操作するDJが主流です。またミキサーにも、現在はサンプラーやエフェクター、コントローラーといったデジタル技術が搭載されています。
ShortKutさんは、デジタル機材が登場した当初は戸惑いを感じたと振り返ります。
「それまで20年間、アナログレコードだけでプレイしてきたDJとしては、“デジタル時代”の到来は正直あまり居心地のよいものではなく、今後のキャリアも少し心配になりました。ただ、実際に使ってみるとデジタルならではのメリットもありましたし、最近ではレコードで手に入らない(デジタルリリースのみの)曲も増えています。いまではわたしも、デジタルなしではプレイできないと思います」
DJ機材のデジタル化は「アイデアをすぐに形にできるメリット」をもたらしたと、ShortKutさんは説明します。その一方で、それでも「アナログレコードの魅力は何ものにも代えがたい」と、一人の音楽ファンとして目を輝かせます。
「ちょっと古風かもしれませんが、ジャケットをじっくり見てからレコードを取り出し、溝を見て、針をレコードに落とす――その瞬間がとても興奮するのです。同封されているライナーノーツを読んで、その作品に関わった人々のことを知るのも好きですね。デジタルではそうした体験ができませんから、両方のバランスをうまくとっていきたいと思います」
現在、ShortKutさんがメインで使うターンテーブルは、アナログとデジタルのハイブリッド(Pioneer DJ『PLX-CRSS12』)です。この1台で、アナログレコードをプレイすることも、PC上のDJソフト(Ableton LiveやSerato DJ)をコントロールすることもできます。「デジタルは便利だけど、アナログをプレイしたいこともある。そんな自分にとっては、両方を行き来できるこれがパーフェクト」だと笑いました。
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